著者
横山 智哉 稲葉 哲郎 Yokoyama Tomoya Inaba Tetsuro ヨコヤマ トモヤ イナバ テツロウ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.14, pp.45-52, 2014-03

本研究は、政治的な話題を話すことの抵抗感について検討した。具体的には、日頃話していると想定される9つの話題の中から、より政治的関連性が強い話題を話すことにどの程度抵抗を感じるのか、またその抵抗感を低減する要因も併せて検討した。20代から60代の有権者300名を対象にWeb上で、調査を行ったところ、日常的に話している9つの話題の中では、「国や政府に関する話題」が相対的に最も話すことに抵抗を感じる話題であった。しかし、実際には「国や政府に関する話題」を話す際に感じる抵抗の程度は非常に低いことが示された。また、抵抗感を低減する要因として、ハードな争点的知識が効果を持つ一方で、新聞閲読頻度が抵抗感を高めていることが明らかとなった。
著者
横山 智哉 稲葉 哲郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.92-103, 2016-11-30 (Released:2016-11-30)
参考文献数
54
被引用文献数
1

Recent studies find that political talk influences political participation. However, as of yet, there has been no clear demonstration of how political talk translates into increased political participation. This study proposes a bridging effect, which reduces the perceived psychological distance between citizens and politics. In order to test this explanation, we collected panel data on an online national volunteer sample in November 2012 and January 2013. Findings suggest that the direct relationship between political talk and participation in governmental politics may be mediated through perceived psychological distance to politics. These findings support the bridging effect explanation.
著者
横山 智哉 稲葉 哲郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.92-103, 2016

<p>Recent studies find that political talk influences political participation. However, as of yet, there has been no clear demonstration of how political talk translates into increased political participation. This study proposes a bridging effect, which reduces the perceived psychological distance between citizens and politics. In order to test this explanation, we collected panel data on an online national volunteer sample in November 2012 and January 2013. Findings suggest that the direct relationship between political talk and participation in governmental politics may be mediated through perceived psychological distance to politics. These findings support the bridging effect explanation.</p>
著者
稲葉 哲郎
出版者
立命館大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

政治的知識,マスコミ接触,法定選挙媒体接触,政治広告に対する評価を主要な内容とする意識調査を総選挙後に大学生312人に対しておこなった。政治的知識は,政策争点や政治制度とは直接関連のないような「ソフト」な政治的知識(例「橋本首相の趣味」「理系出身の党首」)を6項目,政策争点や政治制度と関わる「ハード」な政治的知識(例「新しい選挙制度の呼び名」「消費税据え置きと減税を公約に掲げた政党」について6項目の調査をおこなった。正答率の低かった1項目を除く11項目について対応分析をおこなったところ,第1軸の固有値が高く,政治的知識はおおむね1次元を成しているといえる。ただ,第2軸について検討をしてみると,1項目を除き,あらかじめ想定された「ソフト」と「ハード」な知識を分離する軸となっていた。従って,政治的知識は,たがいに相関が高い2つの次元から形成されていると考えられる。次いで,これらの「ハード」な知識と「ソフト」な知識についてマスコミ接触や法定選挙媒体接触との関連を検討した。法定選挙媒体との関連では,「ハード」な政治的知識の知識量は政見放送,政党のテレビコマーシャル,新聞広告への接触との相関が「ソフト」な政治的知識の知識量より高かった。また,マスコミ接触では,「ハード」な知識,「ソフト」な知識とも新聞,テレビニュースへの接触量との相関がともに高かったが,「ハード」な知識は「家族との話」との相関が高く,「ソフト」な知識は雑誌への接触との相関が高かった。「ソフト」な政治的知識の話題の情報源として考えられていたワイドショーへの接触は相関が低かった。今後の課題としては,政治的知識を筆記において測定する場合における中間回答の判断の問題,成人の政治的社会化に伴う政治的知識の次元の分化,があげられる。
著者
稲葉 哲郎
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

今回の研究においては,1995年の参議院選挙の選挙運動期間中に大学生639名を対象に調査をおこなった。調査票は政治的知識,法定選挙媒体への接触,候補者のテレビ広告の利点と欠点の評価,デモグラフィック要因などの項目からなっていた。接触については,「偶然見た」「自分から進んでみた」という回答を合計したものを接触率とした。候補者の新聞広告への接触率は30%であり,また政党の新聞広告では29%であった。候補者のテレビ政見放送への接触率35%と比べるとやや低いが,政党のテレビ政見放送の接触率24%と比べるとやや高いものであった。今回は単なる接触だけでなく,その媒体についてどれだけ注意を払ったかを尋ねたが,いずれの媒体についても「一応注意をはらった」「かなり注意をはらった」を合計しても回答者の1割ほどにしかならなかった。政治的知識との関連をみたところ,政治的知識の高い層がいずれの媒体にもよく接触をしていた。テレビ広告の利点と欠点については,「ますます選挙にお金がかかるのでよくない」(53%)「お金のある候補者が有利になるのでよくない」(50%)と選挙にお金がかかることへの懸念が多く見られたが,アメリカで話題になっているような対立候補の欠点をあげつらうような広告が放映されることへの不安はあまりみられなかった。一方,利点としては「候補者がどんなひとかよくわかってよい」(39%)「政治に関心を向ける機会が増えるので望ましい」(38%)という意見が多く,候補者をよく知るための手段として評価されていた。評価の規定因としては政治的知識をあらかじめ想定していたが,テレビ広告にお金がかかることについて,政治的知識の高い層で懸念が特に多かった。