著者
秋本 正博 森 睦 徳橋 和也 本多 博一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 = Research bulletin of Obihiro University (ISSN:13485261)
巻号頁・発行日
no.36, pp.12-20, 2015-10

マツ科樹木の樹液精油の施用が、夏ホウレンソウの収量や食味の改善に有効であるかを検証した。試験は2013 年に帯広畜産大学実験圃場内のビニルハウスにおいて行った。ハウス内の土壌を3 分画し、それぞれに樹液精油を10a あたり0kg(0kg 区)、1.5kg(1.5kg 区)、3.0kg(3.0kg 区) 施用した。ホウレンソウ品種「ジョーカーセブン」を育苗し、8月2 日に畝間25cm、株間10cm で1 点2 株になるようそれぞれの区に移植した。移植後の各区の苗をさらに3 分画し、それぞれに400ppm の樹液精油を毎週葉面散布する( 多散布)、隔週散布する( 少散布)、散布しない( 無散布) という葉面散布処理を施した。移植31 日後にホウレンソウを収穫し、1 点あたりの収量を計測した。分散分析の結果、収量に対する土壌施用、葉面散布施用、およびそれらの相互作用の全ての効果が認められた。土壌施用の効果については、1.5kg/10a 量以上の樹液精油を施用することによって、無施用の場合よりも収量が高くなることが示された。葉面散布施用の効果については、400ppm 濃度の樹液精油を7 日おきに葉面散布することで、無散布の場合よりも収量が高くなることが示された。土壌施用と葉面散布施用の組み合わせで最も収量が高かったのは、1.5kg/10a -多散布の組み合わせで、生重量は42.2g と樹液精油を全く施用しなかった0kg 区-無散布の28.3g に比べ約5 割も高くなった。また、樹液精油の施用がよるホウレンソウの葉の成分に及ぼす効果を調べるため、収穫後の葉身の硝酸還元酵素の活性、硝酸イオン含有量、および糖含有量を計測した。硝酸還元酵素の活性は、樹液精油を葉面散布により施用することで低下した。一方、えぐみの原因のひとつとされる硝酸イオンの含有量は、樹液精油を施用しても変化しなかった。糖含有量は葉面散布施用の回数が多いほど高くなった。しかし、この糖含有量の変化は人が味覚として感知できる水準のものではなかった。本研究結果から、夏ホウレンソウの栽培において、マツ科樹木の樹液精油は収量の改善に効果的であると考えられた。
著者
山口 裕文 佐合 隆一 伊藤 一幸 榎本 敬 種坂 英次 秋本 正博 副島 顕子 大野 朋子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

耕地雑草あるいは侵入植物として生物多様性に影響を及ぼす恐れのあるヒエ属植物(イネ科)について、ユーラシア、北南米、アフリカ、オセアニア地域において海外踏査を行い生態的特性と形態的多様性の実態を調査し、植物標本館における調査と併せて、地域ごとに多様性の実態をまとめた。一年生種は原生地および侵入地とも稲作や畑地の雑草として、国際移動した多年生種は侵入種として水辺や湿地の生物多様性に影響すると推定される。