著者
張 成年 山本 敏博 渡辺 一俊 藤浪 祐一郎 兼松 正衛 長谷川 夏樹 岡村 寛 水田 浩治 宮脇 大 秦 安史 櫻井 泉 生嶋 登 北田 修一 谷本 尚史 羽生 和弘 小林 豊 鳥羽 光晴
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.190-197, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

アサリ殻模様の非対称性は優性遺伝形質である。非対称型(A)頻度は北海道と関東周辺で高く(14.5~28.1%),東北,浜名湖以西,中国で低かった(0~9.9%)。千葉県盤州では A 型頻度が低いと考えられる地域のアサリが 2007 年まで放流されてきた。盤洲の 2005 年度標本では殻長 20 mm 未満で A 型が 22%,25 mm 以上で 0% であり大型グループで放流個体が多いことが示されたが,2011 年以降の標本ではサイズによらず A 型が 17.2~20.3% 見られ,放流個体による遺伝的攪乱が限定的であることが示された。
著者
高橋 秀行 佐伯 公康 渡辺 一俊
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.133-140, 2012-11-15

我が国の漁業就業者数は長期的な減少傾向にあり,またその年齢構成の高齢化,後継者不足は深刻である。このまま漁業者が減少し続ければ,我が国の漁業は労働力不足に陥り,産業としての存立が危ぶまれる。漁業は従来から身体への負担が大きく危険がともなう職業と言われる上に,近年の漁獲量の減少や魚価安が重なり,職業としての魅力が失われつつある。これらのことが,漁業就業者数の減少の主要な原因として考えられる。したがって,高齢の漁業者でも無理なく働け,かつ新規就業者が参入しやすい,安全で快適な労働環境を確立することは,漁業就業者数の減少に歯止めをかける有効な方策のーつと考えられる。しかし,漁業の労働実態について明らかにした事例は少なく,小型機船底曳網漁業,船曳網漁業,ワカメ養殖業,刺網漁業についての知見があるにすぎない。漁業の労働実態の全国的な様相を把握するには,事例調査の蓄積が必要である。著者は,小型機船底曳網漁業を主な対象として,労働実態の調査を行っている。小型機船底曳網漁業は我が国を代表する沿岸漁業種の一つであり,同漁業を営む漁船は日本各地に1万隻あまり遍在している。多くは個人経営で,乗組員は1~数名程度であるため,労働環境は個々人の裁量によって構築され,系統的な改善を図りにくいことが予想される。したがって,小型機船底曳網漁業の労働実態を定量的に把握し,系統的な改善方策を検討する必要がある。本報では,愛知県南知多郡の小型機船底曳網漁業を対象として,生産管理工学や人間工学の手法を用いて船上作業の状況を調査した結果について報告する。
著者
渡部 俊広 渡辺 一俊 北川 大二
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.620-623, 2003-07-15
参考文献数
14
被引用文献数
5 6

曳航式深海用ビデオカメラを用いて,金華山から小名浜沖の水深約440m〜700mの海域に24箇所の調査点をもうけて,2001年5月から6月の日中にキチジを観察し,生息密度を推定した。合計30回の観察を行い,延べ1,650分の映像記録を得た。総観察面積は86,160m^2,キチジの総観察個体数は253個体であった。それぞれの調査点における1,000m^2当たりの観察個体数は,0〜11個体であった。曳航式深海用ビデオカメラを用いたキチジの観察から生息密度を推定できることを確認した。