- 著者
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渡辺 安
村上 哲
藤原 仁志
- 出版者
- 宇宙航空研究開発機構
- 雑誌
- 宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.1-33, 2004-03
2次元超音速インテークでは,超音速ディフューザ部の側壁形状はインテークの空力性能に大きく影響をおよぼす部分であり,側壁形状が空力性能に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,風洞試験およびCFD解析を実施した。側壁形状の影響が顕著に現れるマッハ1.5以上の条件に対して風洞試験を行ない,横流れ偏角やランプ可変形状が異なる条件における空力特性を取得し,側壁形状の影響を詳細に調べた。その結果,バズが発生するまでの亜臨界作動域における安定な作動域は側壁が大きいほど広く,性能が良いことが明らかとなった。一方,超臨界作動域では,マッハ数が高く側壁が大きいほど,また横流れ偏角が大きいほど亜音速ディフューザ内の流れは剥離しやすくなり,性能が低下することがわかった。さらにCFD解析により,インテークの流れ構造を詳細に調べた結果,側壁形状はサイドスピレージに影響を及ぼすため,インテークに流入する流管形状が変化し,その結果として,小さい側壁形状ではバズが発生しやすいことが明らかとなった。また,大きい側壁形状では衝撃波システムの逆圧力勾配の影響で,剥離しやすい境界層が亜音速ディフューザに流入することがわかった。そして,境界層の形状係数が有る程度以上になると,亜音速ディフューザ内で境界層剥離が生じ,空力性能が低下することが明らかとなった。