著者
中川 致之 田村 真八郎 石間 紀男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.475-480, 1972
被引用文献数
2

味の異なる20種の緑茶の浸出液について,苦味,渋味,うま味,甘味など味要素別の強さと総合的な味の強さを官能検査により測定し,構成味要素の強度のパターン(呈味構造)とし好度との関係を究明した。<BR>(1) 苦味,渋味,総合的な味の強さが強過ぎても弱過ぎてもし好度が低下し,中程度の近辺でし好度の高いものが多かった。<BR>(2) うま味,甘味は緑茶としてのイメージが損なわれない範囲内では強いほどし好度が高かった。しかし,味要素としてのうま味がある程度以上になると異質感が生じ,その増加に伴ってし好度が低下した。<BR>(3) 苦味,渋味が強くなるとうま味,甘味が弱く感じられること,また,うま味,甘味が強くなると苦味,渋味が弱く感じられることが認められた。
著者
大和田 隆夫 飯野 久栄 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.147-152, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
5 5

温州ミカン果汁の主要成分である糖と酸の含量と嗜好との関係を明らかにするため,官能検査を行ない,次のような結果を得た。(1) 消費者に受け入れられる範囲は糖酸比からみると最低は12.5であった。より正確には,適正糖酸比は酸度によって変化し,糖酸比だけでは果汁の嗜好性を説明しきれなかった。(2) 最高嗜好度は糖と酸の相互作用によって変り,両者の関係式6X+8≧Y≧6X+6を満たす糖度(Y)と酸含量(X)のとき最高値が得られた。(3) 100%果汁の大部分は,これらの範囲外に分布するものと推定され,果汁の酸度に応じて糖を加えることにより,より消費者の嗜好に適したものにすることができることを認めた。(4) 天然ジュースに対して砂糖を加えることにより,消費者の嗜好性を高めることができるのは,甘味を適当な強さに上げると同時に,砂糖により酸味をやわらげる効果のあるためであることが明らかになった。(5) 消費者のジュースに対する反応は,酸味の強いものに対しては厳しく,甘味の強いものに対しては寛大であることが明らかであった。
著者
松下 幸子 寺尾 京子 石間 紀男
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.75-83, 1980

1) 児童, 青年, 中年, 老年の年齢階層別の320名を調査対象として, 71品目の調理食品について嗜好調査を行った.調査には嗜好尺度による調査用紙を使用した.<BR>2) 嗜好調査の結果, 嗜好度の高かったものは, 児童では, 焼きそば, ホットドッグ, コロッケ, コーンスープ, 肉まんじゅう, ホットケーキ.青年ではすきやき, 野菜サラダ, シュークリーム, わかめのみそ汁, 白菜の漬け物.中年ではすきやき, 茶わん蒸し, 雑煮, わかめのみそ汁.老年ではひじきと油揚げの煮つけ, わかめのみそ汁, 白菜の漬け物, 赤飯などであった.<BR>3) 嗜好調査の結果について主成分分析を行ったが, 調理食品に対する嗜好には, 年齢階層別に明らかな区別があることが認められ, 主成分軸の上で児童から老年の方向へ, 嗜好が系統的に変化していくことが見られた.<BR>4) 主成分軸の意味づけを行うために, 第1主成分軸と第2主成分軸をそれぞれ64°直交回転した結果, 第 1主成分は児童の嗜好を意味し, 第2主成分は老人の嗜好を意味することが明らかになった.<BR>5) 嗜好調査の結果について, ミニマムスパンニングトリー法によりクラスター分析を行った結果, 71品目の調理食品は, 嗜好性によって6群に分類することができた.第1群はビーフシチュー, ハンバーグステーキなどの肉類を材料とするもの.第2群はコロッケ, カレーライスなどの児童の好む食品.第3群はシュークリーム, チョコレートなどのおやつ類.第4群はこぶまき, ひじきと油揚げの煮つけなどの伝統的和風そう菜類.第5群は赤飯, 雑煮などの和風料理.第6群はきゅうりのピクルス, ふろふき大根など日常の食生活では使用頻度の低いものである.その他にうなぎの蒲焼き, マーボー豆腐, 五目とり飯のように, 他の食品の嗜好に左右されずに嗜好がきまる食品がいくつか見られた.
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。
著者
大和田 隆夫 飯野 久栄 石間 紀男
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p64-70, 1982-03

西瓜とメロンの糖および酸含量を測定し,同時に官能検査を行ない次のような結果を得た。1. 西瓜の酸は極めて少ないので,食味への寄与度は無視しうるとみなされ,従って糖によってのみ食味的品質が影響される。Bxより0.5を差し引くことによって,糖度の高い全糖の推定値が得られ,Bxが総合品質の指標となりうるとみなされた。総合的品質として合格するのはBx9.0以上のときであった。2. メロンは西瓜と同様に,酸が極めて少ないので,食味への与寄度は無視しうる。従って,全糖即ち,Bxによって食味的品質の指標となりうる。Bxより全糖を推定するための差し引き値は品種によって異なる。その差引値はプリンスメロンの場合,2.5,ルナ,アスコットメロンの場合は1.0であった。総合的品質として合格するのはBx10以上のときであった。
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。<BR>2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。<BR>4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。<BR>5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。