著者
真下 いずみ 田中 和宏 橋本 健志
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.372-379, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1

4年間自閉的生活を送っていた重症統合失調症患者に,生活行為向上マネジメント(MTDLP)を用い,患者の希望する生活行為である「働くこと」を支援した.作業療法士が,就労継続支援B型事業所内(以下,事業所)に出向いて認知機能,精神症状,身体機能を評価した.多職種連携プランを立案し,事業所職員と協働した結果,患者は通所に至った.また介入前後で機能の全体的評定,社会機能評価尺度,WHO/QOL 26の得点が向上した.以上から,重症度によらず患者が希望する生活行為を遂行することが,社会機能と主観的QOLの向上をもたらすと考えられた.作業療法士が地域に出向いて患者が希望する生活行為に介入することの有用性が示された.
著者
田中 和宏 内海 常明 石井 哲夫 有井 克己 荒井 圭介 鴨野 博道 澤田 一勝 田辺 誠
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101788-48101788, 2013

【はじめに、目的】 柔道は2012年4月より全国中学教育で必須化が開始されたが,その種目特性上,傷害は多く発生する.受傷頻度が複数回にわたると競技生活に問題を生じることも予測される.パフォーマンスを高め,傷害を予防していくためには,受傷部位や傷害発生状況,発生時期等を把握することが必要である.そこで兵庫県高等学校体育連盟柔道部では,県下柔道部のある全高等学校を対象にアクシデントリポートの提出を求めた.この結果を解析することで,傷害発生の要因を明らかにすることを試みた.【方法】 兵庫県下の柔道部のある高等学校全87校に,2011年4月から2012年3月までの1年間に発生したアクシデントの全例提出を求め,提出のあった119例を対象とした.アンケート調査の内,発症月,学年,性別,経験年数,発生状況,傷病部位,傷病名について検討した.【倫理的配慮、説明と同意】 対象となる柔道部のある高等学校に説明と同意を得た上で調査を実施した.【結果】 傷病名別では,骨折が最も多く23件(19.7%),次いで捻挫の22件(18.8%),打撲の16件(13.68%),靭帯損傷は13件(11.1%)であった.傷病部位別では,肘関節,手指・足趾が多く17件(14.5%),次いで膝関節,足関節の14件(12.0%),頭の10件(8.54%)であった.学年別に比較すると,肩関節,膝関節,手指・足趾においては,1年生に比べ2,3年生の割合が多くみられた.傷病発生月別では,4月が最も多く31件(26.5%),次いで5月の19件(16.24%),8月の15件(12.82%),9月の10件(8.55%)であった.傷病発生月を学年別にみると,1年生において,4月は10件(32.3%),5月は9件(47.37%),8月は11件(78.57%),9月は5件(50%)となっており,2年生は,4月は9件(29.03%),5月は5件(26.32%),8月は3件(21.43%),9月は5件(50%),3年生は,4月は12件(38.71%),5月は5件(35.71%),8月・9月は0件であった.発生状況別では,練習中が59件(50.43%)と半数以上を占め,試合中が23件(19.66%),授業中が11件(9.4%)であった.【考察】 宮崎らによれば,中学校,高等学校柔道部員では肩,膝,肘,手・手指,足・足趾部の外傷が多く,傷病名では骨折,捻挫が多いと報告している.今回の調査においても,傷病名別では骨折,捻挫が多く,傷病部位別では,肘関節,手指・足趾,膝関節,足関節が大部分を占めており,これまでの報告と同様の結果であった.これは技術面の問題に加え,骨関節は成長軟骨を含み脆弱であり,筋は発育途中である点など成長期である点が多く影響していると考える.傷害発生月別では,これまでは4月,5月に初心者の受傷が増えると多くの指導者は考えてきた.しかし,4,5月は2,3年生が全体の約7割を占めており,1年生の割合は多くない.それと比べ,8,9月は1年生が半数以上占めている.この理由として,高等学校の行事に関連があると考える.2,3年生は,4,5月は部活の中で中心的な立場で,高等学校総合体育大会等に向けて,平常より長時間の密度の高い練習を行う.このため,肉体的,精神的疲労が受傷に影響すると考える.また,8,9月に1年生が多い理由として,夏休みの合宿期となり,基礎練習から本格的な練習に進むことが影響していると考える.上記のことからスポーツサポートしていく上で,経験の浅い1年生だけでなく,2,3年生にも秋,冬期から計画的に傷害予防を促していくことが重要であると考える.【理学療法学研究としての意義】 身体的に成長期で,技術も未熟な時期の傷害特性を知ることは,コンディショニングを通じての傷害予防に有益である.
著者
真下 いずみ 田中 和宏 橋本 健志
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.372-379, 2020-06-15

要旨:4年間自閉的生活を送っていた重症統合失調症患者に,生活行為向上マネジメント(MTDLP)を用い,患者の希望する生活行為である「働くこと」を支援した.作業療法士が,就労継続支援B型事業所内(以下,事業所)に出向いて認知機能,精神症状,身体機能を評価した.多職種連携プランを立案し,事業所職員と協働した結果,患者は通所に至った.また介入前後で機能の全体的評定,社会機能評価尺度,WHO/QOL 26の得点が向上した.以上から,重症度によらず患者が希望する生活行為を遂行することが,社会機能と主観的QOLの向上をもたらすと考えられた.作業療法士が地域に出向いて患者が希望する生活行為に介入することの有用性が示された.
著者
田中 和宏 井口 寿郎 川畑 明治 山下 光則 川野 洋 今村 一秋
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.23-30, 1996-08-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

搾乳牛の分娩時期によって泌乳曲線がどのように変化するかを考察する目的で, 分娩月別泌乳曲線を作成し, 分娩月別の乳牛による夏期における生産性や経済性を検討した。初産, 経産牛ともに4~8月分娩牛はピークのほとんどない泌乳曲線になり, 特に乳量水準の高い8, 000kg以上の牛で5~8月分娩牛になると乳量水準も低くなった。2~4月分娩牛の305日生産乳代がもっとも高く, 5, 6月分娩牛がもっとも低く, 8~12月分娩牛は夏期乳生産にほとんど貢献していなかった。結論として夏期需要期における乳生産のためには, 分娩時期を考慮することが必要であり, 経済性と繁殖サイクルを含む生産性から考慮すれば, 夏 (5~7月) 分娩は望ましくなく, それよりやや早い2~4月分娩の方がより望ましいと考えられる。