著者
稲垣 昇 津田 和久 前川 進 寺分 元一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.369-376, 1989 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14
被引用文献数
4 11

暖地におけるアスパラガスの生理•生態的特性を明らかにし合理的な栽培体系を確立することを目的に, 本報では物質生産の基礎となる光合成特性について検討した.(1) アスパラガスの主たる光合成器官は葉状茎であったが, 側枝や主茎でも光合成が行われており, 特に0.5~1mmほどの太さの側枝では単位乾物重当りで見ると葉状茎の光合成速度の30%近い値を示した.(2) 光合成速度に及ぼす光強度の影響を見ると, 光飽和点は生育前期及び中期の株で40~50klx付近, 生育後期の株では10~20klxであった. また, 光補償点は1.5~2klx付近であった.(3) CO2濃度の影響を見ると, CO2濃度を上げながら (400→1,400ppm) 測定した場合は600~1,000ppm付近にCO2飽和点があることが観察されたが, CO2濃度を下げながら (1,400→400) 測定した場合は1,400ppmでも飽和しなかった. また, 後者はそれぞれの測定濃度での光合成速度において前者を下回っていた.(4) 光合成に好適な温度範囲は20±5°Cであることが推察され, アスパラガスが冷涼な地域に適した作物であることを示していた.(5) 光, CO2及び温度に対する各生育期間 (生育初期, 中期及び後期) の株の反応特性はほぼ共通していた.(6) 光合成の日内変動はポットの状態で測定した場合顕著に見られ午後に光合成速度が低下する傾向を示した. 一方根から切り離した状態で測定した場合はほとんど違いはみられなかった.
著者
前川 進 稲垣 昇 寺分 元一
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.174-179, 1983
被引用文献数
1 3

キキョウ花色に及ぼすMoの影響を明らかにするため, キキョウ品種'サミダレ'を用いて, モリブデン酸ナトリウム溶液の切花浸漬処理や花弁への散布処理を行った.<br>Mo溶液に切花の切り口を浸漬処理することによって, 青紫色から真青色へと花弁の青色化が起こった.Moの花弁に対する散布処理によっても, 切花の浸漬処理同様の著しい青色効果が見られた.<br>Mo浸漬処理後の生花弁の吸収スペクトルは処理前のものに比べて, 吸収極大波長は長波長側へ移行し, さらに, その吸光度も増大した. このような吸収スペクトルの変化は抽出したアントシアニン溶液にMoを添加する <i>in vitro</i> での実験においても認められた. Mo処理によって青色化したアントシアニン溶液へEDTAを加えるとMoに基づく青色効果は減少した.<br>このようなことから, Moの吸収によるキキョウ花弁の青色化はおそらくアントシアニンの金属錯体の形成によるものと推論された.
著者
山戸 美智子 服部 保 稲垣 昇
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.561-564, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

岩湧山, 和泉葛城山, 大和葛城山の半自然草原において, 面積, 管理方法種多様性の調査を行った。3調査地とも数十年におよぶ草原管理の放棄や面積の縮小化によって, 過去の出現種の80%(岩湧山), 59%(和泉葛城山), 60%(大和葛城山) しか現在出現していない。欠落種には絶滅・絶滅危惧種が目立つが, 普通種も多く見られた。岩湧山で草原生植物種 (75種) が最も多いのは.面積が最も広いことや草原管理の再開が影響していると思われた。しかし, 岩湧山でも3地域全体の種数 (104種) は保持しておらず, 本地域の種多様性を維持するためには3草原全体を保全することが必要と思われた。
著者
溝添 素子 稲垣 昇 岡野 光生 金地 通生 前川 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.625-633, 1992
被引用文献数
1

ストックの本葉および胚軸からのカルスおよび器官形成(シュート形成)に及ぼす供試植物の栽培条件(光条件•施肥条件)ならびに培地中の窒素組成の影響について検討した.<BR>1.葉片培養:(1)光および施肥条件の影響;'銀潮'では遮光処理(75%遮光)によリシュート形成が促進された.また遮光の効果は1/2倍水耕液を施用した区で顕著であった.一方,'雪まつり'では1/4および1/2倍液施用区とも遮光処理によってシュート形成は抑制された.(2)培地の窒素組成の影響;'銀潮'および'雪まつり'とも,アンモニア態窒素無添加区(硝酸態窒素のみ)において高いシュート形成率を示し,NH<SUB>4</SUB><SUP>+</SUP>+/NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>比を高めるとシュート形成が抑制される傾向を示した.<BR>2.下胚軸培養:(1)光および施肥条件の影響;'リトルゼムイエロー'および'雪まつり'とも,遮光処理によってシュート形成が抑制された.また,外植体当たりのシュート数も遮光処理によって減少した.(2)培地の窒素組成の影響は,'リトルゼムイエロー'および'雪まつり'とも,アンモニア態窒素の添加が,シュート形成率および外植体当たりのシュート数を高める傾向を示した.'リトルゼムイエロー'ではNH<SUB>4</SUB><SUP>+</SUP>+:NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>が1:10の培地で,また'雪まつり'ではNH<SUB>4</SUB><SUP>+</SUP>+:NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>が1:2の培地でそれぞれ85%と最も高い形成率を示した.<BR>3.形成されたシュートは,大部分が水浸状を呈していた.水浸状の葉は,水分を含んで肥大し,その組織では細胞間隙が大きく,維管束や棚状組織の発達が不十分であった.また気孔の分布が一様ではなく,その数も正常葉と比較して少なく,孔辺細胞が表皮細胞より陥没しているものや隆起しているものなどが観察された.
著者
山戸 美智子 服部 保 稲垣 昇
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.561-564, 2001-03-30
被引用文献数
3 1

岩湧山,和泉葛城山,大和葛城山の半自然草原において,面積,管理方法,種多様性の調査を行った。3調査地とも数十年におよぶ草原管理の放棄や面積の縮小化によって,過去の出現種の80%(岩湧山),59%(和泉葛城山),60%(大和葛城山)しか現在出現していない。欠落種には絶滅・絶滅危惧種が目立つが,普通種も多く見られた。岩湧山で草原生植物種(75種)が最も多いのは,面積が最も広いことや草原管理の再開が影響していると思われた。しかし,岩湧山でも3」地域全体の種数(104種)は保持しておらず,本地域の種多様性を維持するためには3草原全体を保全することが必要と思われた。