著者
溝部 俊樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.362-373, 2006 (Released:2006-07-26)
参考文献数
2

高校生がもっている麻酔科医像はテレビや漫画などの メディアによってつくられ, われわれ専門家の言葉は残念ながら彼らにはほとんど届いていない.   『白い巨塔』が書かれた時代 (1963年) には, 麻酔科医は物語に登場することさえなかったが, 徐々に麻酔科医が メディアに登場することが増えて, 仕事の内容はともかく知名度は向上している. しかし, メディアが麻酔事故のみを医療過誤として報道する時代が長く続いたため, 麻酔科医は常に麻酔事故とセットになって描かれ, ネガティブなイメージが広まってしまった. しかし, 今では麻酔科医の仕事が高校生にも理解され始め, メディアにおいて正確で客観的な描写もみられるようになり, 高校生が麻酔科医を正しく理解する基盤が整いつつある.
著者
溝部 俊樹
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1018-1024, 2020-10-01

プロローグ再現性と客観性こそがサイエンスの命である。「私だけがSTAP細胞作れます」と言っても誰も相手にしてくれない。しかしEBM worldは違うようである。周術期高濃度酸素投与によるアウトカムの改善が2000年の『New England Journal of Medicine(NEJM)』誌に掲載されたものの,その後の10余りのランダム化比較試験(RCT)の結果はバラバラ。おまけにメタ分析の結果もバラバラ。最初の提唱者がRCTをやり直して自ら有効性を最終的に否定したら,今度はWHOがガイドラインで周術期高濃度酸素投与を世界中に推奨する始末1)。 基礎科学basic scienceでは,そのmethodologyすなわちassay系の信頼性が命である。しかしEBM worldは違うようである。2001年にNEJM誌に掲載された“自分の所属する単一施設で盲検化もせずに行われた厳格血糖管理によるアウトカムの改善”が,なぜか世界中の麻酔・集中治療領域で大流行。その後のRCTすべてで有効性が否定されたが,唯一,有効性を認めた提唱者自身の続報はpost-hocサブグループ解析を多用するという禁じ手を使っていた。basic scienceのassay系にあたるのがRCTでは統計解析であるが,用いる統計方法によって結論が異なるのは当然である,とEBMの専門家も居直る始末2)。 結局EBMとは,「今後30年以内にマグニチュード7以上の地震が起きる確率は80%です」という地震発生予測と同じであろう。無視はできないが信じると風評被害を生みかねない。これらの詳細はLiSAバックナンバーを参照していただくとして,まずは3年前の周術期高濃度酸素投与のドタバタの続きからお楽しみあれ。
著者
溝部 俊樹
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.362-373, 2006-07-14

高校生がもっている麻酔科医像はテレビや漫画などの メディアによってつくられ, われわれ専門家の言葉は残念ながら彼らにはほとんど届いていない. <br>  『白い巨塔』が書かれた時代 (1963年) には, 麻酔科医は物語に登場することさえなかったが, 徐々に麻酔科医が メディアに登場することが増えて, 仕事の内容はともかく知名度は向上している. しかし, メディアが麻酔事故のみを医療過誤として報道する時代が長く続いたため, 麻酔科医は常に麻酔事故とセットになって描かれ, ネガティブなイメージが広まってしまった. しかし, 今では麻酔科医の仕事が高校生にも理解され始め, メディアにおいて正確で客観的な描写もみられるようになり, 高校生が麻酔科医を正しく理解する基盤が整いつつある.
著者
溝部 俊樹 田中 秀央
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

緑色蛍光蛋白(Green fluorescent protein : GFP)付加α2Aアドレナリン受容体をノックイン発現した遺伝子改変マウスの機能解析を行い、これらのマウスにおいてGFP 付加α2Aアドレナリン受容体が脳内、特に青斑核に発現し、その機能や分布は、野生型と同様であった。
著者
中嶋 康文 上野 博司 溝部 俊樹 橋本 悟
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

血液単球系細胞からのTissue Factor(組織因子)の放出にRaf-MEK-ERK1/2pathway 及びその下流の転写因子Egr-1の関与がRNA 干渉法による遺伝子ノックダウン手技を用いて示唆された。クロドロネート前処理することで、血液中の単球系細胞を抑制したマウスにこれらの遺伝子ノックダウン単球系細胞を注入後、肺梗塞モデルマウスを用いて、肺梗塞の重症度及び生存率を検討したところ、Tissue Factorの発現、炎症系が抑制されることで重症度と生存率が改善した。