著者
矢野 隆 井上 久雄 清水 康雄 新開 志帆 越智 政勝
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-58, 2002-04-01
被引用文献数
3 1

ユスラウメ台木栽培に適した品種を探索するため, モモ15品種を試作し, 収量, 乾物分配および枝幹横断面の性状について調査した.年平均収量は'千曲白鳳', 'あかつき', 'よしひめ', '川中島白桃'で多く'武井白鳳', '八幡白鳳', 'やまなし白鳳', '瀬戸内白桃'で少なかった.果実生産性の高い品種は他の部位の乾物重量も多かったのに対して, 生産性の低かった'八幡白鳳', 'やまなし白鳳', '竜鳳'は総乾物重も低く, 純生産量が少ないと考えられた.一方, '武井白鳳', '瀬戸内白桃'は果実生産量は少なかったが穂木部の幹への分配は多く, 総乾物重において高生産性品種との有意な差はなかった.穂木部における幹の性状と乾物生産についてみると, 皮部の面積割合の高い品種はおおむね穂木部乾物重が少なかった.衰弱しやすいとされる'川中島白桃'はF/L比が極めて高く, 果実への分配が特異的に多くなった.この物質分配の不均衡は, 樹勢衰弱を誘発させる一要因と考えられた.
著者
村上 泰浩 矢野 隆
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

熊本市の市街地住宅地における、九州新幹線新設工事とJR鹿児島本線の高架化工事ならびにその鉄道騒音に長期間曝される沿線住民に対する社会調査を行い、同一地域で、工事経過ごとに異なる列車走行状態による鉄道騒音・振動等の物理量と社会反応との関係を探り、それらを総合的に分析した。2008年~2012年の調査の結果、新幹線開通後の在来線と新幹線による騒音のアノイアンスの関係では、全体的には在来線騒音の方が新幹線騒音よりも住民に及ぼす不快感が高いことがわかった。新幹線開通後の在来線と新幹線による振動によるアノイアンスの関係では、戸建住宅において在来線振動に対する反応が高いことがわかった。
著者
矢野 隆 佐藤 哲身 山下 俊雄 川井 敬二
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.607-618, 1999-09-01
被引用文献数
2

熊本とイェーテボリで同一の方法を用いて道路交通騒音に関する社会調査を実施した。道路交通騒音に対する一般的な不快感はイェーテボリの戸建て住宅で最も大きく, イェーテボリの集合住宅で最も小さかった。熊本での反応はその中間に位置し, 住宅タイプ間に有意差はなかった。地域別・住宅タイプ別に道路交通騒音に対する不快感の構造を調べるために, パス解析を適用した。どの場合も共通して排気ガスの効果が最も大きかった。イェーテボリでは庭/バルコニーでの休息妨害の効果, 熊本ではTV/ラジオ聴取妨害の効果が大きかった。このような要因の効果から, 道路交通騒音に対する社会反応の地域間・住宅タイプ間の相違を解釈した。
著者
矢野 隆 新開 志帆 井上 久雄 森口 一志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.711-717, 2000-11-15
被引用文献数
4 3

ユスラウメ台木を用いたモモ栽培においては, '川中島白桃'では衰弱症状が発生しやすいが, 'あかつき'は衰弱症状の発生が少ない.そこでユスラウメ台木樹における衰弱症状発生に関わる要因を炭水化物栄養の面から明らかにするため, 普通台木とユスラウメ台木に接いだ両品種について, 細根, 1年生枝, 新梢, 葉のデンプンと可溶性糖類の季節的消長を比較した.休眠期のデンプン, 可溶性糖類の消長は, 同じ台木では, 品種による明らかな差はみられなかった.ただし, 両品種ともにユスラウメ台木樹では開花前の細根のデンプン含量が普通台木樹の半分程度であった.果実生育期のユスラウメ台木の'川中島白桃'における細根, 新梢のデンプン含量は果実生育期間を通じて普通台木のものより低かった.これに対して, 'あかつき'の細根, 新梢のデンプン含量は両台木間で顕著な差はみられなかった.これと同様な傾向は細根の総糖およびソルビトール含量についてもみられた.なお, 新梢の糖含量や1年生枝, 葉のデンプン, 糖含量等については, 両品種間で樹勢衰弱につながる顕著な差は認められなかった.これらの結果から, ユスラウメ台木の'川中島白桃'で衰弱症状が発生しやすい一つの原因は, 果実生育期における細根のデンプンおよびソルビトールや, 新梢におけるデンプンの欠乏によるものと考えられる.