- 著者
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渡辺 公次郎
近藤 光男
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.44.1, pp.50-55, 2009-04-25 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 14
我が国に残る歴史的市街地では、景観保全と防災性能向上の両立を図る必要がある。中でも住宅の耐震化は重要であるにも関わらず費用面の問題もあり遅々として進んでいない。そこで本研究では、歴史的景観保全に配慮した耐震化を促進させるための行政補助金の効果を分析する。研究対象地域は徳島県南部地域とする。まず、仮想市場法(CVM)を用いて、住宅耐震化と、歴史的景観保全に配慮した耐震化に関する支払意思額(WTP)を調べた。この値をもとに、ランダム効用モデルを用いて許諾率関数を推計し、それを用いてWTPを推計した。その結果、徳島県南部地域における歴史的景観の価値は24億7,544万円であった。次に、推計した許諾率関数を用いて「歴史的景観保全に配慮した住宅の耐震改修を行う際に補助金を支給する」政策を想定し、最適な補助金額を算定したところ、1戸当たり280万円であった。