- 著者
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田口 太郎
- 出版者
- 農村計画学会
- 雑誌
- 農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.3, pp.364-369, 2013
- 被引用文献数
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1
平成20年4月に提出された総務省過疎懇談会による提言「過疎地域等の集落対策についての提言」の中で新たな過疎対策としての集落支援員の重要性について言及され,同年より専任の集落支援員が199名,兼任が約2,000名配置されたのを皮切りに,平成24年度では専任694名,兼任約3,500名が配置されている。さらに平成21年より若者を中心とした都市住民を過疎地域に定住させ地域づくりに貢献してもらう「地域おこし協力隊」も設置されるなど,現在では多くの人材が様々な制度の下で,集落支援活動を展開している。これらの取り組みはこれまでの事業型支援から人材による柔軟な支援(以後,「人的支援」と称す)への転換であると言え,その成否が今後の集落支援施策に影響すると言える。一方で,2012年に放映されたテレビドラマの影響もあり,2013年度は更にこうした人的支援を導入する自治体が爆発的に増えている。こうした中,地域で活動する「人的支援」の担い手を対象とした人材育成の取組みはあまり行われておらず,多くの地域で具体的な活動イメージを作れないなどの課題が出てきている。筆者らはこうした地域への人的支援の担い手となる「集落支援員」および「地域おこし協力隊」を対象とした人材育成プログラムを開発し,平成23年度から総務相と連携した上で,全国で活動する「集落支援員」及び「地域おこし協力隊」を対象とした初任者研修,ブラッシュアップ研修を実施してきた。本稿ではこうした人材育成の取組みを紹介すると共に,効果的な取組みとするために必要な人材育成の方向性について論じることとする。