著者
和田 侑也 田中 一晶 中西 英之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

一般的なビデオ会議システムでは,対面環境よりも会話相手の存在感が希薄であるという問題がある.我々は,遠隔地間で疑似的に握手をすることができれば,会話相手の存在感が向上するのではないかと考えた.本研究では,握力,温かさ,柔らかさといった握手の感覚を再現することができるロボットハンドを開発し,ビデオ会議システムに装着した.このシステムを用いて,遠隔地の会話相手の存在感が向上するかを調べる実験を行った.
著者
田中 一晶 和田 侑也 中西 英之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1228-1236, 2015-04-15

離れた場所にいる人同士の身体接触を再現する触覚提示デバイスが多くの先行研究で提案されており,そのようなデバイスを介した遠隔接触によって相手が近くにいる感覚,つまりソーシャルテレプレゼンスが得られることが示唆されている.しかし,映像と音声でのコミュニケーションが可能なビデオ会議において遠隔接触が有効に働くかどうかは明らかにされていない.本研究では,リアルな接触感覚を再現する握手用ロボットハンドを開発し,ビデオ会議端末に取り付けて遠隔握手の分析を行った.触覚とユーザの映像を両方提示するインタフェースを検討するうえで,ユーザとデバイスとの接触動作を映像で提示する必要があるか,遠隔接触を双方向で行う必要があるかという疑問が生じる.これらの疑問を実験的に検証した結果,接触動作を提示する必要性は示されなかったが,双方向性はソーシャルテレプレゼンスを強化することが分かった.さらに,最も効果的であった遠隔握手のインタフェースと通常のビデオ会議を比較した結果,遠隔握手はソーシャルテレプレゼンスを強化し,相手に親近感を与えることが分かった.A lot of haptic devices that reproduce touch between remote people are proposed in previous studies. Some studies suggested that mediated social touch via such devices produce the feeling of being close to a conversation partner, i.e. social telepresence. However, in videoconferencing in which users communicate with video and audio, it has not been clarified whether social touch still works effectively. In this study, we developed a robot hand which moves according to user's hand, and attached it to a videoconferencing terminal to analyze remote handshaking. Considering the interface which presents haptic sensation and user's video raises questions as to whether the partner's action of touching a haptic device should be displayed and to whether social touch should be bidirectional. As a result of experiments to confirm these questions, the bidirectional touch enhanced social telepresence but not need to display the touch action. Furthermore, the result of comparing the most effective interface of remote handshaking and a normal videoconferencing showed that remote handshaking enhanced social telepresence and gave the partner a sense of intimacy.
著者
宇野 弘晃 田中 一晶 中西 英之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

本研究の目的は自動相槌システムを開発し,遠隔操作ヒューマノイドロボットを用いる遠隔地間の会話において操作者の負担を軽減することである.従来のロボット操作では操作者に負担を強いることが問題であった.本研究では,会話中の身体動作として特に相槌に着目し,相槌を自動化することでその問題を解決する.自動相槌システムの実用性を調べるために,自動相槌による話しやすさや存在感への影響を測る実験を行った.
著者
塩崎 恭平 田中 一晶 中西 英之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回 (2013) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1G52in, 2013 (Released:2018-07-30)

ビデオチャットにおいて,ロボットを用いて身体動作や身体接触を再現する場合,映像とロボットを組み合わせたシステムのデザインによってソーシャルテレプレゼンスが変動する可能性がある.本研究では,身体接触と身体動作を再現する指相撲ロボットハンドを開発し,ロボットハンドの配置や操作者の映像の範囲を変えて組み合わせた.これらの方法がソーシャルテレプレゼンスにどのような影響を与えるか検証する実験を行った.
著者
田中 一晶 小山 直毅 小川 浩平 石黒 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.622-632, 2018-02-15

人とインタラクションを行うロボットの感情表現は,感情状態をそのまま表現するか,感情状態とは無関係に社会性を表現するか,いずれかの方針で設計されている場合が多い.本研究では,これらの感情表現を情動的表現,社会的表現と定義し,新たに両方を組み合わせた感情表現手法を提案した.人が愛想笑いを行うとき,目元の表情には感情が不随意に表れるが,口元の表情を随意に変化させて微笑むといわれている.この知見に基づいて,提案手法では,目元は情動的表現によって,口元は社会的表現によって表情を決定する.人との対話実験において,提案手法を実装したロボットと一方の感情表現しか行わないロボットとを比較した結果,提案手法は人間らしい印象と社会的な印象の両方において高い評価が得られる可能性が示唆された.さらに,親密さの評価として,友だちになりたいなど,強い社会的結合を必要としない項目の評価では社会的表現が有効に働くが,一緒に生活したいなど,より強い社会的結合を必要とする項目の評価では,情動的表現も必要であることが示唆された.
著者
和田 侑也 田中 一晶 中西 英之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013-HCI-154, no.8, pp.1-8, 2013-07-29

ロボットハンドを用いて遠隔地間で擬似的に握手を行う遠隔握手は,通常のビデオチャットよりもソーシャルテレプレゼンスを強化することがわかった.遠隔握手の方法として,会話相手とロボットハンドの繋がりを持たせる方法,会話相手の手の動きとロボットハンドの動きの同期を見せる方法,ユーザがロボットハンドを操作する方法が考えられる.本研究では,これらの方法がソーシャルテレプレゼンスにどのような影響を与えるかを,被験者実験を通して検証した.
著者
小西 文昂 廣田 敦士 松尾 星吾 家原 瞭 小原 宗一郎 加賀 ゆうた 鶴田 穣士 脇上 幸洋 金尻 良介 深田 智 田中 一晶 岡 夏樹
雑誌
2017年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017-09-15

SeqGANは、DNNによる学習と評価を交互に繰り返し行うことで精度向上を図る学習生成モデルの一種である。本研究の目的は、SeqGANを用いて、人か機械、どちらが詠んだ俳句か判別しにくい俳句を生成することである。
著者
鶴田 穣士 岡 夏樹 田中 一晶
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

音楽を用いたコミュニケーション手段として,ジャムセッションというものがある.それを人間と機械の間でも可能としたものがジャムセッションシステムであり,今まで多く研究がなされてきた.ジャムセッションではボーカルがスキャットと呼ばれる歌唱法を用いることがある.本稿では,ユーザの演奏に対してシステムが初音ミクを用いてスキャットを返すという形態のジャムセッションシステムを提案する.また,この提案システムでは,ジャムセッションを通してユーザが好むスキャットの言葉を強化学習することを目指した.提案システムの実装を行い,ユーザが好むスキャットの言葉の学習を確かめた.
著者
加藤 良治 田中 一晶 中西 英之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

人と人とのインタラクションでは相手の気配を感じることができる.そのような人の気配を人工的に生み出すことが本研究の目的である.我々は,人が隣に座った際の座面の振動を再現するベンチと,遠隔地にいる対話相手の姿をユーザの隣に合成して提示する鏡面映像とを組み合わせた遠隔対話システムを開発した.このシステムを用いて,対話相手の身体動作による物理的な作用の再現が気配として感じられる可能性があることを確認した.
著者
大嶋 悠司 田中 一晶 中西 英之 石黒 浩
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究では,遠隔対話用ロボットの動きから,対話相手が人であると信じられる度合いを測る方法として,モーションチューリングテストを提案する.これは,操作者の身体動作を再現するロボットを通して対話を行い,そのロボットの動きが操作者のものか自動的な作り物であるかを判断する方法である.このモーションチューリングテストを用いて,ロボットの頷きが人の動きであると信じさせる要因を明らかにする実験を行った.
著者
田中 一晶 山下 直美 中西 英之 石黒 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1108-1115, 2016-04-15

ヒューマノイドロボットの遠隔操作と自律操作の本質的な違いは遠隔地にいる操作者の存在の有無と考えることができる.この存在の有無をユーザがどのように判断しているのかはいまだよく分かっていない.その判断のメカニズムを明らかにすることによって,自律ロボットとの対話を人との対話のように感じさせることが本研究の目的である.被験者が遠隔操作状態と自律状態のロボットとそれぞれ対話する実験を行った.その結果,自律状態のロボットとの対話における操作者の存在感は,遠隔操作状態であると“信じて”同じロボットと対話した事前の経験に基づいて判断されることが分かった.自律状態での対話の質が事前の経験での対話の質と乖離していると操作者の存在感は低下してしまうが,事前の対話において自律システムが操作者を装ってユーザと対話し,両状態を曖昧化することで,操作者の存在感を効果的に生み出すことができた.
著者
岡島 知也 田中 一晶 中西 英之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

コミュニケーションに必要とされる眼球動作を再現する様々な遠隔操作ロボットが開発されているが,ロボットの生成した視線が操作者のもののように感じられるかは未だ明らかではない.我々は,視線を提示する眼球ロボットと遠隔地にいる対話相手の映像とをスクリーン上で合成する遠隔対話システムを開発した.このシステムを用いて,ロボットの自動生成した視線が対話相手のものであるかのように感じられるという見通しを得た.
著者
田中 一晶 尾関 基行 荒木 雅弘 岡 夏樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.703-711, 2010 (Released:2010-09-14)
参考文献数
11
被引用文献数
2

In the future, robots will support our work in our daily life. We believe that robots should learn desirable behavior through human-robot interaction. However, it is hard for humans to instruct the robots on all actions. It therefore is important that the robots can utilize rewards (evaluations) as well as instructions to reduce humans' efforts. Additionally, ``intervals'' which allow humans to give instructions and evaluations are also important because there are delays in giving them. We hence focused on ``delays in initiating actions of a robot'' and proposed a method of changing them according to the progress of learning: long delays at early stages, and short at later stages. In other words, if a robot is not sure about its action, it initiates the action laggardly, but if it is confident about its action, it initiates the action immediately. In this work, we conducted experiments on teaching AIBO to shake hands using instructions and evaluations under two conditions: Varying Condition under which the delays vary in accordance with the progress of learning, and Constant Condition under which the delays are set at medium constant. The result demonstrated that Varying Condition improves learning efficiency significantly and impresses humans as teachable.