著者
荒井 弘和 榎本 恭介 栗林 千聡 金澤 潤一郎 深町 花子 宅 香菜子
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_281-4_293, 2023-10-01 (Released:2023-10-18)
参考文献数
30

The four aims of this study were: (1) Qualitative data were used to identify the diverse content of values expressed by university student-athletes in their own words. (2) Gender differences in value–related factors were examined. (3) The relationship between value–related factors and well–being (subjective well–being and interdependent happiness) was examined. (4) The effects of value–related factors and gender on well–being (subjective and cooperative well–being) were examined. The participants of this study were athletes who were members of university athletics departments. Three measures of values were used in this study: the Personal Values Questionnaire–II, the Values Clarification Questionnaire, and the Japanese version of the Valuing Questionnaire. First, the analysis showed that 90 different values were obtained from the content of the open–ended statements. Second, differences between men and women were found in two value–related factors. Third, the relationship between value–related factors and well–being was examined, but overall, no significant differences were found between men and women. Moreover fourth, subjective well–being was influenced by perceptions of ‘Progress’ and ‘Awareness of Reinforcement,’ such as feeling more energized when acting towards that value.
著者
深町 花子 荒井 弘和 石井 香織 岡 浩一朗
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.61-69, 2017-01-31 (Released:2017-10-11)
参考文献数
27
被引用文献数
1

本研究の目的はアクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入のスポーツパフォーマンス向上への効果について系統的に概観することであった。国内外の複数のデータベースにて「マインドフルネス」や「パフォーマンス」などの関連する検索語を用いて検索を行い、11件の研究を採択した。日本では該当する研究は見られなかった。ほとんどの研究では(n=8)スポーツパフォーマンスを高めるうえでポジティブな結果が得られていた。残りの3件のうち2件でもフォローアップ期にはスポーツパフォーマンスが向上していた。本研究の結果より、アクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入は、スポーツパフォーマンス向上に効果的であると思われる。ただし、国内では全く研究が実施されていない。今後は日本のアスリートにおいてもアクセプタンスおよびマインドフルネスに基づいた介入研究が必要である。
著者
荒井 弘和 榎本 恭介 鈴木 郁弥 町田 和梨 深町 花子
出版者
法政大学スポーツ研究センター
雑誌
法政大学スポーツ研究センター紀要 = BULLETIN OF Sports Research Center, HOSEI UNIVERSITY (ISSN:21879168)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.5-9, 2023-03-31

本研究の目的は,大学生アスリートにおけるスポーツ・ライフ・バランスの現状,および理想と現実のギャップを検証することであった。さらに,初年次学生である1年生と2-4年生の間でスポーツ・ライフ・バランスの指標を比較したうえで,理想と現実のギャップとウェルビーイングとの関連も検討した。大学生アスリート149名のデータを分析したところ,(1)スポーツ・ライフ・バランスは,時間的なバランスも,精神的なバランスも,やや競技生活に偏っていた。(2)学年差を検討したところ,精神的なバランスは,2年生以上の方が競技の比重が大きかった。(3)時間的なバランス・精神的なバランスともに,バランスの現状と理想と現実のギャップが,ウェルビーイングと部分的に関連していた。
著者
深町 花子 石井 香織 荒井 弘和 岡 浩一朗
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.413-423, 2016-09-30 (Released:2019-04-27)
参考文献数
26

本研究はアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のスポーツパフォーマンス向上への効果を検討した。対象者は21歳の大学生アーチェリー選手であり、60分の介入を13セッション実施した。パフォーマンスを測定するためにアーチェリーの得点とACT関連尺度の得点を記録した。対象者は試合中に苛立ちや震えが生じることを自身の問題として挙げた。ACTのエクササイズを実施し、ACTのプロセスの一つである「体験の回避」の問題点を理解し、「価値」に基づいて、実際に行動を生起させていくことを確認した。介入の結果、アーチェリーの得点は向上し、「体験の回避」を扱ったセッションの後に該当する尺度の得点が僅かに減少した。対象者は試合を楽しむようになり、いらだつこともなくなったと報告した。本研究の結果より、ACTが心理的柔軟性の改善によって、大学生アスリートのパフォーマンスを向上させる可能性を示唆した。
著者
深町 花子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.30-35, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
23

女性アスリートにおいて, 三主徴をはじめとする心身医学的な問題は山積している. その中でも健常アスリート, 障害を有するアスリートいずれにおいても月経随伴症状がパフォーマンスを阻害していると感じている割合は大変高い. その月経随伴症状へは, 薬物による治療が第一に優先されるが, 薬への抵抗感を示すアスリートも少なくないため, 認知行動療法をはじめとする心理療法が有効である可能性がある. 中でも近年注目されているマインドフルネスは, 広範な身体的および心理的症状に有効であることが指摘されており, 今後の研究が期待される.