著者
中島 敬二 上田 貴志 植田 美那子 望月 敦史 近藤 洋平 稲見 昌彦 遠藤 求 深城 英弘 河内 孝之 小田 祥久 塚谷 裕一
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

植物は一生を通じて器官や組織を作り続けながら成長する。このような特性に起因して、植物の形態には固有の周期性が現れる。植物の周期形態は遺伝的プログラムや環境変化といった、内的・外的因子により変化し、植物はこれを積極的に利用することで、器官のかたちや細胞の機能を変化させる。植物の形態や成長に現われるこのような「可塑的な周期性」は、植物個体の内部に潜在する未知の周期性とその変調に起因すると考えられるが、周期の実体やそれが形態へ現れる仕組みは不明である。本新学術領域では、植物科学者・情報科学者・理論生物学者が密接に連携して共同研究を展開し、周期と変調の視点から植物の発生原理を解明する。
著者
中尾 容子 深城 英弘 田坂 昌生
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.049, 2004-03-27 (Released:2005-03-15)

シロイヌナズナsolitary-root(slr)変異体は、側根形成が全く起こらない。この変異はオーキシン誘導性遺伝子Aux/IAAファミリーIAA14の機能獲得変異である。本来オーキシンにより不安定になるIAA14タンパク質はslr変異により安定化する。その結果、オーキシン応答性転写調節因子ARFsの機能を恒常的に抑制し、そのために側根形成や根毛形成、根や胚軸の重力屈性反応を阻害していると考えられる。そこで、組織特異的なオーキシン応答と根の形態形成の関係を明らかにする目的で、変異型IAA14(mIAA14)タンパク質とGRとの融合タンパク質(mIAA14-GR)を組織特異的に発現する形質転換体を作出した。mIAA14-GR融合タンパク質をIAA14プロモータ-で発現させた植物体では、Dex処理により主根がslr変異型の表現型を示した。このことから、mIAA14-GRはこの誘導系において機能することが確認された。そこでmIAA14-GRを根の中心柱特異的プロモーター(SHOOT-ROOT )で発現させたところ、側根形成が著しく抑制された。それに対して、側根原基形成時に特定の細胞で発現するSCARECROW遺伝子のプロモーターでmIAA14-GRを発現させたところ、異常な構造を持つ側根原基が形成された。これらの結果から、オーキシン応答が側根形成開始時には中心柱で重要であり、さらに側根原基形成過程においても原基内部で重要である事が示された。