著者
石原 忠 紀成 尚志 保田 正人
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.309-316, 1974-03-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

The presence of high thiaminase activity in anchovy was reported in the previous paper. It was suggested from the report that continuous feeding of animals with the anchovy may possibly result in vitamin B1 deficiency.In the present experiments, male chickens were fed with a diet containing water extract of anchovy and the effects on growth were studied. For the control, this water extract was boiled for 10 min before feeding.As a result of feeding with the non-boiled extract of anchovy, the amount of B1 in liver and muscle gradually decreased but the amount of pyruvic acid in blood increased. Anorexia and retardation of growth were also observed, and heart rate, respiratory rate and body temperature gradually decreased, resulting finally in typical vitamin B1 deficiency.When 0.5 or 1.0 mg of vitamin B1 was injected daily into the leg muscle of B1 deficient male chickens, they regained their stamina in one or two days.The control group given boiled extract showed favorable growth without any abnormal symptoms.
著者
保田 正人 山添 義隆 石原 忠
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 = Bulletin of the Faculty of Fisheries, Nagasaki University (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.18, pp.51-58, 1965-02

BERGERMAN & ELLIOTのシュウ酸定量法を若干改変した変法により汽水性,淡水性及び回遊性の魚類数種のものの肉質中シュウ酸含量とその経年消長を測定した.併せてシュウ酸含有量の温度の変動による影響について考察し,次の如き結果を得た. 1)ムッゴロウ,ワラスボの如き汽水魚におけるシュウ酸平均含有量の周年消長の様相は極めて良く類似し,両者共8月に最高,3月に最低値を示す. 2)回遊性のアジ,サバについての季節的変動は認められない. 3)魚肉中のシュウ酸含量は極めて少なく栄養学的には問題にならない. 4)棲息環境温度とシュウ酸含量については休眠期を除き正の相関が認められる. 5)魚肉中のシュウ酸含有量は温度による魚類の活動状況に支配される公算が非常に大きく,成熟度には比較的左右されないものと考えられる.
著者
槌本 六良 橘 勝康 原 研治 石原 忠
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

種々の食用魚種における筋タイプと死後硬直進行を検討し、以下の結果を得た。種々の魚種の普通筋にはタイプII-aとII-b及びピンク筋の筋タイプが存在したが、その死後硬直との関係では、普通筋部にピンク筋が介在している魚種の死後硬直の進行速度とその到達レベルが高かった。白筋・ピンク筋・赤筋の分取し易いコイを用いて検討を行ったところ以下の結果を得た。筋肉内エネルギー貯蔵物質(ATP関連化合物総量・グリコーゲン量)はピンク筋・白筋・赤筋の順で多く、乳酸脱水素酵活性は白筋とピンク筋が赤筋に比較して高かった。すなわちピンク筋の嫌気的代謝能力は極めて高かった。筋タイプ別の死後硬直の進行はピンク筋・赤筋・白筋の順に速く、アクトミオシンの超沈殿反応でみた筋収縮モデルではピンク筋と白筋が赤筋よりそのレベルが高かった。筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性ピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。各筋タイプから調節した筋小胞体のCa放出能・Ca up take・Ca^<2+>-ATPasaからみたCa^<2+>調節能はピンク筋と白筋が赤筋よ 高かった。また電子顕微鏡を用いた形態計測の結果、筋小胞体の筋原線維に対する充実度(容積占有率・表面積率)はピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。すなわち、筋肉の収縮を支配し死後硬直進行に大きく係わるCa^<2+>調節能はピンク筋が最も高いと考えられた。以上の結果より、普通筋部へのピンク筋の介在が死後硬直の進行を速めると同時にその収縮レベルを高くしていると考えられた。