著者
張 成年 山本 敏博 渡辺 一俊 藤浪 祐一郎 兼松 正衛 長谷川 夏樹 岡村 寛 水田 浩治 宮脇 大 秦 安史 櫻井 泉 生嶋 登 北田 修一 谷本 尚史 羽生 和弘 小林 豊 鳥羽 光晴
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.190-197, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

アサリ殻模様の非対称性は優性遺伝形質である。非対称型(A)頻度は北海道と関東周辺で高く(14.5~28.1%),東北,浜名湖以西,中国で低かった(0~9.9%)。千葉県盤州では A 型頻度が低いと考えられる地域のアサリが 2007 年まで放流されてきた。盤洲の 2005 年度標本では殻長 20 mm 未満で A 型が 22%,25 mm 以上で 0% であり大型グループで放流個体が多いことが示されたが,2011 年以降の標本ではサイズによらず A 型が 17.2~20.3% 見られ,放流個体による遺伝的攪乱が限定的であることが示された。
著者
小林 豊 飯干 茜 渡邉 博文 井出 和希 堀内 祐希 手島 麻美子 中川 喜文 山口 安乃 小林 伸一郎 谷口 幹太 関 泰 榊間 昌哲 鈴木 豊秀
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.347-355, 2021 (Released:2021-12-29)
参考文献数
12

CKDシールは、腎機能情報共有により患者に有効かつ安全な薬物療法を提供することを目的に各地で検討されている。CKDシールに対する病院・薬局薬剤師のニーズに関する調査は存在するものの、患者が腎機能情報共有の必要性をどのように理解しているかは不明である。静岡県富士宮市でCKDシール貼付システムを構築するとともに、富士宮市立病院でシールを貼付した患者のニーズと、同地域における腎機能情報共有の現状と課題を調査した。2019年7月10日からの3か月間にお薬手帳にCKDシールの貼付を提案した228名の患者全員より同意を得た。医師と作成したプロトコルに基づく貼付を行った患者は62名(27%)であった。アンケートは入院患者、腎臓病教室受講患者、維持透析患者74名中67名(G3b/G4/G5/G5D=7/12/11/37、回答率91%)及び、腎臓病薬物療法の研修会に参加した薬局薬剤師20名中19名(回答率95%)から回答を得た。保険薬局で薬を貰った経験は患者51名(76%)が有したが、51名のうち腎機能を伝えた患者は10名(20%)のみであり、薬局薬剤師から腎機能を聞かれた患者は15名(29%)のみであった。一方、薬局薬剤師16名(84%)は検査値を入手できた時にのみ腎機能を確認していた。腎機能により薬を調節することへの患者の認知度は29名(43%)と低く、CKDシール貼付開始を全ての患者と薬局薬剤師が期待すると回答した。薬局薬剤師のCKDシール活用方法は用法用量等の確認だけでなく、患者とのコミュニケーションや生活指導が挙げられた。患者は薬局薬剤師に腎機能情報が必要との認識が低く、腎機能の共有はされていなかった。CKDシールが薬物療法適正化につながるだけでなく、腎機能情報共有の意義を患者に説明し理解を得ることで、CKDシールが貼られたお薬手帳の活用と薬剤師による腎臓病療養指導につながる可能性が示唆された。
著者
張 成年 丹羽 健太郎 岡本 俊治 村内 嘉樹 平井 玲 日比野 学 涌井 邦浩 冨山 毅 小林 豊 鳥羽 光晴 狩野 泰則
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.895-902, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
37
被引用文献数
3 5

2007 年に千葉県で突如発生した寄生性のカイヤドリウミグモ Nymphonella tapetis は愛知県,福島県でも確認された。これら 3 海域で採取した 110 個体の COI 塩基配列(562 bp)を決定した。個体間の塩基置換率は低く(0.2±0.07%),3 標本間で遺伝子型頻度に有意差は無かったことから,ごく最近に少数の同祖群から派生した個体群と考えられた。18S rDNA 配列による系統解析では,本種はトックリウミグモ属 Ascorhynchus より派生した分類群であることが示された。
著者
新美 康永 小林 豊 浅見 俊幸 三木 豊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.p453-459, 1977-05-15
被引用文献数
2

This paper describes a highly predictive speech recognition system, developed as a voiceinput ptogramming system, in which a modified version of 'BASIC', named 'SPOKEN BASIC 1', is used. The system consists of four major components; acoustic processor, lexical matching procedure, syntactic processor and semantic processor. The acoustic processor transforms incoming speech signals into a sequence of labeled segments. The syntactic processor makes grammatical predictions using a left-to-right parsing scheme and a depth-first or a breadth-first tree search. The semantic processor refines those grammatical predictions and sends predicted words to the lexical matching procedure, which correlates them with the sequence of labeled segments. 142 sentences uttered by four male speakers were processed through the present system. It responded as follows: 116 sentences (81.7%) were correctly recognized, 19 (13.4%) incorrectly recognized and the others rejected.
著者
松本 (向山) 晴美 妻鹿 絢子 小林 豊子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.613-617, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

有機酸塩によるゲル形成能の低下抑制作用について, その分子量的変化を生成還元糖の測定, ゲル濾過法などにより検討し, 以下の結果を得た.1) 寒天の加水分解により生成される還元糖量は, 溶解寒天液に供試液を添加後, 加熱しない場合には, 供試液組成と関係なくわずかで, いずれもゲル形成能の喪失は認められなかった.しかし, 供試液添加後加熱した場合には, その加熱時間の経過に伴い, 還元糖量が増加したが, この傾向は1%次いで0.68%クエン酸溶液添加において, とくに顕著であった.これに対し, クエン酸にクエン酸カリウムを添加した試料の還元糖量は, 対照として用いた水とほぼ等しく低い値であった.2) 生成還元糖量のごくわずかな増減がゲル形成能に影響するため, ゲル濾過法を用いて, 寒天のゲル形成能と分子量との関係について検討を行った結果, ゲル形成能の喪失は寒天の高分子レベルでの加水分解によるわずかな分子変化によることが明らかとなった.3) クエン酸による寒天の加水分解は, 加熱時間および濃度の上昇に伴い, しだいに低分子物質への分解が促進されるが, クエン酸カリウムの添加はこれを抑制した.
著者
小林 豊
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.445, 2004

植物は、植食性節足動物に食害を受けると、しばしばSOSシグナルと呼ばれる揮発性物質を放出する。このSOSシグナルは、植食者の天敵を誘引し、天敵は植食者を退治する。つまり、SOSシグナルを介して、植物と天敵の間に互恵的関係が成り立っている。近年の研究から、未加害の植物がこのSOSシグナルにさらされると、自身もまたシグナル物質を放出するようになることが明らかになった。シグナル物質の生産に何らかのコストがかかるとすれば、このような形質の適応的意義はそれほど明らかではない。著者は、このようないわゆる「立ち聞き」の適応的意義について考察し、三つの仮説を立て、数理モデル化した。そのうち、第一の仮説「被食前駆除仮説」については、既に発表済みである。今回は、第二、第三の仮説について考察する。<br> 第二の仮説「被食前防御仮説」によれば、「立ち聞き」による二次的なシグナルは、前もって天敵を呼び寄せておくことにより、将来の食害の危険を軽減するための戦略である。著者は、ゲーム理論的なモデルを構築して、このような機能をもったシグナルが進化的に安定になる条件を調べた。<br> 一方、第三の仮説「血縁選択仮説」によれば、「立ち聞き」による二次シグナルは、近隣の血縁個体を助けることにより自身の包括適応度を上げるための戦略である。もし隣り合った個体が同時にシグナルを出すことによりシグナルの天敵誘引能を向上することができ、かつ隣り合った個体同士が互いに遺伝的に近縁ならば、このような戦略が進化しうるだろう。各格子がパッチになっているような格子状モデルを用いてこのような「立ち聞き」戦略が有利になる条件を調べた。<br> 本発表では、これらの数理モデルの結果を報告し、仮説間の関係についても議論する。
著者
宮崎 勝己 小林 豊 鳥羽 光晴 土屋 仁
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.45-54, 2010-02-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
44

The biology of Nymphonella tapetis Ohshima, 1927, a pycnogonid endoparasitic on some bivalves, is reviewed. After the first discovery of this species from Hakata Bay, Fukuoka in 1926, there were scattered records of N. tapetis from several places in Japan before 2007, but they were on a small scale. In April 2007, N. tapetis appeared suddenly in the commercial bivalve, Ruditapes philippinarum and several other bivalves on the Banzu Tidal Flat in Tokyo Bay. The spread of the parasite was explosive, and caused a mass mortality of the bivalves in the area. Adults of the pycnogonid live freely on or just under the surface of sandy bottoms, and show nocturnal activity. The hatching larva is a typical protonymphon larva. The larva enters the host bivalve, attaches to various soft parts, and feeds on the body fluid of the host. The number of parasites in one host ranges from one to over 60. At least eight different developmental stages can be distinguished in the parasitic larvae and juveniles. Adults leave the host probably just after the maturation molt. The adult male receives one egg-mass onto his ovigers after each mating, and one male can bear up to seven egg-masses. Several experiments were undertaken to attempt to eradicate or reduce the number of N. tapetis, but no effective method has yet been found. Three species of the genus Nymphonella have been described from Japan, the Mediterranean, and southern Africa. They are very similar in morphology, which leads to potential taxonomic confusion.
著者
青木 健一 木村 亮介 川崎 廣吉 若野 友一郎 小林 豊
出版者
明治大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究「交替劇」は、ネアンデルタールの絶滅およびヒトによる置換(交替劇)を両者の文化水準の違いによって説明する(学習仮説)ことを目的とした。社会が到達する文化水準は、文化進化のあり方に依存する。このため、領域傘下の我が計画研究班では、文化進化の決定要因およびこれを支える学習戦略の進化に関する理論研究を行った。得られた多くの成果は、査読付の国際学術雑誌や著書に発表済みであり、国際的にも文化進化および学習戦略進化の研究に大きく貢献している。また、ネアンデルタールとヒトの学習戦略に違いがあるならば、両者の認知に関わる遺伝子にも違いが認められるはずとの立場から、分子人類学的な研究も少し行った。
著者
西岡 俊久 小林 豊 Epstein S. J.
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.561, pp.1319-1326, 1993-05-25
被引用文献数
2

Finite element simulation was carried out for inhomogeneous elastic-plastic fracture specimens, which consist of A533B steel and HT80 steel. These two materials have considerably different yield stresses, although their elastic properties are exactly the same. The nonlinear fracture parameter, T^* integral, was extended for inhomogeneous multilayer materials. The T^* integral for inhomogeneous materials demonstrates excellent path independence, even in the stages of large plastic deformations around the crack tip and the material interface. Numerically generated moire fringe patterns are in good agreement with experimentally recorded patterns. The shapes of plastic zones appearing in the specimens reveal large inhomogeneity effects.
著者
小林 豊 吉岡 雅代 稲葉 達也 鈴木 豊秀 榊間 昌哲 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 北村 修 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.31-38, 2015 (Released:2018-04-02)
参考文献数
19

高リン血症は血管石灰化や生命予後に関連した病態であり、保存期慢性腎臓病(CKD)から血清リン値の管理が重要である。一方、保存期CKDに使用可能なリン吸着薬である沈降炭酸カルシウム(炭酸Ca)は胃酸分泌抑制薬の併用による効果減弱と、カルシウム含有による血管石灰化が懸念される。そこで当院薬剤部は内科医師に対し、これらの情報提供を行い、処方状況の変化に関する調査と、薬剤師による情報提供が医師の処方意識にどのような影響を与えたかについてのアンケート調査を行なった。対象は2014年1月の時点でリン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者のうち、1)炭酸Caと胃酸分泌抑制薬を併用している、2)血清リン値>4.5 mg/dL、を満たす患者の主治医とした。リン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者16名全てが炭酸Caを服用しており、12名が胃酸分泌抑制薬を併用していた。併用患者のうち血清リン値>4.5 mg/dLである患者は7名であった。情報提供により7名中5名においてリン吸着薬の変更や胃酸分泌抑制薬の中止がなされた。処方変更された5名中2名は血清リン値が低下し、2名は上昇し、1名は血液検査実施前に透析導入となった。情報提供対象患者以外においても処方の見直しがなされ、両薬剤の併用率は75%から21%と有意に減少した。アンケート調査の結果、薬物相互作用について6名中4名の医師が「知らなかった」と回答、意識変化では6名全員が「変化あった」と回答した。「今後は血管石灰化の危険性を回避するため可能な限りカルシウム非含有リン吸着薬を使用する」などの意見も得られた。これらのことから、薬剤師による積極的な情報提供は医師の処方意識に影響を与え、処方を見直すきっかけになることが示唆された。今後は他の薬物相互作用についても介入を検討し、有効性と安全性の高い薬物療法の提供により医療の質の向上に寄与していきたい。
著者
岩田 大介 小林 豊 石本 万寿広
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.79-83, 2020
被引用文献数
1

フェロモントラップは,従来から利用されている予察灯と比較し,廉価で,設置も容易であることから,多くの害虫でそのモニタリングに用いられている。捕獲虫を自動で計数するフェロモントラップは,調査を省力化する目的で,以前から研究開発が行われており,その対象はチョウ目害虫やカメムシ目害虫,貯穀害虫にまで及び,計数の手法は,画像解析,光電センサ,電撃電極などが報告されている。市販・実用化された事例もあり,自動昆虫捕獲装置「ムシダス2000」((株)エルム)は,ショック電極に触れて落下した誘引虫を高圧電流を付加した計数用ローラで巻き込み,その際に生じる電気信号を用いて計数する装置で,計数結果を自動で送信するシステムを実装することで調査の自動化を可能とした。しかし,ムシダス2000は,本体価格が約70万円と高価であったため,広く普及するには至らず,2019年現在では,販売終了となっている。近年,情報通信技術の発達により,コンピューターの小型化,低価格化が進んでおり,センサ制御可能なシングルボードコンピューターが数千円で販売されている。吉田・植野は,シングルボードコンピューターと各種環境センサ(気温,湿度,気圧,風速,降水量)を用いた低価格環境センサシステムを構築し,野外でも安定稼働することを実証した。光電センサは,投光器から出る光が物体に遮られたり,反射すると反応するセンサで,片山はファネルトラップの漏斗部の先端に,ガラス管と光電センサを取り付け,ガラス管を通過したハスモンヨトウSpodoptera litura Fabricius(チョウ目: ヤガ科)を計数できることを報告している。筆者らは,これらの技術を利用し,市販品を組み合わせてフェロモントラップを改良することで,従来よりも廉価にフェロモントラップ調査の自動化ができると考えた。そこでハスモンヨトウを対象として,ファネルトラップに光電センサとシングルボードコンピューターを搭載し,捕獲虫の自動計数を試みたので,報告する。
著者
小林 豊 喜多 敏明 柴原 直利 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.73-78, 1999-07-20
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

再発性口内炎に清熱補血湯が奏効した四症例を報告した。清熱補血湯の使用目標は「血虚と血中燥熱があり, そのために口舌に瘡を生じ, びらんし, 痛み甚だしく, 長く癒えないもの」といわれている。症例は全てが女性であったが, 妊娠や分娩を契機に, あるいは月経のたびに再発性口内炎が増悪する傾向がみられた。また, 一例はベーチェット病の急性増悪による発熱や炎症など全身症状が治まった後に発症した再発性口内炎症例であった。これら血虚が悪化しやすい状態に伴った再発性口内炎に清熱補血湯が有用である可能性が示唆された。
著者
小林 豊 高村 巧 下野 功 浦 和寛 都木 靖彰
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.271-278, 2009-06-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
55

岩手県大槌産,岩手県山田産,北海道鹿部産,北海道知内産の2年貝養殖ホタテガイの貝殻中のLi,Mn,SrおよびBa濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定したところ,産地により微量元素組成に有意な差が認められた。MANOVAの判別分析を用いて産地識別を試みたところ,48個体中9個体で誤判別が発生し,判別的中率は81.3%であった。大槌産と他の産地との間で誤判別される例が多かったが,そのほかの産地間の誤判別は少なかった。同様の方法を用いて岩手県八幡平産および北海道七飯産の養殖ニジマスの耳石中の微量元素濃度を定量した結果,その組成にも産地により有意な差があった。判別的中率は95.5%であった。生産年による微量元素組成の変動が小さければ,貝殻および耳石微量元素組成による産地識別が可能であると考えられる。
著者
小林 豊 喜多 敏明 柴原 直利 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.73-78, 1999-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

再発性口内炎に清熱補血湯が奏効した四症例を報告した。清熱補血湯の使用目標は「血虚と血中燥熱があり, そのために口舌に瘡を生じ, びらんし, 痛み甚だしく, 長く癒えないもの」といわれている。症例は全てが女性であったが, 妊娠や分娩を契機に, あるいは月経のたびに再発性口内炎が増悪する傾向がみられた。また, 一例はベーチェット病の急性増悪による発熱や炎症など全身症状が治まった後に発症した再発性口内炎症例であった。これら血虚が悪化しやすい状態に伴った再発性口内炎に清熱補血湯が有用である可能性が示唆された。
著者
松坂 昌宏 小林 豊 萩原 紫織 望月 真太郎 高田 正弘 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 諏訪 紀衛 鈴木 高弘 横山 美智江 伊藤 譲 北村 修 小野 孝彦 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-27, 2017 (Released:2018-04-19)
参考文献数
10

静岡腎と薬剤研究会は腎臓病薬物療法について学習する機会が限られていた静岡県の病院・薬局薬剤師の取り組みの現状を把握し、課題を見出すためにアンケート調査を行った。対象は第1回静岡腎と薬剤研究会に参加した病院・薬局薬剤師とした。アンケートは多肢選択式20問とし、腎機能評価や疑義照会の他、処方箋やお薬手帳への検査値の記載に関する質問を作成した。回答者は病院薬剤師42名、薬局薬剤師20名の合計62名であった。調剤時の処方鑑査の際に腎機能を表す検査値を確認する薬剤師は53名(85%)であり、薬物投与量を確認する際の腎機能評価にeGFRを使用する薬剤師は40名(65%)であった。体表面積未補正eGFRを使用するのは40名中17名(43%)と半数以下であった。腎機能を評価した上で疑義照会をしている薬剤師は48名(77%)であり、病院薬剤師42名中37名(88%)に対して薬局薬剤師20名中11名(55%)と異なっていた。その理由に検査値の入手方法と確認頻度に違いがみられ、病院薬剤師38名(90%)が検査値をカルテから入手するのに対し、薬局薬剤師18名(90%)は患者から入手していた。確認頻度では薬局薬剤師15名(75%)が検査値を入手できた時に確認しており、腎機能評価が不定期に実施されていた。疑義照会内容は過量投与が48名中45名(94%)と最も多く、薬物相互作用は7名(15%)と少なかった。処方箋に腎機能を表す検査値の記載を希望する薬局薬剤師は20名中17名(85%)であり、検査値を記載している施設の病院薬剤師は42名中7名(17%)であった。お薬手帳に検査値の記載を希望する薬局薬剤師は13名(65%)であったが、検査値を記載している施設の病院薬剤師は3名(7%)と少なく、病院薬剤師の取り組みが進んでいないことが明らかとなった。以上の結果から、地域の腎臓病薬物療法の質的向上には、腎機能評価に関する研修会の実施や薬局薬剤師が検査値を入手しやすいように薬薬連携の推進を図ることが重要である。
著者
大堀 洋平 小林 豊和 黒田 良
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.89, 2011

【はじめに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折は,スポーツ選手によく起こる疾患である.理学療法評価において,疲労性骨膜炎・疲労骨折の病態を示唆する評価法は散見するばかりである.今回、骨に直接的にストレスを加える評価法を考案した.その評価法を用い,アプローチの結果,良好な結果が得られたので,ここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 小学生(高学年),男性,野球選手(軟式・センター/ショート・右投げ左打ち).診断名は,右脛骨疲労性骨膜炎.レントゲンは,異常所見なし.現病歴は,当院受診約3週間前,走行時に右下腿内側に疼痛出現.疼痛軽減しないため,当院受診した.受診時の主訴は,歩行時痛であった.<BR>【理学療法評価】<BR> 圧痛は右脛骨近位内側にあり,歩行時に疼痛出現.立位アライメントは,右足位やや外転位,両膝顆間距離2横指,右骨盤やや前方回旋位,体幹やや右側屈位.脛骨ストレステスト(徒手で脛骨に外反・内反,前弯・後弯,外旋・内旋ストレスを加える)実施(以下,疼痛出現時,+と表記する).外反ストレス(++),前弯ストレス(+),外旋(遠位)ストレス(+).スクワッティングテストは,knee in時疼痛出現.歩行において,initial contactからmid stanceにかけて遅延し、骨盤・下腿外方移動不十分であった.<BR>【アプローチ】<BR> 当院初診時;右足部に内側縦アーチサポーター(ソルボ素材)装着.<BR> 約1週間後;サポーターに,後足部横アーチパッド1mm追加.<BR>【経過】<BR> 理学療法開始(当院初診)時,右足部への内側縦アーチサポーター装着にて,歩行時痛消失.練習は,走行・ノック禁止.約1週間後,走行時痛は10点法にて2点と軽減し,後足部横アーチパッド1mmを追加にて走行時痛消失.翌日には,制限なく練習参加.約3週間後来院し,圧痛・動作時痛消失を確認し,終了.<BR>【考察】<BR> 本症例は,動作時,脛骨近位内側に疼痛が出現していた.疲労性骨膜炎・疲労骨折は,疼痛部位にどのようなストレスが加わり生じたのかを把握することが重要と考える.どのようなストレス(方向・種類)かを示唆する評価として,脛骨へ直接的にストレスを加えた.その結果,脛骨外反・前弯・外旋(遠位部)ストレスにて,疼痛出現した.荷重位にて,スクワッティングテストを行い,knee inにて疼痛出現し,歩行時立脚期において,骨盤・下腿外方移動不十分であった.以上を解釈すると,本症例の疲労性骨膜炎は,立脚期における下腿の前内方への動きが脛骨近位内側への離開ストレスとなり,疼痛を発生させていたのではないかと考える.よって,右足内側縦アーチサポーターを装着することで,立脚期に下腿を後外方へ誘導し,離開ストレスを軽減させ,疼痛軽減に至ったと考える.<BR>【おわりに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折の理学療法において,骨への直接的ストレステストは病態を示唆する有効な評価法であり,サポーターの適切な選択,運動療法の一助となると考える.今後,ストレステストと動作の関係を検討していきたいと考える.
著者
笠原 裕司 小林 豊 地野 充時 関矢 信康 並木 隆雄 大野 賢二 来村 昌紀 橋本 すみれ 小川 恵子 奥見 裕邦 木俣 有美子 平崎 能郎 喜多 敏明 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.519-525, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
4

奔豚と思われた諸症状に呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキスの併用が奏効した症例を6例経験した。5例はパニック障害,1例は全般性不安障害と推定され,6例いずれも,動悸,吐き気,めまい,頭痛やそれらに随伴する不安感などを訴えて,肘後方奔豚湯証と考えられた。呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキスの併用投与で症状軽快し,あるいは肘後方奔豚湯からの変更で症状は再発しなかった。呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキス併用は肘後方奔豚湯の代用処方として奔豚の治療に有効である可能性が示された。
著者
小林 豊一 原田 ひとみ 柴田 健介 廣瀬 俊一
出版者
The Japanese Society of Inflammation and Regeneration
雑誌
炎症 (ISSN:03894290)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.383-386, 1993

The effect of several agents on mitogen-induced proliferative response<I>in vitro</I>was studied by using colorimetric MTT [3- (4, 5-dimenthyl-2-thiazolyl) -2, 5-diphenyl-2H tetrazolium bromide] assay. Immuno-modulator levamisole and TOK-8801 enhanced concanavalin A and lipopolysaccharide response in murine splenocytes at concentrations of 10<SUP>-6</SUP>-10<SUP>-5</SUP>M and 10<SUP>-4</SUP>M, respectively. Immunosuppressant mizoribine decreased dose dependently this response.<BR>These results show that MTT assay may be a useful method for the evaluation of immunological affecting agents on cell proliferative response.