著者
市橋 則明 池添 冬芽 羽崎 完 白井 由美 浅川 康吉 森永 敏博 濱 弘道
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.79-83, 1998 (Released:2007-03-29)
参考文献数
6
被引用文献数
5 5

本研究の目的は,健常男性12名を対象に,各種ブリッジ動作中の股関節周囲筋の筋活動量を明確にし,さらに各筋のMMT3の筋活動と比較することである。測定筋は,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,大内転筋とし,各筋の整流平滑化筋電図を求めた。その結果,両脚ブリッジの筋活動量は20%以下の低い筋活動であった。一方,片脚ブリッジの筋活動量は,股伸展・外転筋で高い値を示し,両脚ブリッジと比較し,すべての筋において有意に増加した。MMT3の筋活動とブリッジ動作を比較すると,大内転筋を除いて片脚ブリッジの方が大きい筋活動を示した。本研究結果より,片脚ブリッジは大殿筋だけでなく中殿筋や大腿筋膜張筋の筋力トレーニングとして有効であることが示唆された。また,片脚ブリッジをするためには,MMT3以上の筋活動が必要であり,訓練処方の1つの基準となると考えられる。
著者
三木 誓雄 寺邊 政宏 森本 雄貴 樋口 徳宏 小川 亜希 白井 由美子 岡本 京子 菱田 朝陽 Donald C. McMillan
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.597-602, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
31

悪液質は「単なる栄養補給では改善できない、骨格筋喪失を伴う栄養障害」と定義される。悪液質は通常の低栄養とは異なり全身の代謝異常を伴い、治療の継続性、有効性に悪影響を及ぼし、QOLの低下のみならず生存期間の短縮をも、もたらす。これまで悪液質はがん終末期の病態と考えられてきたが、比較的早期の段階から出現し、病期に依存しない予後不良因子であることがわかってきた。20世紀半ばより悪液質に対する強制的経腸あるいは経静脈栄養が試みられてきたが、有効性を示すエビデンスは得られなかった。近年全身性炎症を制御する目的でEPAが悪液質の治療に用いられるようになった。しかしながらQOLを向上させるエビデンスは示されているものの生存期間の延長に関しては一定の見解は得られておらず、今後治療開始時からの免疫栄養療法の早期導入や分子標的治療を初めとする抗腫瘍療法との組み合わせなどが期待されている。