著者
松下 幸子 吉川 誠次
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.279-298, 1973-08-31

1)食生活の急激な変化によって失われつつある郷土料理の保存対策の資料とする目的で,その概況を知るために調査を行なった。2)郷土料理を主食類と副食類に分け,更に調理法によって分類して調査結果をまとめた。その結果,調理法によって各地への分布状態にそれぞれの傾向があること,また,普及の程度に違いがあることを知った。3)主食類では飯類,すし類の郷土料理は西日本に多く,もち,だんご類は東日本に多い。めん類の中でそば粉で作るものは東日本に,小麦粉で作るものは西日本に多い傾向があった。また,もち,うどん類,すし類の郷土料理はよく知られ好まれており,汁かけ飯,ねりもの・薄焼きの料理はよく知られていないものが多かった。4)副食類では,煮物の郷土料理の少ない北海道,東北地方には漬け物類が多くあり,魚介類の焼き物やさし身は海に近い地域に多い。汁物では,みそ汁類は東日本に,すまし汁類は西日本に多い傾向が見られた。また,副食類は用いられる材料の種類が多いので,調理法のみによって考察することは出来ないが,大体の傾向として肉類や野菜類の煮物,みそ汁類,漬け物類の郷土料理によく知られているものが多かった。よく知られていない料理の多かったのは,魚介類の煮物や焼き物類,すまし汁類,蒸し物類などであった。5)主食類,副食類を合わせて郷土料理数は712あり,そのうちよく知られていたものが,201,ほとんど知られていなかったものが162あった。よく知られていなかったものについては,資源,嗜好,栄養的価値などの面から検討し,保存すべきものについては,早急の対策が必要と考える。
著者
松下 幸子 吉川 誠次
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.218-166, 1976-12-20
被引用文献数
2
著者
大和田 隆夫 飯野 久栄 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.147-152, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
5 5

温州ミカン果汁の主要成分である糖と酸の含量と嗜好との関係を明らかにするため,官能検査を行ない,次のような結果を得た。(1) 消費者に受け入れられる範囲は糖酸比からみると最低は12.5であった。より正確には,適正糖酸比は酸度によって変化し,糖酸比だけでは果汁の嗜好性を説明しきれなかった。(2) 最高嗜好度は糖と酸の相互作用によって変り,両者の関係式6X+8≧Y≧6X+6を満たす糖度(Y)と酸含量(X)のとき最高値が得られた。(3) 100%果汁の大部分は,これらの範囲外に分布するものと推定され,果汁の酸度に応じて糖を加えることにより,より消費者の嗜好に適したものにすることができることを認めた。(4) 天然ジュースに対して砂糖を加えることにより,消費者の嗜好性を高めることができるのは,甘味を適当な強さに上げると同時に,砂糖により酸味をやわらげる効果のあるためであることが明らかになった。(5) 消費者のジュースに対する反応は,酸味の強いものに対しては厳しく,甘味の強いものに対しては寛大であることが明らかであった。
著者
吉川 誠次 山下 市二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.382-387, 1977-05-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
15

スパイスは矯臭, 調味, 薬効などによって, 食欲を増進し調理には欠くことができない重要性を持っている。硫黄化合物がスパイスの特異な作用の中心になっていることがわかったのは, それ程古いことではない。しかしその反応性が著しいことが機作の研究進歩を防げている。
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。
著者
川染 節江 石間 紀男 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-47, 1971

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。<BR>2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。<BR>4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。<BR>5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。
著者
越智 知子 吉川 誠次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.151-157, 1969-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

1) スポンジケーキの主原料である卵、砂糖、小麦粉、および水の配合比と、製品の品質評価の関係を知るために、実用的な配合比率の範囲について、単体格子方格 (Simplex Lattice Design) の準3次型格子点に相当する16点の試料を作成し、品質評価を行なった。2) 製品の品質についてはProutyの評価方法に準じて、物理的性質として気孔率、形均整率、内部弾力性、官能検査的評価として色、形状 (表皮と内部)、香、味、について実測した値から総合点を求めた。試料の品質の差に最も関係の深い項目は気孔率、弾力性、味の3項目であった。3) 試料の総合点の配合率による変化を統一的に把握するために、2次モデルを想定し、反応曲面の多項式係数を推定した。さらに多項式の適合度を6点の試料配合比について計算したところ、上記の4種の原料の配合比と総合点の関係は二次多項式を想定すれば、実験に用いた全ての配合比の範囲において、配合比から品質の程度を実用的な精度で推定できることが判明した。4) 原料の増減率と品質 (総合点) の関係は、砂糖、卵、水、小麦粉の順序で小さくなり、2種類の原料問の交互作用は、卵と砂糖、砂糖と水、小麦粉と水の関係が同程度の大きさをしめし、卵と小麦粉、卵と水の組合せは比較的小さいことがわかった。5) 総合点の推定式の係数は下記の式に示すごとく、砂糖と卵に比して、小麦粉、水の配合比は総合点に対する寄与率が低い。x3、x4をともに (0、1/8、1/4) の配合比にし、x1とx2を変化させた場合の総合点と、原料経費を計算したところ、最高の品質は、卵、砂糖、小麦粉、水の配合割合が、それぞれ (37、33、25、5) (33、37、25、5) の範囲にある。またこの割合での原料価格は42年5月の小売価格で製品100g当り13円38銭、 13円10銭となった。この価格は満足できる品質のスポンジケーキの原料費としては最も安いものであろう。6) 単体格子方格をこの種の実験に応用することによって、比較的小さな実験によって原料配合の製品品質に及ぼす効果を効率よく推定することが可能であることが明らかになった。