- 著者
-
香川 勇介
真野 俊樹
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.37-50, 2017-01-10 (Released:2020-03-31)
- 参考文献数
- 39
本論文の目的は,医療サービスにおける予防的コミュニケーションの成功要因を整理し,実証分析のための枠組みを作ることである。予防的コミュニケーションに関して関連する理論を渉猟して検討した結果12の仮説が得られた。そのうちの3つの仮説に対して探索的に実験を行った。結果として,①セルフ・エフィカシーを高められるメッセージであればあるほど,予防的コミュニケーションは成功しやすい,②セルフ・エフィカシーを高めるメッセージの場合,ゲイン・フレームより,ロス・フレームのメッセージが有効である,③セルフ・エフィカシーを高めるメッセージの場合,ゲイン・フレームより,ロス・フレームのメッセージの方が,行動変容ステージを促進しやすい,が支持された。医療サービスにおける予防的コミュニケーション成功のためにセルフ・エフィカシーを高めることの有用性が示唆された。