著者
本田 和也 新井 嘉則 加島 正浩 澤田 久仁彦 江島 堅一郎 米津 博文 杉崎 正志 篠田 宏司
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
TMJ : journal of Japanese Society for Temporomandibular Joint : 日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.349-353, 2000-12-20
参考文献数
11
被引用文献数
5

我々は開口障害の顎関節症患者について, 顎関節造影検査をX線テレビシステムと断層撮影装置を使用して行ってきた。しかし, 上関節腔穿刺時における中頭蓋窩損傷などが問題であった。最近画像支援による外科処置が医科領域で報告され, その有効性が述べられている。しかし, 歯科領域では少ない。当教室で開発した歯科用小照射野CT (以下Ortho-CT) は, X線透視とX線CTの両者の撮影が可能な小型のコーンビーム型X線Computed Tomography (CT) で, 顎顔面領域の小範囲の精査に有効である。我々は, Ortho-CTを利用し顎関節造影検査を行った結果, 良好であったのでその検査法について報告する。<br>本検査法では, 上関節腔に穿刺する場合の安全角度と安全距離を計測した。さらに3次元画像を参照しながら安全性を考慮して造影検査を行った。対象症例は開口障害を伴う顎関節症であり, 検査は安全に行え, 円板の位置と形態の, 造影像はMRIと同じ所見を示した。<br>今後, Ortho-CTを応用したこの検査法は顎関節造影検査に有効であると考えられた。
著者
澤田 久 山縣 健佑 張 仁彦 下平 修
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.125-151, 1996-06-30
被引用文献数
9

高速VTRシステムを用い, 顔面の運動経路を3次元解析した.画像処理装置によるオートトラッキングを行うための標点を作製し, 被検者顔面皮膚上に皮膚用粘着材で貼布した.被検者は, 上下顎無歯顎者3名, 被検音は, 短文「桜の花が咲きました」である.計測部位として, 鼻下点, 上口唇赤唇部上縁, 下口唇赤唇部下縁, モダイオラス部, オトガイおよび切歯点として下顎義歯の中切歯唇面からワイヤーを口腔外へ延長し, 標点を設けた.発音中の被検者の顔面正面と側貌を2台の高速テレビカメラ (nac社製) により高速ビデオカセットレコーダー (nac社製) で録画した.同時に, 音声を, 同一ビデオテープに録音した.得られた音声出力をDSP Sona-Graph (KAY社製Model 5500) に導入し, time-waveおよびスペクトログラム (3D Sonagram) から各音の発生および終了時点を求め, 解析対象区域を規定した.画像解析装置 (Image Data : ID-8000, nac社製) により解析対象区域間の各標点をオートトラッキングして自動解析し, 3次元座標を求め, コンピュータに転送し, 3次元運動解析ソフト (MOVIAS 3D, nac社製) を用いて立体構築した.解析項目は, (1) 空間的移動距離累計 (TL), (2) 計測区分開始点と終了点間直線距離 (SL), (3) TLとSLの比率 (TL/SL), (4) 立体移動範囲 (CR), (5) 方向変更角度 (TH) である.以上の結果, 下顎および各計測点の被検音全体の発音中の運動経路のTL, CR, THは, 無歯顎時 (A) より義歯装着時 (C) の方が小さいことが明らかになった.また, 被検音に含まれる他の母音および各子音の中で, /s/, /∫/, /m/発音中には, 特異の運動経路を示すことが認められた.