著者
矢藤 優子 孫 怡 安梅 勅江 安田 裕子 吉 げん洪 Park Joonha
出版者
立命館大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究は日本・中国・韓国3ヵ国における社会心理学・発達心理学・臨床心理学の研究者と連携し,多様な研究手法を用いた大規模な文化比較研究を通じて, 1)就労女性の産後復帰の実態および早期育児支援,養育スタイルのあり方を比較し,2)3ヵ国において異なる育児支援・養育スタイルが社会・家庭・個人要因と絡みながら,親子のwell-beingおよび乳幼児の発達に影響を及ぼすメカニズムを解明,3)各育児支援スタイルの利点と欠点および文化差を明らかにした上で,働く母親に有効な育児サポートと支援策を提供し,女性の就労・育児の両立,および子どもの健やかな成長に貢献することを目指す。
著者
藤戸 麻美 矢藤 優子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.135-143, 2015 (Released:2017-06-20)
参考文献数
24

本研究では,幼児を対象にうそ行動の前提要因となる認知的基盤について検討した。4~6歳児75名を対象にうそ課題と誤信念課題,葛藤抑制課題,反事実的推論課題を実施し,うそ課題とそれぞれの課題の成績間の関連をみることで,うそ行動に必要な認知的基盤を検討した。重回帰分析の結果,誤信念課題と月齢の交互作用および反事実的推論課題の交互作用が認められた。誤信念課題との関連は,4歳児のみでみられた。誤信念の理解がうそ行動の前提要因として不可欠であるという従来の知見とは一致せず,誤信念理解はうそ行動に必要不可欠な認知的基盤であるとはいえない。また,全年齢群で反事実的推論課題との関連が認められたが,特に6歳児ではその関連がもっとも強かった。この結果は,年齢が上がるにつれて,うそ行動の前提要因としての認知的基盤が,誤信念理解から反事実的推論能力へと推移していくだろうことを示している。つまり,年齢範囲によって,うそ行動の認知的基盤が異なる可能性が明らかとなった。この可能性からは,4歳児にとってのうそ行動とは,他者のこころの状態の推測に基づいて行われる行動だと考えられる。誤信念理解ができている年齢時期だと考えられる6歳児では,現実とは異なる仮定を想定し,それに基づいて結果を推論するという反事実的推論の能力を支えとして,うそ行動を行うようになると考えられる。
著者
矢藤 優子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,行動計測機器「デジタルペン」を用いて,幼児の書字・描画活動のプロセスとその発達過程を明らかにすることを目的とした。本研究の結果,「なぐり描き」を含む幼児期の描画活動は学童期に必要とされる書字能力の発達と連続的な関係にあることが示唆され,また,描画研究を行うにあたって,これまでのように完成された絵画(何を描いたのか)を分析するばかりでなく,「どのように描いたのか」というプロセスを分析することによって,新たな知見を得られることが示された。