著者
吉田 成仁 高嶋 希 皆川 陽一 脇 英彰 山本 純 小林 直行
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.147-153, 2019-04-30 (Released:2019-11-13)
参考文献数
21

トレーニングを安全に効果的に実施するには,目的に合わせたトレーニング負荷で実施することが求められる.本研究は,サイドブリッジの足の高さや不安定性を変化させた時の筋活動を明らかにすることを目的とした.健常な大学生を対象とし,安定した床(安定面),台上安定面,バランスディスク(不安定面),台上のバランスディスク(台上不安定面)に足を置いて実施する4種類のサイドブリッジを行い,実施時の筋活動を比較検討した.台上に足を挙げると中殿筋の活動が低下し,不安定面に乗せると体幹筋の活動が増加することが示唆された.高さは中殿筋の活動量,不安定性は体幹筋の活動量に影響を与える可能性がある.
著者
宮崎 彰吾 皆川 陽一 沢崎 健太 飯村 佳織 脇 英彰 田原 伊織 吉田 成仁 赤岩 忠孝 佐保田 満美 田村 憲彦 藤岡 隆司 森野 一巳
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.254-265, 2019 (Released:2020-07-13)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【背景】欠勤には至っていないが、 様々な徴候や症状で労働遂行能力が低下している労働者の状態 (プレゼンティーイズム) が、 企業に多額の損失を与えている。 しかし、 包括的かつ実効性のある労働衛生対策は未だ提示されていない。 そこで、 鍼治療を含む施術費用への助成が労働者のプレゼンティーイズムに有用であるか中間解析した結果を報告する。 【方法】プレゼンティーイズムと自覚しているオフィスワーカーを対象として、 4週間のランダム化群間比較試験を行い、 各職場において励行されている通常のプレゼンティーイズム対策を任意で行う対照群、 通常の対策を任意で行うことに加えて鍼治療を含む施術に要した費用に対して最大8,000円まで助成を受けることができる介入群、 のいずれかに割り付けた。 主要評価項目はWHO-HPQの相対的プレゼンティーイズム値 (1から低下するほど労働遂行能力が低下していることを意味する) で、 最大の解析対象集団を対象に解析した。 【結果】52例を介入群30例と対照群22例とに割り付けた。 介入群では、 首や肩のこり (67%)、 腰痛 (26%)、 うつ (5%)、 アレルギー (2%) に対して鍼治療を平均1.4回受療して合計7,219円支払い、 6,556円の助成を受けた。 その結果、 相対的プレゼンティーイズム値は対照群0.91に対して介入群0.95で、 群間差は0.04 (ES(r)=0.22、 P=0.12) であった。 【結論】プレゼンティーイズムと自覚しているオフィスワーカーに鍼治療の費用に対して4週間に合計最大8,000円助成する、 と提示すると平均1.4回受療し、 提示しない場合と比べて労働遂行能力が約4% (一人当たり19,691円に相当) 向上することが示唆された。
著者
皆川 陽一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.65-68, 2022 (Released:2023-06-28)
参考文献数
14

現在、わが国の総人口は減少し続けている。さらにその分布をみると生産年齢人口の減少、高齢者人口の割合が増加している。そのため、経済活動や社会保障制度をはじめとした様々な分野に影響が生じることが考えられる。企業に関して言えば、希望する人材を確保するのが難しくなると同時に、企業に健康で長く定着する対策や従業員 1 人 1 人が良好な労働パフォーマンスを発 揮するための施策などを打ち出さなければならない。 労働パフォーマンスに影響を与える因子を考えると、その要因は様々であるが、2000 年代より「休暇を取るほどでもないが、なんとなく調子が悪い、いまひとつ仕事がはかどらない」という労働者の状態(プレゼンティーイズム)が、仕事の生産性を低下させ、企業に多額の損失を与えていることが指摘され始めた。また、その原因のうち、多くの労働者が抱える様々な慢性的な症状(例: 肩こり、腰痛)による損失総額は、病気による欠勤(アブセンティーズム)や治療費をはるかに上回っていることが判明した。こうした状況を受け、企業も生産性の改善につながる対策を実践する機運が高まりつつあるが、様々な症状に対する包括的かつ実効性のある対策は示されていない。 そこで、本稿では、プレゼンティーイズムの概要を述べるとともに、労働者が抱える様々な慢性的な症状に包括的に対応することが可能と思われる「鍼治療」に着目し、東京都鍼灸師会の協力を得て行った健康上の理由で労働遂行能力が低下していると自覚しているオフィスワーカーに対して月額合計最大 8,000 円まで「鍼治療」に要した費用に対する助成が受けられる群と受けられない群のランダム化比較試験で得られた結果について一部ご紹介する。
著者
皆川 陽一 伊藤 和憲 今井 賢治 大藪 秀昭 北小路 博司
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.837-845, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
18

【目的】鍼治療は、 顎関節症の保存療法としてよく用いられているが、 その多くが咀嚼筋障害を主徴候としたI型の報告である。 そこで今回、 関節円板の異常を主徴候としたIIIa型患者に対して鍼治療を行い、 症状の改善が認められた1症例を報告する。 【症例】19歳、 女性。 主訴:開口障害、 開口・咀嚼時痛。 現病歴:X-1年、 左顎に違和感が出現した。 X年、 口が開きにくくなると同時に開口・咀嚼時の顎の痛みが出現したため歯科を受診した。 診察の結果、 MRI所見などから顎関節症IIIa型と診断され鍼治療を開始した。 【方法】鍼治療は、 関節円板の整位と鎮痛を目的に外側翼突筋を基本とした鍼治療を週1回行った。 効果判定は、 主観的な顎の痛み・不安感・満足感をVisual Analogue Scale(VAS)で、 開口障害を偏位の有無で、 円板・下顎頭の位置や形態の確認をMRIにて評価した。 【結果】初診時、 顎の痛みを示すVASは52mmであり鍼治療を行ったところ、 2診目治療前には痛みの軽減がみられた。 4診目に一時的な症状の悪化が認められたが、 その後も治療を継続することで顎の痛みを示すVASが2mmまで改善した。 一方、 治療8回終了後のMRI撮影では関節円板の転位に著変はないものの運動制限と開口障害の改善がみられた。 【考察】顎関節症IIIa型に対する鍼治療は関節円板の整位はみられないものの転位した関節円板に随伴する症状を改善させる効果を有することが示唆された。