著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.25, pp.15-24, 2018

本研究の目的は、児童館職員及び民間児童クラブ職員を対象とした質問紙調査から、放課後児童クラブに おいて高学年児童を受け入れることについての認識を検討することであった。高学年児童の受け入れに不安を 感じるか否かの理由づけと受け入れにあたりどのような対応・準備がなされているかについての自由記述を求め、 日本語テキスト型データ分析システムKH Coderを用いて分析を行った。操作の詳細を明示・公開した上で多変 量解析による自由記述データの要約・提示を行うことで、児童館職員及び民間児童クラブ職員の認識について、 客観性を確保しつつ全体的な特徴をとらえることを試みた。
著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.167-176, 2016

本研究の目的は、現場の教師や将来教員を目指している学生たちが道徳の教科化を好ましいと感じているか否かについて、理由づけを検討することであった。前報では、教育学部生、保育者、小学校教員、中学校教員及び高等学校教員を対象として質問紙調査を実施し、①道徳の教科化、②道徳に検定教科書を導入すること、③道徳で評価を行うことのそれぞれについて、好ましいと思うか否かを尋ねた。本報では、前報で取り扱うことのできなかったこれらの理由づけの自由記述をテキストマイニングにより分析した。その結果、まず、道徳の教科化に関してネガティブな認識が示される要因のひとつが評価の導入であることが確認された。また、検定教科書や評価の導入を肯定する理由づけにおいて特徴的であったのは「教科になれば必要だから」という消極的な理由であった。特に評価に関しては、導入すること自体に積極的な意義を見出した回答はほとんど見られなかった。教科化のための検定教科書導入、教科化のための評価といった認識が、道徳の教科化に対する抵抗感をさらに強めるひとつの要因となっている可能性が示唆された。
著者
越中 康治 目久田 純一 淡野 将太 徳岡 大
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
no.54, pp.425-432, 2020-01-30

本研究の目的は,国民意識(国家的遺産への愛着,愛国心,国家主義,国際主義)と道徳教育均質化志向及び道徳の教科化に対する態度との関連について検討を行うことであった。教員を対象とした質問紙調査の結果,道徳教育均質化志向については,国家的遺産への愛着・愛国心・国家主義との間に正の相関,国際主義との間に負の相関がみられ,重回帰分析では国家的遺産への愛着から正の関連,国際主義から負の関連がみられた。また,道徳の教科化への賛意については,国家的遺産への愛着及び愛国心との間に正の相関がみられ,重回帰分析では国家的遺産への愛着から正の関連がみられた。これらの結果を踏まえ,国家的遺産への愛着が道徳教育均質化志向を媒介して道徳の教科化に対する態度に影響するかを検討するために間接効果の検定を行った結果,間接効果の有意性が確認された。すなわち,国家的遺産への愛着と道徳の教科化に対する賛意との関連性は,道徳教育均質化志向を介在させることによってよりよく説明された。
著者
目久田 純一 越中 康治
出版者
梅花女子大学心理こども学部
雑誌
梅花女子大学心理こども学部紀要 = Baika Women's University Research Bulletin-Faculty of Psychology and Children's Studies (ISSN:24320439)
巻号頁・発行日
no.9, pp.41-48, 2019-03-21

本研究の目的は,権威主義的伝統主義と道徳の教科化に対する態度の関係性が,道徳教育均質化志向を媒介因子として仮定することによって,より良く説明されることを示すことだった。教育学部生と小・中学校教員を対象に質問紙調査を行い,権威主義的伝統主義尺度,道徳教育均質化志向尺度,そして道徳の教科化に対する態度について尋ねた。152 名の教育学部生(男性72 名,女性80 名)と157 名の小・中学校教員(男性69 名,女性84 名,不明4 名)のデータに基づき,HAD16.050 を用いて,権威主義的伝統主義と道徳の教科化に対する態度の関連性における道徳教育均質化志向の間接効果をBootstrap 法によって検討した。その結果,教育学部生と小・中学校教員の双方において,許容範囲内の間接効果が認められ(それぞれZ = 3.48, 95% IC [0.07, 0.21]; Z = 1.39,95% IC [0.00, 0.06]),本研究の想定した媒介モデルの妥当性が示された。
著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.21, pp.39-44, 2014

本研究では、教師を目指す学生が、懲戒と体罰をどのように区別しているのかについて、テキストマイニングによる自由記述文の分析から検討を行った。教育を専門としない学生との比較を通してその特徴の把線を試みた結巣、教育を専門としない学生が懲戒と体罰との違いを「程度」「理由の有無」あるいは「相手がどう取るか」の問題ととらえる傾向にあるのに対して、教師を目指す学生は「身体に対する侵害」や「肉体的苦痛」を与える行為であるか否かに言及して両者を区別する傾向にあることが示された。他方、両者の区別に関して、教師を目指す学生においても、その認識は一様ではないことも確認された。体罰の禁止及び児章生徒理解に基づく指導の徹底を図る上でも、養成課程の教育において、さらに理解を深める機会を設けることの必要性が示唆された。
著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設
雑誌
幼年教育研究年報 (ISSN:03883078)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.33-41, 2017

This study aimed to explore characteristics of daycare and elementary school teachers' verbal support to children in the context of peer trouble. A questionnaire survey was conducted among daycare teachers, which included kindergarten teachers and elementary school teachers, as well as undergraduate teaching students, who were mainly students studying to be elementary school teachers. They were requested to freely describe the verbal support they used in situations of trouble among children, and an analysis was conducted using text mining. Results revealed that undergraduate teaching students tended to make suggestions and issue warnings, such as "you cannot hit" or "you cannot do that." Many suggestions and warnings among the elementary school teachers were similar to those of the undergraduates; however, there were also questions such as "why" and "what did you want to do?" Conversely, although, similar to the elementary school teachers, the daycare teachers asked many questions, they offered relatively few suggestions and warnings as compared with the undergraduate teaching students and elementary school teachers. It was found that daycare teachers, elementary school teachers, and undergraduate teaching students all have their own characteristic expressions.本研究は日本パーソナリティ心理学会第21回大会において発表した内容を加筆・修正したものである。本研究はJSPS 科研費15K17263の助成を受けた。
著者
新見 直子 川口 朋子 江村 理奈 越中 康治 目久田 純一 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.7, pp.125-138, 2007

本研究では、中学生、高校生、大学生を対象に自己愛傾向(評価過敏性、誇大性、身体賞賛、自己確信)と自尊感情(Rosenberg, Cheek & Buss, SE-Iの各自尊感情尺度で測定される自尊感情)を測定し、青年期の自己愛傾向と自尊感情の関連性について発達的に検討した。本研究の主な目的は、4つの自己愛傾向尺度得点と3つの自尊感情尺度得点が、中学、高校、大学の各学校段階においてどのような因子構造をもつのかについて二次因子分析をとおして検討することであった。自己愛傾向と自尊感情の7つの尺度得点について学校段階別に二次因子分析を行った結果、いずれの学校段階においても自己を受容する尺度得点から構成される因子と他者評価を気にする尺度得点から構成される因子の2因子が抽出された。
著者
越中 康治 江村 理奈 目久田 純一 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.5, pp.161-167, 2005

本研究では,幼児の自由な集団編成に及ぼす仲間からの人気度と社会的行動特徴の影響を検討するために,保育園における整列場面(幼児が自由に2人組あるいは3人組を編成する場面)の観察と,人気度及び社会的行動特徴の測定を行った。結果として,男児では,集団編成に人気度の影響は認められず,攻撃性の高い者ほど3人組で中央の位置を占めていることが示された。女児では,2入組を編成する際には,仲間から人気がある者及び社会的コンビタンスが高いとされる者ほど容易に集団編成を行うことが示された。また,3人組を編成する際には,攻撃性の高い者ほど容易に集団編成を行うこと,引っ込み思案で非攻撃的な者ほど3人組で中央の位置を占めていることが示された。幼児の自由な集団編成に及ぼす仲間からの人気度と社会的行動特徴の影響は,性別や編成する集団の人数によって異なることが示された。