著者
松本 大毅 広城 吉成 堤 敦 神野 健二 新井田 浩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.127-132, 2005-02-01 (Released:2011-06-27)
参考文献数
11

Sayanokami spring water exists in the new campus of Kyushu University, which is located on the western part of Fukuoka City. This spring water is one of the important water resources for agriculture around the new campus area. The construction of the new campus started last June, 2000. In this study, to understand the hydrological properties of the Sayanokami circumference, 222Rn and tritium were used as tracers, respectively. Consequently, it was found out that the residence time of Sayanokami spring water is 10-20 years. Moreover, the residence time and the catchment area of Sayanokami spring water were estimated using groundwater flow model. As a result, the residence time of Sayanokami spring water was evaluated to be about 25 years at most and the catchment area was specified. It is concluded that the accuracy of estimation of residence time and catchment area of the spring water can be improved by analysis of radioactive isotopes and groundwater flow model.
著者
広城 吉成 小田 圭太 Md. Abdul HALIM Abdur RAZZAK 神野 健二
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.25-32, 2008-02-29 (Released:2012-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

鉄の多くが水酸化第二鉄として存在するような酸化環境下では,土壌中に存在するヒ素の多くは鉄を含む堆積物に吸着されている.本報は,鉄とヒ素の化学的相互作用に着目し,その第一段階として,カラム実験により酸化還元環境の変化に伴うヒ素と鉄,マンガンの動態について考察した.その結果,土壌が還元環境になると鉄が溶出し始め,同時期にヒ素濃度が増加し始めた.一方,マンガンとヒ素の挙動には相関性がなかった.還元状況下で鉄とヒ素を含む水が酸化環境におかれると,水中の鉄,ヒ素濃度はそれぞれ低下した.
著者
神野 健二 河村 明 里村 大樹 坂田 悠
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.539-546, 2005
被引用文献数
1 2

2002年,福岡都市圏が水道水源の約1/3を依存している筑後川流域は観測史上3番目の少雨を記録し,最大55%の取水制限が実施されたが,福岡都市圏では給水制限には至らなかった.これは利水関係者および関連行政機関で頻繁な渇水調整が行なわれたことや,1999年に完成した山口調整池の運用などによる水資源管理が効果を上げたためであると考えられている.本研究では,2002年~2003年にかけての水文特性や貯水量の変動,この渇水に対する関連行政機関へのヒアリングを行った.さらに,福岡導水事業の一環として建設された山口調整池の効果について,調整池がなかった場合を想定したシミュレーションを行い,考察を加えた.その結果,山口調整池の運用の効果が大であったことが示され,山口調整池が建設されていなかったらかなり厳しい渇水になっていたことが推測された.
著者
安元 純 広城 吉成 末益 大嗣 高岡 秀朋 神野 健二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_589-I_594, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
17

Submarine Groundwater Discharge (SGD) is now recognized as a significant role to the ecology of coastal environment as well as river discharge. This paper takes a first step for highlighting nutrient transport through SGD to volcanic rock area along the Ariake Bay. SGD rates and their qualities along the coastal area of the Ariake Bay, Ohura, Saga Prefecture, Kawachi, Kumamoto Prefecture, and Fukae, Nagasaki Prefecture regions are investigated. As a result, SGD generally decreased with the distance from the shoreline except Ohura point where large seepage rate is observed. It is presumed that SGD could be classified into two types based on the rate of SGD and the geological structure. Then, it is indicated that the SGD oxidation-reduction condition varied with seepage rate and path way. The results of this study demonstrate that SGD may be considered as a significant source of nutrient to the coastal area in Ariake Bay.
著者
上田 年比古 河村 明 神野 健二
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.セルフチューニングコントロール理論を用いたゲート開度操作のための定式化:セルフチューニングコントローラーに河口堰ゲート開度の最適制御を行うための定式化を行った。まず河口堰を含む汎用的な河川システムを考え、河口堰からの総放流量を制御変数とし、河口堰貯水池位を被制御変数とするセルフチューニングコントローラーの一般的な定式化を後退演算子を用いて導いた。次いで簡単な河口堰システムに対するセルフチューニングコントローラーの式を具体的に示した。2.数値シミュレーションおよび実際の遠賀川河口堰開度制御に対する適用:1.により定式化した手法の適用性、有用性、制御効果の検討のために、まず、本手法を流入量の関数形、未知パラメーターを予め与えた、いわゆる素性のはっきりしたシミュレーションデータに対して適用し数値シミュレーションを行った。この結果本手法が未知パラメーターを精度よく同定でき、目標水位を維持する最適放流が適確に求められることが示された。次いで、本手法を実際の遠賀川河口堰開度の制御に適用した。そしてセルフチューニングコントローラーにより河口堰ゲート総放流量を決定した場合の上流側水位と現存の操作ルールを用いた場合のそれを比較した。その結果、セルフチューニングコントローラーを用いた方が安定して目標水位を維持できることを示した。3.台風洪水期における感潮河川の水位予測:河口堰ゲート開度を最適に制御するには河川水位の予測が必要となる。ここでは物理性を考慮した複雑なモデルは使わず、簡単な周期関数モデルまたはARMAXモデルを用い、カルマンフィルターによりリアルタイムで精度よく洪水時の感潮河川の水位予測を行う手法を示した。次いで本手法を鹿児島県川内川に適用しその予測精度について検討した。
著者
神野 健二 河村 明 西山 浩司
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

気候変動や異常気象の発生が降水量変動に与える影響が危惧されている.本研究では気候変動と降水量変動との関係について統計的手法による解析を行った.具体的にはまず,大規模の気候場を表す指標として南方振動指数(SOI),太平洋数十年振動指数(PDOI),北太平洋指数(NPI),インド洋ダイポールモード指数(DMI)といった4つの気候指標を用いた.過去約100年間にこれら4つの気候指標が各月および各年単位で示したパターンを,非線形分類手法(自己組織化マップ)を用いて分類した.さらに,これら気候指標のパターンと福岡市の降水量及び気温との対応関係を調べた.その結果,4つの気候指標が特定のパターンを示した月に,対応する福岡市の降水量が通常より少なくなる傾向等がみられた、また,これら指標が年規模で示したパターンを調べた場合,SOI,NPIが通常年より高く,PDOI,DMIが通常年より低い値であった年の翌年は,福岡市の気温が通常年より低くなる傾向がみられた.また,西日本における重要な降雨期である梅雨期を対象にして,日本周辺の気象場の分類も行った,具体的には,日本列島周辺の気象場・成層状態を多次元格子点情報を利用し,非線形分類手法(自己組織化マップ)を適用することでパターン分類した,その結果,気象場・成層状態のパターンと西日本域の降水特性との関係が明らかになった,特に,西日本の豪雨と,湿舌と下層ジェットの水平分布のパターン,梅雨前線帯内の対流活動と関連がある対流不安定成層・中立成層のパターンとの間に明瞭な関係を得ることができた.