14 0 0 0 OA 無機物質の色

著者
田中 勝久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.194-197, 2017-04-20 (Released:2017-10-01)
参考文献数
3

無機物質に見られる様々な色は,可視域の特定の波長の光と無機物質との相互作用の結果として現れるものであり,光の吸収と発光が本質的に無機物質の色の違いにかかわる。また,散乱や反射といった現象は色の見え方に影響を及ぼす。光の干渉が独特の色調をもたらす場合もある。無機物質における光吸収や発光の起源として重要なものは,遷移金属イオンのd軌道が関与する電子遷移,結晶におけるバンド間遷移などである。また,金属光沢は光の反射に基づく現象であり,金属中の自由電子がその起源となる。本稿では具体的な例を挙げながら,無機物質における光の振舞いと色との関係を解説する。
著者
平尾 一之 田中 勝久
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

セラミックスの破壊強度は雰囲気の影響を大きく受ける。特にアパタイト-ウォラストナイトガラスーセラミックス組成の人工骨では、ガラス相を粒界相に存在するので、その影響は顕著である。本研究では、この人工骨を用いて、凝似体液を始めとする種々の環境下で、破壊特性がどのように変化するかについて調べるとともに、破壊じん性が大きく、応力腐食や疲労を受けにくくするには、組成をどのように改善すれば良いかなどについて検討を行った。得られた結果は以下の通りである。(1)アパタイトーウォラストナイト人工骨セラミックス(以下AW)の安定破壊試験を行ない、破壊じん性値が1.12MPa・m^<1/2>であることがわかった。また、その有効破壊エネルギ-は、ケロシン中で3.88Jm^<ー2>となったが、水中では1.99、凝似体液中では1.84と大きく減少し、応力腐食反応を人工骨が受けやすいことがわかった。また、破断面のSEM観察の結果、破壊は粒界ガラス相で生じていることがわかった。以上より、水や凝似体液は、粒界のガラス相と腐食反応をおこし、破壊エネルギ-、つまり破壊じん性値を下げることがわかった。実際に、使用条件下では、応力を受けているので、この反応を抑えることが肝要である。そこで、ガラス組成をケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩ガラスを変化させ、ガラス自体の安定破壊をおこさせ、その挙動を観察したところ、ケイ酸塩ガラスでは胞性破壊しやすいのに対し、リン酸塩やホウ酸塩ガラスでは塑性変形をおこしやすいことがわかった。そこで、出発原料として、リン酸塩組成を多く含ませることにより、人工骨セラミックスの破壊特性を改良できることがわかった。(2)分子動力学コンピュ-タシミュレ-ションにより、原子レベルでの破壊実験を行なったところ、ホウ酸塩ガラスではその構造にボロキソルリングなど中距離表面構造があるので塑性変形しやすい事がわかった。
著者
岡村 和麿 田中 勝久 木元 克則 清本 容子
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.191-200, 2006-03-05
被引用文献数
8

2002年および2003年の夏季に有明海奥部・中部域および諫早湾において,表層堆積物の含泥率,酸化還元電位,有機炭素量,全窒素量,クロロフィル色素量および有機炭素安定同位体比(δ^<13>C)を測定した。有機炭素量は,有明海奥部の鹿島沖泥質平坦地の六角川と塩田川に挟まれた干潟浅海域および諫早湾の小長井沖から湾中部にかけての海域において,高濃度(>18 mgC gDW^<-1>)を示した。クロロフィル色素量は,有明海奥部の塩田川沖海底水道北部周辺海域および諫早湾の中部域において,高濃度(>100μg gDW^<-1>)を示した。δ^<13>Cは,有明海奥部の浅海域で低く(<-22.0‰),諫早干拓潮受け堤防付近を除く諫早湾と有明海中部域で高い値を示した(-21.0〜-19.4‰)。クロロフィル色素量およびδ^<13>Cの分布様式から,諫早湾では植物プランクトン起源の有機物が高濃度に堆積していることが推察され,実際に広い範囲で酸化還元電位が低下していることが観測された。潮流速の低下した諫早湾および諫早湾湾口の周辺では,赤潮植物プランクトン起源有機物の堆積により貧酸素水塊の頻発や慢性化が危倶される。
著者
田中 勝久 児玉 真史 熊谷 香 藤本 尚仲
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.163-172, 2004-03-05
被引用文献数
10

筑後川河口域において濁度とクロロフィル蛍光の連続観測をノリ施業期の2002年9月から2003年4月初旬まで約半年間にわたって実施し,潮汐変動との関連を調査研究した。クロロフィル蛍光強度は高濁度の大潮干潮時に増大し,濁度と対応した大きな短期的増減を示した。しかし,濁度の低下する満潮時のデータで比較するとクロロフィル蛍光強度から推定される植物プランクトン現存量は,日射量が極端に低下した2002年12月後半および小潮時に塩分が低下した2003年2月を除くと,小潮時から中潮にかけて増大するが大潮時以降には安定または減少する傾向が認められた.小潮時には,表層塩分の低下(弱混合化・成層化)が進み,表層へ高栄養塩濃度の河川水が影響するとともに透明度の上昇による光条件の好転などにより表層での植物プランクトンの増殖が促進されたものと考えられる。一方,強混合となる大潮時は淫祀の巻き上がりにより透明度が低下し,植物プランクトンは光量不足や物理的分散作用(鉛直混合および沖合水との混合),さらに淫祀による凝集作用により現存量の増大が抑えられると考えられる。
著者
中谷 利雄 脇田 崇弘 大田 陸夫 田中 勝久 若杉 隆
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1290, pp.137-141, 2003-02-01
被引用文献数
8

Powders in the CeO_2-ZrO_2-MO_x system were prepared by coprecipitation method. Influence of adding a third components MO_x of transition metal oxides and rare earth metal oxides on the specific surface area (SA) and oxygen storage capacity (OSC) were investigated. It was found that transition metal oxides decrease drastically both SA and OSC values at 1000℃. On the other hand, rare earth metal oxides slightly decreased OSC values. The OSC values of the 20CeO_2- (80-y) ZrO_2-yMO_x powders with y=0-20 mol% LaO_1.5, showed a maximum at around 6 mol% LaO_1.5. In the CeO_2-ZrO_2-MO_x system, 20CeO_2・74ZrO_2・6LaO_1.5 (mol%) powders exhibited the most efficient performance with a high thermal stability up to 1000℃.