著者
相馬 敏彦 礒部 智加衣
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.165-174, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
32
被引用文献数
1

二者関係の中で,接近動機をもつ個人は他者との相互作用にポジティブな結末を求め,回避動機をもつ個人はネガティブな結末を避けようとする。このような社会的動機が動機保持者のもつ関係評価や感情に影響することはこれまでに示されているが,相互作用相手の動機に影響するかどうかは未だ明らかではない。だが先行研究の知見は,接近動機の強い個人によって展開された相互作用が,相手の接近動機を同調させる可能性を示唆している。そこで我々は接近動機の強い個人が接近的相互作用を展開することで(個人内過程),相手もより強い接近動機をもつようになる(個人間過程)と予測した。2011年の4月と5月の二回にわたって日本人大学生を対象とするパネル調査を行った。経時的actor–partner相互作用モデルの結果は,接近動機における収束プロセスを明らかにした。このことは,親しい二者関係の相互依存プロセスが,動機の転換だけでなく動機の強化による可能性を示唆していた。
著者
中島 健一郎 礒部 智加衣 長谷川 孝治 浦 光博
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.122-131, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
30
被引用文献数
3 3

本研究の目的は次の2つである。ひとつは,文化的自己観と集団表象(common identity group vs. common bond group: Prentice, Miller, & Lightdale, 1994)の関連を検証することである。もうひとつは,この関連が個人の経験したストレスフルイベントの頻度によってどのように変動するか検討することである。そのために本研究では大学1年生を対象とする縦断調査を行った。その結果,独自に作成した集団表象尺度が想定どおりの2因子構造であり,信頼性も許容できる範囲であることが示された。加えて,予測されたように,相互協調性とcommon bond group得点に正の関連があり,common bond group得点において文化的自己観とストレスフルイベントの経験頻度の交互作用効果が認められた。相互協調的自己観が優勢な個人の場合,ストレスフルイベントの経験頻度が少ない群よりも多い群においてcommon bond group得点が高いのに対して,相互独立的自己観が優勢な個人の場合,これとは逆の関連が示された。しかしながら,common identity group得点において予測された効果は認められなかった。この点に関して,個人の集団表象と内集団の特徴との一致・不一致の観点より考察がなされた。
著者
礒部 智加衣 浦 光博
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.98-110, 2002
被引用文献数
1 1

本研究では, 社会的比較において情報を好ましい意味へと再構築するスキルが劣っているのかもしれないといわれている低自尊心者でも (Taylor, Wayment, & Carrillo, 1996), 優れた内集団成員との比較による脅威から回避することが可能となるのはどのような状況かについて検討した。我々は, 集団間上方比較状況 (内集団が外集団より劣っている状況) では, 低自尊心者でさえ, 優れた内集団成員との比較による状態自尊心の低下が低減されるという仮説をたてた。95名の女性被験者に対し, IQテストを実施した後, 集団間上方比較が有るもしくは無い状況において, 内集団成員の優れたもしくは同等な個人間比較を想像によりおこなわせた。結果は仮説を支持し, 低自尊心者は集団間上方比較状況の無い時において, IQテストで優れた得点を得た内集団成員との比較後は同等比較後よりも状態自尊心が低下していたが, 集団間上方比較条件が有る条件ではこのような差が認められなかった。高自尊心者は, 集団間上方比較状況の有無に関わらず, 内集団成員との上方比較後に状態自尊心の低下はみられなかった。
著者
礒部 智加衣 浦 光博
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.98-110, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

本研究では, 社会的比較において情報を好ましい意味へと再構築するスキルが劣っているのかもしれないといわれている低自尊心者でも (Taylor, Wayment, & Carrillo, 1996), 優れた内集団成員との比較による脅威から回避することが可能となるのはどのような状況かについて検討した。我々は, 集団間上方比較状況 (内集団が外集団より劣っている状況) では, 低自尊心者でさえ, 優れた内集団成員との比較による状態自尊心の低下が低減されるという仮説をたてた。95名の女性被験者に対し, IQテストを実施した後, 集団間上方比較が有るもしくは無い状況において, 内集団成員の優れたもしくは同等な個人間比較を想像によりおこなわせた。結果は仮説を支持し, 低自尊心者は集団間上方比較状況の無い時において, IQテストで優れた得点を得た内集団成員との比較後は同等比較後よりも状態自尊心が低下していたが, 集団間上方比較条件が有る条件ではこのような差が認められなかった。高自尊心者は, 集団間上方比較状況の有無に関わらず, 内集団成員との上方比較後に状態自尊心の低下はみられなかった。
著者
相田 直樹 礒部 智加衣 アイダ ナオキ イソベ チカエ Aida Naoki Isobe Chikae
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.15, pp.39-44, 2015-03

人は、所属欲求のため、拒絶された後に笑顔へ注意が向くことが示されている(DeWall et al.,2009)。また、拒絶感受性が高い人は平時において拒絶顔から注意をそらす傾向があることが知られている(Berenson et al.,2009)。拒絶感受性とは、不安をもって拒絶を予測し、素早く知覚し、過敏に反応する特性である。曖昧な拒絶後に、拒絶感受が高い人は笑顔に注意を向けることができるだろうか。本研究ではドットプロープ課題を用いて、次の代替仮説を検討した。拒絶感受性が高い人は、曖昧な拒絶後に笑顔に注意を向ける、もしくは、拒絶後に注意を向けるだろう。実験の結果はこれらの仮説に反し、拒絶感受性が高い人は、拒絶を経験しない統制条件において、拒絶顔に対する注意を高めることのみが示された。つまり、曖昧拒絶条件における選択的注意は、拒絶感受性による影響を受けなかった。拒絶感受性と不適切な反応の関係について考察した。It has been demonstrated that after an experience of being rejected, individuals pay increased attention to smiles, because of their fundamental need to belong (DeWall et al., 2009). Other research suggests that people with high rejection sensitivity tend to avoid attending faces showing rejection (Berenson et al., 2009). Rejection sensitivity is the disposition to anxiously expect, readily perceive, and intensely react to experiences of being rejected. Do rejection sensitive people also attend to a smile after experiencing an ambiguous rejection? In this study, we use the dot-probe task and examined the following predictions after an ambiguous rejection: highly rejection sensitive people would pay attention to (i) a smiling face, or (ii) disgust face. Contrary to these predictions, results indicated that in control condition, in which there was no rejection, highly rejection sensitive people highly attended only to the disgust faces. On the other hand, in the ambiguous rejection condition, selective attention was not affected by rejection sensitivity. We have discussed the relationship between rejection sensitivity and inappropriate reactions.