著者
大澤 義明
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,欧州を対象地域とし欧州経済にて大きな課題の一つである税競争について現地調査した.欧州税競争及び調和政策,欧州連合,税率差,クロスボーダー購買者の実態を把握し整理し,調査を踏まえ,より単純でより本質的で政策実行に役立つナッシュ均衡モデルを開発した.本年度では,モビリティ拡大という視点から欧州各国間税競争,そして,競争の弊害を調整する欧州における経済共同体の政策について分析した.この経済問題をモデル化し,国の位置,大きさ(人口・面積),国境長といった地理的要因が,各国の税率や税収へどのような影響を与えるかを検討した.1)OECD(経済開発協力機構)からタックスヘブンとして認定されているリヒテンシュタイン公国を訪問し,金融機関の誘致,そしてガソリンスタンドでの越境購買の現状を調査した.2)欧州の付加価値税(VAT)政策に関して,空間を明示的に取り入れた既存研究に加えて,スペースレスの研究について文献調査を進めた.3)一次元市場のモデルを二次元市場で展開するために,ポロノイ図をモデルに応用し分析を進めた.また,ネットワーク市場のモデルを定式化し,日本の道州制など地方分権の下での税競争へ応用した.4)成果の一部を,「付加価値税に関する競争・協調モデル」という章題にて建築学会監修の本「建築最適化への招待」にて発表した.調査による主たる成果は,経済連合の関係もありリヒテンシュタイン公国とスイスとでは消費税に関する競争は顕著ではないが,オーストリアとではガソリン価格差の差異が大きいことが分かった.モデル化に関する成果として,モビリティ拡大としてネットワーク市場を取り入れ,複数国を経由する通過交通や人口一様分布の仮定の緩和を考慮し,均衡の安定性を議論した.
著者
大澤 義明 石川 竜一郎 小林 隆史
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

公共施設立地を巡る投票に参加する住民の影響を考察するため, 空間を取り込んだ基礎理論を構築した.住民アクセスという距離空間を明示的に取り込んだ単純な公共施設配置モデルを構築し,施設建設について各人の負担する費用(個別合理性)と行政が負担する全住民分の費用(全体合理性)についての比較を数式により明示し投票結果が経済的に最適となる必要十分条件を導出した。庁舎問題に関しては現地建て替えが有利となる2/3以上の同意要件(現在の地方自治法)の非効率性について明らかにした.加えて,実際の関東地域自治体庁舎建設に関して,GISを用いて可視化しながら投票結果の移動効率性の大きさや空間分布に関して分析した.
著者
大澤 義明 小林 隆史
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

計量的考察において,具体の関東地域の自治体の将来人口を推定し20歳(18歳)以上のメディアンを算出し地理情報システムなどを用いて時間的かつ空間的に見える化し,投票年齢引き下げの影響を分析した.また,北関東3県自治体の将来予測人口と,各自治体が策定する総合計画の目標人口とを比較することにより,目標人口の過大推計度合いを定量的に明確にした.さらに,茨城県内44市町村を対象とし,東日本大震災による現時点での人口流出の影響を分析した.理論的考察において,異なる人口ピラミッドを持つ2地域にて2政策を選択するモデルを構築し,地域間距離や選挙区の大きさと各地域の投票による政策結果との関係を解析的に導いた。
著者
黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

人間の感情に関連したオノマトペ,すなわち擬情語の分類・可視化を対象とする.この処理に自己組織化マップSOMを用いる.そして,確率的潜在意味解析pLSAを用い,言語コーパスからベクトル表現への縮約効果の検討を行う.擬情語は,オノマトペの中でも音や見た目に依拠していないため,より感情的・感覚的であり伝達が非常に難しい.このため,視覚化による手法は,擬情語に対する有効な伝達手段となると考えられる.
著者
大澤 義明 植松 貞夫 木野 修造
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.489, pp.131-140, 1996
被引用文献数
2 2

The objective of this paper is to examine the trade-off of the accessibility versus the level of the book stock in public libraries. As the criterion of accessibility, we adopt the average distance between the usels' location and the nearest public libraries, and the rate of the population who lives outside the area within the threshold distance. As the criterion of the level of the book stock, we use the rate of overlapping index numbers of books. Multi-objective analyses show that if the network connecting the public libraries are introduced, the plan to construct more libraries are more appropriate using a simple model and an actual planning in Japan.