著者
前田 有美恵 石川 雅章 山本 政利 寺田 志保子 増井 俊夫 渡辺 佳一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.447-450, 1985-12-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
16
被引用文献数
5 4

イワシについて焼く, 煮るめ調理を行なった場合のイワシ中の不飽和脂肪酵の安定性を明らかにするために, 脂肪酸組成およびEPA, DHA含有量の変化を検討した。またイワシ中の脂肪酸とEPA食品のそれとを比較し, 次の知見を得た。1) イワシ中のEPA, DHAをはじめとする不飽和脂肪酸は, 焼く, 煮るの加熱調理を行なっても安定で脂肪酸組成は変化しなかった。2) 生魚に比べ焼魚はEPAが17%, DHAが15%減少したが, これは脂質の減少 (20%) にほぼ比例していた。また煮魚ではEPAおよびDHAはほとんど減少しなかった。すなわち, 焼魚, 煮魚ともに調理によるEPAおよびDHAの極だった損失はないことが明らかになった。3) イワシ (11月) は可食部1g当たりEPAを24.9mg, DHAを31.7mg含有していた。同量のEPAおよびDHAを摂取するのにEPA食品ではイワシの12~36倍も高価であった。こうしたことより安全性, 経済性および栄養の面を考慮すると, EPAおよびDHAの摂取にはEPA食品よりもイワシを活用するほうが望ましい。
著者
宮新 美智世 松村 木綿子 石川 雅章
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.987-994, 1994
被引用文献数
2

歯髄切断法の術式と長期的臨床経過を検討することを目的として,外傷により歯冠破折をきたした幼若永久歯64歯に対して,歯髄切断後長期にわたり臨床的X線学的な経過観察を行った.患児は60名で初診時年齢は平均9歳3か月,経過観察期間は3年から19年まで平均10年1か月であった.その結果,46歯(72%)が経過良好であった一方,術後5年以内に歯髄炎もしくは歯髄壊死が18歯(28%)に認められたが,歯髄生存中は歯根形成の継続が見られた.X線写真上のdentin bridgeは58歯(91%)に,多くは術後1年以内に認められ始めた.うち12歯は歯髄炎または歯髄壊死に陥った症例であった.経過良好例のうち33歯に対しては,糊剤を除去してdentin bridge上における電気歯髄診断,抵抗値測定,糊剤の再貼布を試み,除去した糊剤を光学顕微鏡により観察した.この結果,修復物下には空隙,壊死組織などが観察された.dentin bridgeには穿孔もなく,その電気抵抗値には幅があった.dentin bridge直上での電気歯髄診断への反応値は歯冠上における値よりも小さい傾向があった.糊剤の再貼布後の異常はなかった.以上から,歯髄切断後におけるdentin bridgeの形成は必ずしも良好な予後を確約せず,糊剤を再貼布することや,術後経過を5年以上観察することが望ましいことが示唆された.
著者
石川 雅章 小野 博志 王 歓 でん 輝 DENG Hui WANG Huan 石川 雅章 でんぐ 輝
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

日本人と中国人は、文化を背景とする民族は異なるものの人種的にはモンゴロイドに属し、極めて近縁とされる。顎・顔面頭蓋の成長発育には、遺伝的要因に加え環境的要因が少なからず関与し、部位によってその程度が異なる。本研究は北京医科大学口腔医学院小児歯科と協同して、中国人双生児の歯列咬合や顎・顔面頭蓋の遺伝的成長発育様式を調査し、日本人小児と比較することにより、モンゴロイドの顎・顔面頭蓋の形態変異について考察を深めようとするものである。平成6年度は北京市内で双生児を収集し予備調査を行ったところ、女児が男児よりも多く応募し、費用の観点から、調査対象を中国人女児双生児に限定することとした。また平成6年度と8年度では、顎・顔面頭蓋の成長発育にとっての環境的要因につながる中国人小児の生活習慣や食習慣を各地で調査した。都市化の進んだ地域とそうでない地域の間で、さらに、都市化した地域でも両親の職域によってこれらの習慣に比較的差異がみられた。あらかじめ、DNAフィンガープリント法により中国人女児双生児の卵性診断を済ませておき、平成7年から9月と12月に、計約90組の双生児資料採得を2年間にわたり行った。その内容は問診表記入、身長体重測定、口腔内診査、側貌および正貌頭部X線規格写真撮影、パノラマX線写真撮影、印象採得などである。平成9年2月現在、歯列模型と側貌頭部X線規格写真の分析を中心に研究が進行中である。歯列模型では口蓋の三次元形状分析を、顕著な不正咬合がなく側方歯群が安定し、かつ歯の欠損のない17組について行った。口蓋の計測には、格子パターン投影法による非接触高速三次元曲面形状計測システム(テクノアーツ、GRASP)を使用した。1卵性双生児群と2卵性双生児群での分散比から(双生児法)、歯頚部最下点間距離では左右第1大臼歯間においてのみ遺伝的に安定する傾向がみられ(p<0.05)、乳犬歯間、第1乳臼歯間、第2乳臼歯間では両群間に有意差は認められなかった。また、それぞれの口蓋の深さについても両群間で有意差は認められなかった。一方、口蓋の容積については、全体および左右乳犬歯より後方の容積が遺伝的に安定する傾向にあったが(p<0.01)、左右乳犬歯より前方の容積は、両群間に有意差が認められなかった。すなわち、混合歯列期の口蓋は遺伝的に制限された一定の容積のもとに、その構成成分である幅や深さは変異しやすいことが示唆された。側貌頭部X線規格写真上には、日本小児歯科学会による「日本人小児の頭部X線規格写真基準値に関する研究」と同様の計測点計測項目を設定し、当教室の頭部X線規格写真自動解析システムにて入力分析した。各双生児組の一人を用いた半縦断的な角度的および量的計測結果を、上記基準値と年齢幅が近似するよう三つのステージに分類し、日本人小児の成長発育様式と比較検討した。さらに双生児法により、各計測項目とその年間変化量などについて遺伝力を算出した。角度的分析から、混合歯列期中国人双生児の顎顔面頭蓋概形は日本人小児とおおむね近似していたが、前脳頭蓋底に対する上下顎歯槽骨前方限界は中国人小児が僅かに近心位にあり、上下顎中切歯歯軸傾斜はやや小さかった。また混合歯列前期のみであったが、前脳頭蓋底に対する下顎枝後縁角は中国人小児が有意に大きく、下顎角は有意に小さかった。一方、量的計測項目は全体的に中国人双生児の方が小さめであったが、日本人小児との身長差を反映していることも考えられる。量的計測項目の遺伝力は混合歯列中、後期と増加する傾向にあり、前脳頭蓋底で70%弱、鼻上顎複号体と下顎骨は70〜80%台であった。これら遺伝力は、男児や男女児双方を扱った他の双生児研究よりもやや大きく、本研究が、男児よりもネオテニ-的である女児のみを対象としたことと関連しているかもしれない。下顎骨のなかでは、下顎骨長が下顎骨の前後の高さよりも、遺伝的要因の占める割合が高くなると推定された。下顎骨構成成分間での遺伝力の差は、下顎骨が遺伝的に制限された一定の長さのもとに形態形成しやすいことを示唆していると考えられた。今後は、当教室に保管されている日本人双生児や北米白人双生児資料との比較研究を鋭意進めていく予定である。
著者
浮島 美之 秋元 宣子 成田 弘子 石川 雅章 藤井 貴野 木野 正彦 山脇 正樹 岡田 昌二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.339-346, 1989-10-31
被引用文献数
1

To identify the species of mushrooms mainly for the distinction of poisonous mushrooms from edible ones, thin layer isoelectric focusing analysis was applied on their water-soluble proteins. 1. The electrophoretic profiles were species-specific. The proteins extracted from the cap and stem in a species gave essentially identical profiles. 2. The profiles of cap proteins of 10 individuals of Akamomitake (Lactarius deliciosus) were indifferent, indicating that the intra-species variation of water-soluble proteins was little. 3. The heat treatment at higher than 60℃, for 10 min, of the water-soluble proteins of Dokutsurutake (Amanita virosa) caused temperature-dependent disappearance of protein bands, while not significant change up to 60℃. 4. The values of pI and relative peak height of isoelectro-focused water-soluble protein bands were numerically expressed. These numerical values were species-specific, indicating that mushroom species might be identified by analyzing the water-soluble proteins with a verification of the tables of these numerical values. 5. The present method was applied for the identification of poisonous Kusaurabenitake (Rhodophyllus rhodopolius) mixed in Urabenihoteishimeji (Rhodophyllus crassipes) which caused a food poisoning incident. The former mushroom was satisfactorily identified by this method.