- 著者
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進藤 久美子
石川(高野) 祐子
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- pp.NSKKK-D-23-00010, (Released:2023-06-14)
生産量の増加が期待される施設栽培のパプリカを対象とし,同一園芸施設で栽培された2014年産,2015年産の適熟果を5品種ずつ用いて,Na,K,Ca,Mg,P,Fe,Zn,CuおよびMnを分析し,品種と収穫時期の違いによる含有量の変動を検討した.二元配置分散分析の結果,2014年産はすべての無機元素の品種間,収穫日間およびCa以外の無機元素の交互作用で有意な差が認められ,2015年産はすべての無機元素の品種間,収穫日間および交互作用で有意な差が認められた.ただし,品種別に整理すると,品種間や色による明らかな違いが見られなかったこと,および品種によらず,収穫時期の違いによる無機元素含有量の変動状況が似ていることなどから,パプリカに含まれる無機元素は,品種や色の違いより,収穫時期の影響が大きいと判断された.本報告は,施設栽培パプリカにおける品種と収穫時期の違いによる成分変動の一例であるが,本報告の2015年産パプリカ試料では,CaやMnは夏季から初秋にかけて低い傾向があり,また夏季から初秋にかけてKおよびZnが高い傾向があった.