1 0 0 0 若者と宗教

著者
石井 研士
出版者
国学院大学出版部
雑誌
国学院雑誌 (ISSN:02882051)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.p45-63, 1995-09
被引用文献数
1
著者
中牧 弘允 近藤 雅樹 片倉 もとこ 鵜飼 正樹 岩田 龍子 石井 研士
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本年度は、昨年度に引き続き企業博物館や会社を個人ないし数名で訪問し、聞き取り調査をおこなった。地域別の主な訪問先は次のとおりである(詳細は報告書参照)。北海道:小樽オルゴール堂アンティークミュージアム、小樽ヴェネチア美術館、旧日本郵船株式会社小樽支店、小樽運河工芸館、雪印乳業史料館、サッポロビール博物館、竹鶴資料館、コニカプラザ・サッポロ、らいらっく、ぎゃらりい(北海道銀行)、石炭の歴史村、男山酒作り史料館、優佳良織工芸館、ふらのワイン工場、池田町ワイン城、馬の資料館、太平洋炭礦炭鉱展示館 関東:資生堂企業資料館、日本銀行貨幣博物館 中部:東海銀行資料館、窯のある広場・資料館(INAX)、日本モンキーセンター(名古屋鉄道) 諏訪北澤美術館、SUWAガラスの里 近畿:ホンダコレクションホール、パルケエスパーニャ、真珠博物館、竹中大工道具館、島津創業記念資料館 九州:西部ガス、ハウステンボス、べっ甲文化資料館このほか住原は原子力発電所PR館のうち昨年度の訪問先以外のすべてを調査するとともに、関電、北電、九電の本社でインタビューをおこない、PR館が原発のしくみや安全性を説明する施設から、リクリエーションや地元文化を紹介する文化観光施設に変わってきたことを明らかにし、記号論者の言う「詩的機能」が付与されヘゲモニ-形成に寄与していることを実証した。会社の求心性や遠心性については、日置が「組織ユニットにおける副の職務」に関して、企業の組織改革の中で自分の役割を主張する機会のないまま、整理対象となっている副の役割について研究をおこなった。会社の記念行事や宗教儀礼にみられるように、経営に宗教的要素が動員されることについては、ダスキンと日立製作所、伏見稲荷神社で調査を実施した。2年度にわたる調査研究の結果、会社文化の研究には「経営人類学」とでも称すべき研究分野が存在することがしだいに明確となり、企業博物館や宗教儀礼の分析を通して、会社の精神的の文化的・経営的側面こそが経済よりもむしろ歴史的に意味をもつ場面のあることを明らかにした。
著者
中牧 弘允 村上 興匡 石井 研士 安達 義弘 山田 慎也
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度は、入社式、新入社員研修と社葬に焦点を置いて調査をおこなった。入社式と新入社員研修については大阪のダスキンで、一燈園とのつながりを明らかにした。社葬については、ソニーの社葬を調査し、国際色豊かな演出の中にソニーの企業としての特色と盛田会長のカリスマ的創業者としての性格を明らかにした。また、大成祭典、一柳葬具総本店といった葬儀社においても調査をおこない、社葬と社員特約の歴史的変遷を跡づけた。平成12年度は、前年度に引き続いて入社式、新入社員研修、社葬を追跡調査したほか、社内結婚についての調査もおこない、公と私の場が入り交じった日本独特の会社文化を明かにした。社葬と会社特約については、大阪の大手葬儀社である公益社を新たに調査した。平成11・12年度を通じて、九州の酒造関係の地場産業における儀礼調査、京都の伏見稲荷神社における会社儀礼の調査をおこない、伝統産業と宗教の関わり、会社ならびにサラリーマンの強化儀礼について研究をおこなった。それぞれの調査を総合して、報告書として「サラリーマンの通過儀礼に関する宗教学的研究」を作成した。
著者
石井 研士
出版者
国学院大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

俗信や民間信仰は、表現形態は変わっても、日本人の基層信仰に深く関わる領域として認識されてきた。しかしながら、一部の民俗学研究の成果や、日本人の宗教意識・宗教行動の変化に関する研究から、基層的な信仰形態に大きな変化が生じていることが指摘されている。こうした俗信・民間信仰の変化に関する資料は、ごく一部を除いて存在しない。日本人の宗教性は、欧米のような教会帰属型の、自覚的意識的な宗教ではなく、日常生活の中で発揮される。こうした日常生活における宗教性の総体の変化を知ることが重要であると考えられる。本研究目的は以下の二点である。第一は、過去に行われた比較可能な俗信・民間信仰に関する調査結果の収集を行う。第二は、収集した資料を基にして、数量的な変化を把握することを目的として設定したときに有効な調査項目(質問文と回答のための選択肢)を考察する。俗信や民間信仰の現状に関する研究を概観すると、そうした現象があたかも「現代日本社会」において「誰でもが関与」しているかのように分析されていることに気づく。友引の葬儀、仏滅の結婚式、葬儀の際の清め塩、北まくら等、こうした現象に言及することで、あたかも現在も広く日本人の間に見られるかのようである。しかしながら世論調査の結果によると現在は少数派である。他方で、口割け女、ピアスの女、走り女、学校の二宮金次郎など、メディアに景況されながら、新しい都市伝説、民間信仰が生まれているのも確かである。世論調査によって明らかになる日本人の基層信仰はきわめてわずかであって、時系列上で比較なデータはさらに僅少である。日本人の宗教性のもっとも日常的で基層となる宗教性に関するデータの蓄積は研究の基本である。定時的で計測可能な世論調査によるデータ収集の実現が望まれる。