著者
松山 知弘 磯 博行 塩坂 貞夫
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ニューロプシンの海馬機能における役割を検討する目的でニューロプシンノックアウト(KO)マウスの学習・記憶障害を行動学的に検討した.KOマウスはwildのlittermateに比較し,オープンフィールドテストではより高い活動性を示し,Auditory Startle Reflexでは驚愕反射の増大と延長を,そして水迷路テストでは反応潜時の明らかな延長を認めた.一方,放射状迷路テストと受動的回避学習テストでは両群間で有意差は認められなかった(Obata K,et al.4th World Stroke Congress,Melbourne,Australia,2000).KOマウス脳は病理組織学的にはwildのそれと比較し、シナプスに形態異常のあることが判明した(Hirata A,et al.Mol Cell Neurosci,in press,2001).さらにニューロプシンは海馬LTPに重要な役割を果たしていることが明かとなった(Komai S,et al.Eur J Neurosci 12:1479-1486,2000).従ってニューロプシン欠損は高次脳機能のうち情動障害と空間認知機能障害をはじめとする学習・記憶障害をきたすことが明らかとなった.マウスの一過性前脳虚血モデルを用い,脳虚血負荷後の海馬機能を行動学的に検討した.虚血負荷後CA1錐体細胞死のみられたマウスではすべての行動テストに異常を認めた.一方,細胞死のみられない動物ではオープンフィールドテストや回避学習テストではsham群に比し差異を認めなかったが,水迷路では反応潜時の明らかな延長を認めた.放射状迷路学習での誤反応数は細胞死の有無にかかわらず虚血群とsham群間に差異は認めなかったが,虚血群では空間配置の確認作業や遂行の順序だての欠落を示すと考えられる行動異常,痴呆症にみられる徘徊行動を説明する現象を認めた.従って,脳虚血は明らかな海馬神経障害の有無にかかわらず空間認知機能障害をはじめとする学習・記憶障害をきたすことが明らかとなった(Matsuyama T,et al.J Cereb Blood Flow Metab 17(Suppl 1):S638,1997).以上の所見より,脳虚血に伴う海馬ニューロプシンの低下は学習・記憶障害を引き起こす可能性のあることが明らかとなった.これらの結果は今後の神経行動科学研究に有用であると思われる.
著者
津田 彰 森田 喜一郎 高橋 裕子 磯 博行 矢島 潤平 辻丸 秀策 津田 茂子 福山 祐夫 稲谷 ふみ枝 森田 徹 岡村 尚昌子
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,多理論統合モデル(TTM)をストレスマネジメント行動(1日20分以上健康的な活動を行う)の変容に適用して,大学生集団を対象とする介入を行うことを目的とした。TTMをストレスマネジメント行動に適用するために,まず日本語版TTM尺度を開発した。次いで,ワークブックとエキスパート・システム(アセスメントに応じてストレスマネジメント行動を獲得維持するためのアドバイスを与える)を開発して,その効果をランダム化比較試験により比較検討したところ,個別最適化アプローチによりストレスの自覚が緩和し,ストレスマネジメント行動の実行者の割合が増加することが示された。
著者
植木 昭紀 磯 博行 佐藤 典子
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アルツハイマー型認知症における神経病理学的変化がプレパルスインヒビションを制御する神経回路に影響すると考えられ、プレパルスインヒビションの測定がアルツハイマー型認知症の前駆段階と考えられる健忘型軽度認知障害、軽度アルツハイマー型認知症、正常加齢を判別するための簡便な非侵襲的検査として応用できる可能性がある。