- 著者
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石崎 研二
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.1, pp.86-93, 1995-06-30 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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本稿では,東京都23区におけるファーストフード店の空間的競合の分析を行ない,その立地戦略との関係について考察した。最近隣尺度および最近隣随伴尺度を用いて, 1987年と1994年における店舗の分布を判定した結果,次のようなことがわかった。 (1) 最近隣尺度は1987年と1994年でさほど変わりがなく,マクドナルドと森永ラブには特徴的な集積パターンがみられる。 (2) 最近隣随伴尺度によれば,各チェーン間の組み合わせによってばらつきがあり,特にマクドナルドとロッテリアの空間的競合,モスバーガーと他のチェーンとの回避が顕著である。 (3) 特にモスバーガーは, 1994年では,他のチェーンと集積する傾向にあり,店舗の立地変化が確認できる。次に,ファーストフードが対象とする,年齢15~34歳の昼間人口密度と夜間人口密度で地域を分割して,各チェーンがいかなる市場をターゲットとしているかを検討した。その結果, 1987年では,マクドナルドおよびロッテリアは昼間人口を指向し,モスバーガーは夜間人口を指向するが, 1994年においては,モスバーガーは他のチェーン店がターゲットとする昼間人口密度が卓越した市場へも進出を始めている。このような各チェーンにおけるターゲット市場の相違は,競争上の地位や企業の目標などの違いに起因する立地戦略の差異を反映している。また,モスバーガーにみられるように,ターゲット市場の変更や資金の増大に伴い,立地戦略を変更する企業もある。先に検証した様々な空間的競合は,ターゲット市場の選定に代表される立地戦略の相違を表わしているといえよう。