著者
辻 恵子 小黒 道子 土江田 奈留美 中川 有加 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_7-1_15, 2006 (Released:2008-04-25)
参考文献数
37

目 的エビデンスレベルの高い論文を探索し,批判的に吟味する過程を通じて会陰切開の適用を再考することである。方 法臨床上の疑問を明確化するためのEBNの方法論を用いて,「会陰切開・術」,「会陰裂傷」,「会陰部痛」,「新生児」のキーワードを設定し,エビデンスレベルの高い論文およびガイドラインを探索した。RCTのシステマティック・レビューである2つの論文に着目し,批判的吟味を行った。同時に,会陰裂傷を最小限にする助産ケアの知見について検討した。結 果批判的吟味を行った結果,2つのシステマティック・レビューにおける研究の問いは明確に定義されており,妥当性を確保するための必要項目を満たすものであった。これらのシステマティック・レビューから「慣例的な会陰切開の実施は,制限的な会陰切開に比べ,“会陰(後方)の損傷”のリスクを増大させる。また,“創部治癒過程”における合併症のリスクおよび退院時の“会陰疼痛”のリスクを増大させる。“尿失禁”および“性交疼痛”のリスクを軽減させるというエビデンスはなく,“新生児の健康上の問題”が生じるリスクを減少させるというエビデンスは存在しない」との結果が導かれた。また,これまでの助産ケアの知見を検討した結果,会陰マッサージ,会陰保護,分娩体位の工夫などで会陰裂傷を最小限にする可能性が確認された。結 論女性に優しい助産ケアとして,助産師は,会陰裂傷を最小限に防ぐケアの可能性を追求すると共に,エビデンスに基づいた情報を適切な方法で伝え,女性自身が必要なケアを選択できるよう,女性とのパートナーシップを構築していくことが求められる。
著者
福本 陽平 岸本 幸広 前田 直人 西向 栄治 金藤 英二 岡田 克夫 内田 靖 河野 通盛 是永 匡紹 池田 弘 藤岡 真一 西野 謙 河野 友彦 辻 恵二 平松 憲 柴田 憲邦 児玉 隆浩 周防 武昭
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.484-489, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.
著者
稲垣 克哲 森 奈美 本田 洋士 髙木 慎太郎 辻 恵二 茶山 一彰
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.448-454, 2017-08-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 15

症例は20歳,男性.社交不安障害の治療中に全身倦怠感と黄疸が出現し,入院した.自己判断で抗ストレス・強壮目的にアシュワガンダと複数の処方箋薬を併用していたが,入院1カ月前からアシュワガンダを過剰摂取していた.DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準では8点「可能性が高い」となり,アシュワガンダによる肝細胞障害型の薬物性肝障害と診断したが,本製品及び併用薬の中止後,肝酵素は低下するも高ビリルビン血症は増悪し,中止1カ月後にT-Bil 31.3 mg/dLとなった.肝生検では類洞内に限局して多数の胆汁栓を認め,ウルソデオキシコール酸(UDCA)とフェノバルビタールにて利胆を図り,改善した.薬物性肝障害において,起因薬物中止後も肝内胆汁鬱滞が増悪することは少なく,またアシュワガンダによる肝障害の報告事例はない.アシュワガンダは無承認無許可医薬品であり,販売実態の調査や不適切使用について注意喚起が必要である.
著者
高嶋 裕美子 池田 梓 辻 恵 露崎 悠 市川 和志 相田 典子 後藤 知英
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.264-268, 2018 (Released:2018-08-16)
参考文献数
12

【目的】軽微な頭部外傷後の脳梗塞症例の臨床, 画像的特徴, 特にmineralizing angiopathy (以下MA) との関連を検討する. 【方法】1980年4月から2016年11月までに脳梗塞の診断で当院に入院した患者の診療録を後方視的に調査し, 軽微な頭部外傷後の脳梗塞患者を対象に, 臨床, 画像的特徴について検討した. 【結果】動脈性脳梗塞と診断された119例のうち5例が軽微な頭部外傷後の発症であった. 発症年齢は10か月から11歳 (中央値は2歳9か月) で全例男児であった. 1例で無症状, 4例で左片麻痺を認め, 全例予後は良好であった. 頭部画像は4例は右側, 1例は左側の大脳基底核に梗塞像を認めた. 5例中, 麻痺を認めた4例にCTで穿通枝のMAと考えられる線状の高吸収域を認め, うち3例は両側に認めた. 11歳の症例では今回の梗塞像の対側基底核に陳旧性梗塞像を認めた. 【結論】軽微な頭部外傷後の基底核梗塞症例で高率に穿通枝にMAの合併を認めた. 脳梗塞の原因となるその他の因子は明らかとなっておらず, MAが軽微な頭部外傷後の脳梗塞と関係がある可能性が疑われる. 軽微な頭部外傷後脳梗塞は乳幼児の報告が多いが, 本検討の最高齢は11歳で既報より高かった. 乳幼児期以降にも軽微な頭部外傷後脳梗塞の発症があることや, 再発の可能性を考慮する必要があると考えられた.
著者
植木 琢也 平岡 俊也 大澤 美代子 黒川 理加 塚本 佐保 辻 恵子 矢野 実穂 横島 由紀 萩原 章由 松葉 好子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11585, (Released:2019-09-25)
参考文献数
47

【目的】回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟における脳卒中患者の身体活動量を生活活動度計により定量的に評価し,入院時と退院時における変化や自立歩行の可否による相違を明らかにすること。【方法】当院回リハ病棟に入院した脳卒中患者169 名を対象とした。対象に生活活動度計を連続24 時間装着し,回リハ病棟入院時および退院時における身体活動量(歩行・立位・車椅子駆動・座位・臥位の各時間)を測定した。24 時間,日中,理学療法中,作業療法中の各時間帯別に入院時と退院時の比較,歩行介助群と自立群との比較を行った。【結果】退院時,歩行や立位の時間が増加する一方,臥位の時間は減少した。歩行や立位の時間は介助群で短い傾向にあった。【結論】回リハ病棟入院中の脳卒中患者の身体活動量は入院時と比べ退院時には増加する。一方で歩行自立に至らない患者の立位歩行時間は相対的に短く,身体活動量の確保に向けた方策の検討が必要である。
著者
トムソン 木下 千尋 尾辻 恵美
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.49-67, 2009-03-19

ステレオタイプ的な「女ことば」「男ことば」は、「言語資源」として、様々なアイデンティティーの構築に貢献する(中村2007)。本稿ではビジネス日本語の教科書を取り上げ、その教科書を巡る日本語教育をジェンダーの視点から検討した。従来の教科書分析を発展させ、教科書の内容分析だけでなく、教科書著者チームとの質疑応答、授業観察、教師と学習者へのインタビューをデータとし、教科書がどのように作成され、ジェンダーが表現され、そして、それがどのように使われ、学ばれるかを考察した。分析結果、熟練の教師が教えた場合でも教科書を批判的に使いこなすのは難しいこと、教科書にまつわる事象は非常に複雑であることが明確となり、「言語資源」としての「女ことば」「男ことば」を世界の日本語教育自分のものとして使いこなせるように学習者を支援するためには、女同士、男同士の会話の提示だけではなく、解説やタスクを入れる必要があることがわかった。本稿は、このような複雑な状況を理解するために、教科書分析の多面的な展開を提唱する。
著者
細辻 恵子
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.97-117,163, 1983-05-31 (Released:2017-02-17)

A good deal of observtional data on socialization in various societies is now available, but these has been little cross-cultural analysis, particularly of child-rearing manuals. In this paper we try to analyze such books from Japan and the U.S.A. and point out the differences between them. Child-rearing manuals were chosen as the data source because, since most families are now nuclear, there is less chance for practical skills and knowledges on child rearing to be handed down from grandmothers to mothers. Of the other sources of infomation mothers are most likely to rely on child-rearing manuals, which seem to fill the communication gap between generations. We chose Baby and Child Care by Benjamin Spock and Ikuji-no-hyakka (Encyclopedia on Child Rearing) by Michio Matsuda, which are supposed to be the most widely read in each society. A Japanese translation of Dr.Spock is also available in Japan. The points of comparison are as follows: (1) the goal of child rearing and its social background, (2) child rearing practices, (3) the author's conception of children, values, and world views. The practices discussed in the books are the means of achieving the goal which is to be regulated by the ideas of the author. Though Japanese culture has been westernized since Meiji Era (especially Americanized after the defeat in World War II), the basic features of child rearing remain in contrast to those in U.S.A. Spock advises parents to control their children rigidly according to rules akd not to allow them to diverge from a normative course of development so that they will develop into independent persons. On the other hand, Matsuda believes that every child will arrive at adulthood sooner or later, regardless of disciplinary planning. Then he tells mothers that they need not seriously concern themselves about whether or not their children reach a given developmental level at a certain age. In a word, Spock emphasises a monopolized control of children and shows an individual-centered orientation. On the contrary, Matsuda stresses the acceptance of the "nature" of children and shows a group-centered orientation. In this case the term "natures" means what children are invested with when they come into existence. He expects children to grow up naturally without severe control by parents. The principles advocated by the two authors reflect their cultural backgrounds. For Matsuda, such basic concepts or values of the Japanese as "Hito-to-hito-tono-aida" (the midle ground between two persons) by Bin Kimura and/or "Kanjinshugi" (Contextualism) by Esyun Hamaguchi will correlate with his principle. Finally I must mention that this comparative research has led us to discover that the concept of "socialization" itstlf is rooted in the Western climate of thought like the individualism upon which Spock's principles are based.
著者
野副 重男 小池 隆 辻 恵美 草野 源次郎 瀬戸 治男 青柳 富貴子 松本 春樹 松本 毅 奥野 智旦
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.25, pp.282-289, 1982-09-10

In the course of our continuing investigation of the constituents of a hallucinogenic mushroom, Gymnopilus spectabilis (Japanese name, O-waraitake) collected at Oguni, Yamagata, we have isolated novel type of polyisoprenepolyols designated as gymnopilins -A, -B, and gymnoprenols -A, -B, -C, and -D etc. These substances occured as a mixture of some homologues were separated and throughly purified by means of preparative HPLC and their chemical structures were determined on the basis of the results of oxidative degradation as well as their spectroscopic properties. These polyisoprenepolyols were shown to contain same repeated unit corresponding to hydrated form of usual isoprenoid chain, two or three double bonds and a terminal vicinal diol moiety or the corresponding ester with 3-hydroxy-3-methyl-glutaric acid. The location of double bond was confirmed by the degradation studies. The structures of polyisoprenepolyols such as 1a and 2a have never been encountered in natural products obtained so far. The stereochemistry and biological activities are under investigation.
著者
竹内 洋 稲垣 恭子 細辻 恵子 目黒 強 末冨 芳 佐藤 八寿子 細辻 恵子 目黒 強 末冨 芳 佐藤 八寿子 冨岡 勝 高山 育子 井上 好人 石井 素子 野口 剛 山口 晃子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学生生活調査や校友会誌、新聞記事、書簡集、小説などを資料として1930年代、1960年代の学生文化の転換点を明らかにした。これらの作業にもとづいて、明治期から現在にいたる学生小説の流れを確認し、代表となる学生小説を選定して各時代の特性についてまとめるとともに、学生文化の構造的変容を明らかにした。これらから、戦後日本社会における知識人界と「学問」の変容についてそのダイナミズムを描き出し、現在の社会における大学と大学界のゆらぎについて検討した。
著者
深井 誠一 辻 恵太
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.447-452, 2004-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
5 5

四種のアジア原産トランペットユリ(Liliumcentifolium centifolium, L. sargentiae, L. wallichianum, and L. regale 'Album')をシンテッポウユリ(L. × formolongi)品種ホワイトランサーに花柱切断法で交配した.子房胚珠培養法と胚培養を行い雑種植物体の獲得数を比較した.いずれの交配組合せでも子房胚珠培養法でより多くの交雑植物が得られた. rDNAのPCR-RFLP分析により,幼植物の雑種性が確認された.得られた交雑植物は,いずれも白色トランペット型の花をつけ,花粉稔性は低かった.
著者
土岐 珠未 田淵 拓也 辻 恵子 山口 智彦
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3+, pp.225, 2020-05-01 (Released:2021-09-06)
参考文献数
6

「透明感」は女性が憧れる肌質の重要な要素の一つであるが,その測定方法や評価基準は統一されておらず,限られた評価者の主観による評価に頼らざるを得ないという状況がある.そこで本研究では,幅広い評価者の感覚を数値化することで客観的に評価できる手法の開発に着手した. はじめに,同一の条件で作成した肌画像に対し,一般評価者の女性80名により,透明感の目視評価スコアを7段階で付与した.次に,それらの肌画像を解析してL* a* b*値及び輝度等の色情報を取得し,目視評価スコアと色情報の相関関係を解析した.最後に,重回帰分析により,透明感の目視評価スコアを最も精度高く再現できる色情報の組み合わせを検討した. その結果,目視評価スコアは,肌画像の輝度と極めて高い相関性を示すことが分かった.さらに,b*値のSDを加味することで,「透明感」をより精度高く予測できる式を導き出した.b*値のSDは,色ムラと解釈できることから,人が感じる「透明感のある肌」とは,輝度が高く,色ムラが小さい肌であることと結論付けることが出来た.今後はこの予測式を用いることで,「肌の透明感」を数値的に評価することが出来るようになった.
著者
辻 恵 渡邊 肇子 井合 瑞江
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.266, 2015

はじめに短腸症候群は小児における小腸機能障害の最多原因である。小腸移植の対象であるが、我が国の移植医療の現状では未だ経静脈栄養を半永久的に必要とする病態であり、家族・本人の抱える負担は大きい。われわれは先天性多発小腸閉鎖術後に短腸症候群となった脳性麻痺児に長期経静脈栄養管理を行った例を経験し、発達支援と管理上の問題点について検討する。症例34週2870g、Apgar scor5/7で出生。臍帯損傷による重症貧血、DICを認めた。先天性多発小腸閉鎖の診断で日齢16に回盲部を含む小腸を大量切除し残存小腸は6cmであった。短腸症候群のため中心静脈栄養管理が開始された。脳室周囲白質軟化症、症候性てんかんを合併。2歳1カ月で在宅へ移行したが、自宅での養育困難となり3歳5カ月で当施設入所。入所時の発達レベルは定頸までで、発語なし、刺激による啼泣が多く情緒不安定さが見られた。この時点で中心静脈ルート入れ替えの既往がすでに5回あった。使用したすべての中心静脈に血栓形成を認め、入所後も感染と閉塞、入れ替えを繰り返した。6歳8カ月時、左鎖骨下静脈の血栓除去術と中心静脈カテーテル再挿入後、抗血小板薬内服を開始したところ消化管出血から出血性ショック、敗血症となり集中治療を要した。6歳10カ月現在、経静脈栄養主体で少量の経腸栄養と経口摂取を併用し安定が得られている。未だ移動運動は不可であるがあやし笑い、聴覚刺激に対する表情変化や上肢の探索行動がみられ緩徐ながらも知的発達が見られている。考察脳性麻痺に加え中心静脈ライン維持の困難さは、在宅養育の難しさを容易に想像させる。度重なるカテーテル感染の完全制御は困難でエタノールロックなどの特殊対応をせざるを得ず医療依存的な状態といえる。今後は残存小腸の延長術も検討されており、安定したエネルギー供給と発達促進が期待される。多臓器に障害を抱えた本児への包括的対応が発達発育支援に不可欠であると考えられた。
著者
竹ノ上 ケイ子 佐藤 珠美 辻 恵子
出版者
日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.8-21, 2006-10-02
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

目 的 自然流産後夫婦の関係変化とその要因を明らかにし,夫婦を対象としたケアの方向性,援助方法を考案する基礎資料とする。方 法 自然流産後3か月から2年経過し,掲示やホームページによる公募に応じた夫婦を対象とし,後方視による関係変化についての記述内容をデータとして,質的,帰納的に内容分析を行った。結 果 166名(男性14名,女性152名)が,流産後の夫婦関係の変化内容を記述し,その内容177件をデータとした。夫婦関係の変化内容として【個の成長・成熟と夫婦関係のよい循環過程】,【親密な良い関係のさらなる向上】,【関係の深化と発展】という3つのポジティブな変化と【希薄な悪い関係のさらなる悪化】,【関係の断絶と破綻】という2つのネガティブな変化が得られた。 ネガティブ変化にかかわる要因として【事実誤認と相互理解の困難】,【配偶者を負の方向で評価】,【悲哀のプロセスの共有困難】,【普段の夫婦関係が希薄】,【子どもを持つことについての感情や思考のすれ違い】,【性生活の困難】,【夫婦としての存在意味喪失】の7つが得られた。 ポジティブ変化にかかわる要因として【適切な事実認識】,【配偶者の肯定的評価】,【自己開示と自己確認】,【悲哀のプロセス共有】,【関係向上への努力】,【親としての自覚と努力】の6つが得られた。結 論 流産は衝撃的な対象(胎児)喪失体験であり,危機的状況を引き起こす重大なストレス因子であること,夫婦関係創成期,家族創成期に困難を連続して体験すること,親になる意思確認や夫婦,あるいは家族であることの確認の機会であること,正しい事実認識や悲哀のプロセス共有が危機的状況を乗り越える鍵となり,個と夫婦の発達を促す契機にもなり得るが,反対に感情や思考のすれ違いが生じやすく,関係の断絶と破綻も生じやすいことが示唆された。PurposeThe aim of this study was to explore the ways miscarriage can alter a couple's marital relationship and its related factors.MethodA qualitative, contextual analysis was conducted of 166 subjects--women who had miscarried from three months to two years earlier and their spouses. They were recruited by notices on bulletin board at women's centers, through an Internet Web Site, and through acquaintances. An open-ended question, "How did the miscarriage alter/ affect your relationship?" was asked on questionnaires. 14 males and 152 females responded, describing changes in their relationship after miscarriage. The descriptions were coded into 177 data, which were grouped and analyzed using inductive and contextual methods.ResultsThe contents were compiled into five categories: two negative changes-a worsening of a shallow relation and the aggravation and breakdown of the relation; and three positive changes-better cycle of the development and maturing of each person as an individual and as a couple; a deepening and evolving of each couple's relation; and aimprovement of intimate relations. Eight factors were involved in the negative changes: a) mutual misunderstanding of the difficulties encountered; b) a negative judgment of one's spouse; c) an inability to share the mourning process; d) a continued shallow marital relationship; e) a decrease in communication; f) a lack of agreement on the desirability of having a child; g) sexual difficulties; and h) a general doubting of the value of remaining as a couple. Seven factors were involved in the positive changes: a) strengthening of the couple's bond by sharing the difficulty;b) a recognition of the miscarriage and his/her spouse's reaction; c) a positive evaluation of his/her spouse; d) an open-mindedness to the partner and reconfirmation of his/her own feelings toward the partner; e) a sharing of the mourning process; f) an affirmation of and commitment to improve the marital relationship; and g) a selfawareness and striving for being a parent.ConclusionThese results reconfirmed that a miscarriage is a major stress factor which can cause a crisis in a marital relationship. They also suggest that the ways that women and men face the miscarriage and faced themselves and whether they share the mourning process relates to the development of the relationship. The data also suggeststhat a miscarriage lets the couple confirm whether they want to have a child or not. Finally, the data suggests that a miscarriage, if encountered positively, can help the couple grow from growth into an existential humanistic relationship.
著者
深井 誠一 辻 恵太
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.447-452, 2004-09-15
被引用文献数
2 5

四種のアジア原産トランペットユリ(Liliumcentifolium centifolium, L. sargentiae, L. wallichianum, and L. regale 'Album')をシンテッポウユリ(L. × formolongi)品種ホワイトランサーに花柱切断法で交配した.子房胚珠培養法と胚培養を行い雑種植物体の獲得数を比較した.いずれの交配組合せでも子房胚珠培養法でより多くの交雑植物が得られた. rDNAのPCR-RFLP分析により,幼植物の雑種性が確認された.得られた交雑植物は,いずれも白色トランペット型の花をつけ,花粉稔性は低かった.
著者
竹ノ上 ケイ子 佐藤 珠美 辻 恵子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

自然流産した日本人女性とその配偶者の喪失,悲嘆の実態を把握し,実状に合った援助システムを考案することを研究目的とした。平成14年度は,面接調査に着手し,流産前後のカップルの状況や受けた援助の実際,課題等を把握した。援助の試みとして,インターネットのホームページ:http//web.sfc.keio.ac.jp/〜takenoue/「流産を経験された女性&男性のためのページ」を作成し情報提供とインターネットやメールを介した援助を開始した。平成15年度は,神奈川県かながわ女性センターにおいて面接による聞き取り調査と相談活動を開始し,その指導の際に使用するリーフレットを作成した。また,インターネットのホームページに見る流産後女性たちの喪失,悲嘆の実態と癒しについての調査を行い,流産・早産に関するインターネットのホームページ数が増加傾向にあり,インターネットを介した援助の可能性があることが明らかになった。平成16年度は,流産体験者の会(ポコズママの会)の創設とその活動の支援を行った。この体験者の会のサポートを受けてインターネットのホームページ経由でアンケート調査を行った。その結果,病院・産院での援助・配慮が不十分であること,万人に合う援助はあり得ないので援助の個別化が必要であること,流産体験者同士の情報交換や支え合いが有効であること,インターネットのホームページを介した援助による効果が得られる可能性があることなどが明らかになった。これらの研究成果は国内外の学会で発表した。今後は本研究で得られた知見を医療現場へ還元するとともに,医療者と患者(体験者)が協力して,医療施設以外でも自然流産後の女性と配偶者らの意志を尊重し,彼らの持てる力を発揮してもらい,地域社会を巻き込みながら現実のビーズに合った援助システムを創りあげていく必要があると考えており,研究を継続する予定である。
著者
竹ノ上 ケイ子 佐藤 珠美 辻 恵子
出版者
日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 = Journal of Japan Academy of Midwifery (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.8-21, 2006-10-02 (Released:2013-08-09)
被引用文献数
1

目 的 自然流産後夫婦の関係変化とその要因を明らかにし,夫婦を対象としたケアの方向性,援助方法を考案する基礎資料とする。方 法 自然流産後3か月から2年経過し,掲示やホームページによる公募に応じた夫婦を対象とし,後方視による関係変化についての記述内容をデータとして,質的,帰納的に内容分析を行った。結 果 166名(男性14名,女性152名)が,流産後の夫婦関係の変化内容を記述し,その内容177件をデータとした。夫婦関係の変化内容として【個の成長・成熟と夫婦関係のよい循環過程】,【親密な良い関係のさらなる向上】,【関係の深化と発展】という3つのポジティブな変化と【希薄な悪い関係のさらなる悪化】,【関係の断絶と破綻】という2つのネガティブな変化が得られた。 ネガティブ変化にかかわる要因として【事実誤認と相互理解の困難】,【配偶者を負の方向で評価】,【悲哀のプロセスの共有困難】,【普段の夫婦関係が希薄】,【子どもを持つことについての感情や思考のすれ違い】,【性生活の困難】,【夫婦としての存在意味喪失】の7つが得られた。 ポジティブ変化にかかわる要因として【適切な事実認識】,【配偶者の肯定的評価】,【自己開示と自己確認】,【悲哀のプロセス共有】,【関係向上への努力】,【親としての自覚と努力】の6つが得られた。結 論 流産は衝撃的な対象(胎児)喪失体験であり,危機的状況を引き起こす重大なストレス因子であること,夫婦関係創成期,家族創成期に困難を連続して体験すること,親になる意思確認や夫婦,あるいは家族であることの確認の機会であること,正しい事実認識や悲哀のプロセス共有が危機的状況を乗り越える鍵となり,個と夫婦の発達を促す契機にもなり得るが,反対に感情や思考のすれ違いが生じやすく,関係の断絶と破綻も生じやすいことが示唆された。 PurposeThe aim of this study was to explore the ways miscarriage can alter a couple's marital relationship and its related factors.MethodA qualitative, contextual analysis was conducted of 166 subjects--women who had miscarried from three months to two years earlier and their spouses. They were recruited by notices on bulletin board at women's centers, through an Internet Web Site, and through acquaintances. An open-ended question, “How did the miscarriage alter/ affect your relationship?” was asked on questionnaires. 14 males and 152 females responded, describing changes in their relationship after miscarriage. The descriptions were coded into 177 data, which were grouped and analyzed using inductive and contextual methods.ResultsThe contents were compiled into five categories: two negative changes-a worsening of a shallow relation and the aggravation and breakdown of the relation; and three positive changes-better cycle of the development and maturing of each person as an individual and as a couple; a deepening and evolving of each couple’s relation; and aimprovement of intimate relations. Eight factors were involved in the negative changes: a) mutual misunderstanding of the difficulties encountered; b) a negative judgment of one’s spouse; c) an inability to share the mourning process; d) a continued shallow marital relationship; e) a decrease in communication; f) a lack of agreement on the desirability of having a child; g) sexual difficulties; and h) a general doubting of the value of remaining as a couple. Seven factors were involved in the positive changes: a) strengthening of the couple's bond by sharing the difficulty;b) a recognition of the miscarriage and his/her spouse's reaction; c) a positive evaluation of his/her spouse; d) an open-mindedness to the partner and reconfirmation of his/her own feelings toward the partner; e) a sharing of the mourning process; f) an affirmation of and commitment to improve the marital relationship; and g) a selfawareness and striving for being a parent.ConclusionThese results reconfirmed that a miscarriage is a major stress factor which can cause a crisis in a marital relationship. They also suggest that the ways that women and men face the miscarriage and faced themselves and whether they share the mourning process relates to the development of the relationship. The data also suggeststhat a miscarriage lets the couple confirm whether they want to have a child or not. Finally, the data suggests that a miscarriage, if encountered positively, can help the couple grow from growth into an existential humanistic relationship.
著者
福本 陽平 岸本 幸広 前田 直人 西向 栄治 金藤 英二 岡田 克夫 内田 靖 河野 通盛 是永 匡紹 池田 弘 藤岡 真一 西野 謙 河野 友彦 辻 恵二 平松 憲 柴田 憲邦 児玉 隆浩 周防 武昭
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.484-489, 2007-10-25
参考文献数
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2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.<br>