著者
石川 健介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.84-101, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
117
被引用文献数
1 1

本稿では,2013年7月から2014年6月までの1年間に,わが国で発表された「臨床心理学」に関する研究の動向を展望した。はじめに日本教育心理学会第56回総会の「臨床」部門に発表された論文を概観し,年齢区分ごとに特徴的なキーワードを挙げた。次に,6つの学術雑誌に掲載された「臨床心理学」に関する研究を概観した。この結果,心理的不適応/精神症状では,「抑うつ」に関連する研究が最も多く,「反すう」や「ストレス」,「バーンアウト」を扱った研究も同様に多かった。尺度開発を扱った研究は少なかった。介入プログラムや心理療法では,認知行動療法・行動分析・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が多く取り上げられていた。
著者
石川 健介
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-13, 2000-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、近年盛んに行われているSSTプログラムを慢性の精神分裂病患者に適用し、そのプログラムを般化・維持、社会的妥当性の面から評価することである。対象者は、約24年、27年、10年、および9年と長期にわたって入院している慢性の精神分裂病患者であった。訓練効果の般化と維持を促すために、以下のような手続きを組み込んだ。(a)訓練場面において環境的な側面および弁別刺激の観点から現実場面を再現する。(b)訓練期間を2つに分け、連続強化から部分強化に移行した。その結果、標的行動は訓練場面だけでなく、実際場面においても成績が上昇し、般化が観察された。さらに、その効果は徐々に下降してはいくものの、比較的長期間(20か月間)維持されていた。また、数値上の改善だけでなく、社会的妥当性の評価から、プログラムの対象者および主治医の評価も高いことが明らかとなった。
著者
豊田 さくら 石川 健介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-030, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究の目的は,猫動画・画像を視聴することによるストレス緩和効果,気分状態改善効果について検討することであった。「猫動画の視聴(動画群)」,「猫画像の視聴(画像群)」,「安静状態の保持(統制群)」の3つの視聴条件を設定した。動画群では猫の動画が提示され,画像群では猫の画像が提示された。統制群では,猫動画も猫動画も提示をしなかった。3(群)×2(測定段階)の分散分析を行った。測定段階の主効果は,全て群において「緊張」と「怒り」と「疲労」の得点で有意であった。群の主効果および群と測定段階の交互作用は,全ての項目で有意でなかった。以上より,全ての視聴条件によって「緊張」「怒り」「疲労」の気分の状態が変化したことがわかる。しかし,猫動画・画像を視聴することによって得られる特別な効果は示されなかったといえる。
著者
田中 孝治 森川 綾香 石川 健介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 先進的学習科学と工学研究会 92回 (2021/7) (ISSN:13494104)
巻号頁・発行日
pp.04, 2021-06-30 (Released:2021-07-02)

コロナ禍の学校教育システムにおける価値共破壊を回避することが必要である。著者らの大学の学科では,学生が主体となってピアサポートサービスを提供するオンライン心理教育的援助サービスが実施された。本研究では,ピアサポートサービスの提供者を対象に質的調査を行い,心理教育的援助サービスにおける教員と学生の価値共創を検討した。
著者
石川 健介
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.84-101, 2015
被引用文献数
1

本稿では,2013年7月から2014年6月までの1年間に,わが国で発表された「臨床心理学」に関する研究の動向を展望した。はじめに日本教育心理学会第56回総会の「臨床」部門に発表された論文を概観し,年齢区分ごとに特徴的なキーワードを挙げた。次に,6つの学術雑誌に掲載された「臨床心理学」に関する研究を概観した。この結果,心理的不適応/精神症状では,「抑うつ」に関連する研究が最も多く,「反すう」や「ストレス」,「バーンアウト」を扱った研究も同様に多かった。尺度開発を扱った研究は少なかった。介入プログラムや心理療法では,認知行動療法・行動分析・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が多く取り上げられていた。