著者
高橋 秀行 長井 今日子 飯田 英基 登坂 雅彦 安岡 義人 古屋 信彦
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.107-112, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
14

今回我々は,反復性髄膜炎に 3 回罹患した内耳奇形症例を経験したので報告する。症例は 3 歳女児,側頭骨 CT にて両側の内耳奇形を認め,聴力検査にて両側感音難聴を認めた。右鼓膜穿刺にて糖陽性の液体を認め耳性髄液漏と考えられたため,これを遮断する目的で試験的鼓室開放術を施行した。髄液圧をコントロールするため,手術に先立ち腰椎穿刺による髄液ドレナージを施行した。アブミ骨底板は欠損し膜性組織で閉鎖していた。その他の耳小骨に奇形は認めなかった。アブミ骨上部構造を除去すると大量の髄液噴出(gusher)を認めたため,追加の髄液ドレナージ・マンニトール点滴を行ったうえで,卵円窓へ側頭筋膜を十分に充填しフィブリン糊で補強した。術後12カ月の時点で再発を認めず,経過良好である。
著者
三ツ井 敏明 高橋 秀行 花城 勲 黒田 昌治 木下 哲
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では、高温登熟玄米のプロテオームと澱粉グライコーム解析を行い、玄米白濁化は澱粉合成と分解のバランス異常が原因であると結論づけた。また、玄米外観品質に及ぼす強光・高CO2および高温・高CO2の影響を調べたところ、開花から登熟期初期において感受性が高いことが明らかになった。ただし、高CO2条件のみでは顕著な玄米白濁化は起こらないが、高CO2は高温ストレスを助長することが分かった。イネの高温耐性に関して鍵となる酵素としてMn型スーパーオキシドジスムターゼ(MSD1)が同定され、MSD1遺伝子の強発現により高温登熟性が改善され、一方、その発現抑制によって高温感受性が高まることが確認された。
著者
高橋 秀行 佐伯 公康 渡辺 一俊
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.133-140, 2012-11-15

我が国の漁業就業者数は長期的な減少傾向にあり,またその年齢構成の高齢化,後継者不足は深刻である。このまま漁業者が減少し続ければ,我が国の漁業は労働力不足に陥り,産業としての存立が危ぶまれる。漁業は従来から身体への負担が大きく危険がともなう職業と言われる上に,近年の漁獲量の減少や魚価安が重なり,職業としての魅力が失われつつある。これらのことが,漁業就業者数の減少の主要な原因として考えられる。したがって,高齢の漁業者でも無理なく働け,かつ新規就業者が参入しやすい,安全で快適な労働環境を確立することは,漁業就業者数の減少に歯止めをかける有効な方策のーつと考えられる。しかし,漁業の労働実態について明らかにした事例は少なく,小型機船底曳網漁業,船曳網漁業,ワカメ養殖業,刺網漁業についての知見があるにすぎない。漁業の労働実態の全国的な様相を把握するには,事例調査の蓄積が必要である。著者は,小型機船底曳網漁業を主な対象として,労働実態の調査を行っている。小型機船底曳網漁業は我が国を代表する沿岸漁業種の一つであり,同漁業を営む漁船は日本各地に1万隻あまり遍在している。多くは個人経営で,乗組員は1~数名程度であるため,労働環境は個々人の裁量によって構築され,系統的な改善を図りにくいことが予想される。したがって,小型機船底曳網漁業の労働実態を定量的に把握し,系統的な改善方策を検討する必要がある。本報では,愛知県南知多郡の小型機船底曳網漁業を対象として,生産管理工学や人間工学の手法を用いて船上作業の状況を調査した結果について報告する。