著者
南郷 栄秀 田中 雄二郎
出版者
Tokyo Medical and Dental University (TMDU)
雑誌
Journal of Medical and Dental Sciences (ISSN:13428810)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.109-118, 2010 (Released:2016-09-26)
参考文献数
30

BACKGROUND: The effect of multidisciplinary education on clinical decision making by medical students is not well known. METHODS: Twenty of fourth, fifth or sixth year medical students were randomly assigned to multidisciplinary groups (MultiG, n = 7) with two medical, pharmacy and nursing students or medical student groups (MedG, n = 10) with six medical students only and given a two-day PBL program using evidence-based medicine (EBM) methodology. The main outcome measure is clinical decision making by medical students for the case, measured by a 100 mm visual analog scale (VAS). Additional patient information requested and self-evaluation of the PBL program were also measured. RESULTS: Correct answers to assess clinical epidemiology knowledge increased significantly in both groups (4.1 to 9.9 points in MultiG, p < 0.001: 3.6 to 9.7 points in MedG, p = 0.002), while scores at baseline and post-program were not significantly different. The number of additional patient information cards requested was not significantly different (p = 0.10). After the program, the VAS for clinical decision making was significantly different (54 mm and 89 mm, p = 0.013), although preprogram values for both groups were similar. CONCLUSION: Pharmacy and nursing students may have potential to change the clinical decision making by medical students.
著者
山根 道雄 田中 雄二郎 大野 智之 小橋 高宏 田尻 和男 山岡 一昭 高元 俊彦 大岡 真也 佐藤 千史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.310-315, 1999-05-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
26

致死量をこえる黄リンを服用し, 肝機能障害とビタミンK不応性の凝固障害をきたしながら, N-acetylcysteine (以下NAC) の早期経口投与により救命しえた1例を経験した. 症例は56歳, 女性. 自殺目的にて“猫イラズ”1/2本以上 (黄リン800mg相当以上) をジュースに溶解し服用約2時間後, 嘔吐を主訴に受診した. 服薬状況より致死的と判断し, 同意を得たうえで服用9時間30分後にNACを胃管より投与した. 投与量は急性アセトアミノフェン中毒に準じた. 凝固因子はビタミンK投与にかかわらず, 第4病日にはPT43%, トロンボテスト18%まで低下した. GPTは第5病日に 191IU/lとピークに達したが, 黄疸は認めなかった. 回復期の肝生検では, 肝細胞内のリポフスチンの増加やクッパー細胞の腫大等を認め, 電顕上はrERの減少を認めた. 抗酸化剤のNACには内因性NOの産生・活性化作用が知られており, 黄リンによる急性肝不全を軽減しうる可能性が示唆された.
著者
岡田 益吉 小柳津 広志 田中 雄二郎 武田 裕 家 泰弘 及川 昭文
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

科学研究費補助金は,その発足以来,大学等の研究機関における学術研究を,基礎研究から試験的研究まで幅広く支援してきている。また,分野も文学,歴史,法学などの人文・社会科学から理学,工学,医学などの自然科学までのすべての専門分野にまたがっており,今や日本の学術研究を支える基盤的経費として位置付けることができる。近年,学術活動を支える研究環境の整備,とりわけ,学術研究の振興の要となる科研費の拡充が緊急の課題となっており,これに伴い学術審議会等から科研費の配分審査体制の一層の改善・充実が求められている。これらを受けて研究種目の改編や分科・細目表の改正等が行われてきているが,科研費における学術研究の進展に寄与するためには,科研費による学術研究の実態を分析しその動向等について詳細な基礎データの整備・収集・分析を行うことが必要である。このため,平成5年度は下記のとおり調査研究を行った。(1)科研費の審査員に対するアンケート調査科研費の一般研究等の審査は書面による第一段審査と合議による第二段審査の二段審査制により行われているが,平成5年度の審査に携わった第一段審査員及び第二段審査員並びに平成6年度の審査に携わった第二段審査員に対して,配分審査方法と実際に審査を行った際の問題点等について,アンケート調査を行った。(2)各大学の研究者に対するヒアリング調査メンバーが手分けをして,大学等の研究者から,科研費における学術研究の実態,科研費に関する要望,本研究課題で検討中の配分審査方法の改善案等に対する意見等について,ヒアリング調査を行った。(3)アンケート調査・ヒアリング調査の集計・分析2年間のアンケート調査・ヒアリング調査等の結果を集計・分析し,研究成果報告書を取りまとめた。
著者
寺本 研一 高瀬 浩造 寺岡 弘文 有井 滋樹 斉藤 佳子 田中 雄二郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1)ES細胞より肝細胞の分化誘導に関する研究前年度までの研究で、我々はマウスES細胞より胚様体細胞を経由してアルブミン産生細胞を分化させることに成功した。この細胞は尿素合成能、アンモニア分解能を持ち、肝細胞にきわめて近い細胞と考えられた。この細胞をC57BL/6マウスに肝障害の条件下細胞移植したところ生着し、アルブミンを産生した。しかしながら、同時に20-30%の頻度で奇形腫の発生をみた。今回、奇形腫発生を抑制するために、細胞のセレクションを行った。まず、胚様体細胞より単層細胞培養を行い15日目に分離し、パーコール法により比重で細胞をセレクションした。この細胞群はoct3/4の発現はネガティブであった。この細胞を上述の肝障害モデルマウスに移植したところ奇形腫の発生は認めなくなった。以上より、ES細胞より奇形腫の発生しない細胞群の回収が可能になった。また、さらにこの細胞群をFACS, MACSを使用し他の血球成分を除去することによりアルブミン陽性細胞を多く得ることが可能になった。また、これらの細胞は四塩化炭素による強い肝障害マウスにおいて凝固因子を有意に増加させることが判明した。2)カニクイザルES細胞ES細胞の臨床応用を目指して霊長類カニクイザルES細胞から肝細胞の分化誘導を試みた。霊長類ES細胞の分化誘導はマウスES細胞の分化誘導と異なる方法が必要であるが、我々の方法でアルブミン産生細胞を誘導することができた。3)血からの肝細胞の分化誘導我々は膀帯血からの肝細胞分化誘導に成功したが、アルブミンとCK-18、アルブミンとCK-19を発現する2種類の細胞を確認した。現在、胆管上皮細胞に分化誘導が可能かどうか研究中である。