著者
立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.62-77, 2022-03-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
17

本稿では,経営学研究にデータサイエンスを取り入れる観点から,経営学者に馴染み深い回帰分析を紹介する.まず,回帰分析の3つの目的を説明しつつ,回帰モデルで因果効果を特定する変数選択に有用なバックドア基準を説明した.さらに,効果が第3 変数や個人特性で変化するモデルとして,交互作用モデルやマルチレベルモデル/階層ベイズモデルを紹介した.最後に,最新の回帰モデルの手法として機械学習を応用した経営学研究や因果効果の推定について紹介を行った.
著者
芳賀 裕子 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0220331a, (Released:2023-02-15)
参考文献数
33

M&Aの企業への効果は、先行研究から必ずしも明らかではない。M&Aで移転する経営資源に着目した多くの先行研究から明らかにされていない、M&Aの成功要因がある。それはM&Aのダイナミックケイパビリティであり、資源を評価し、再配分を実施する組織統合能力である。本研究は、企業成長の手段であるM&Aを事業成果に結びつけるために必要な本社能力とは、具体的にどの様なことかを解明した。M&Aを業績に結び付けられない要因、結び付けられる要因の両方をインタビュー調査により明らかにした上で、M&A成功に必要な七つの本社能力を抽出した。そしてこれら七つの項目は、三つのM&Aの実施各フェーズ (戦略立案、ディール実行、PMI) において横断的に実施することが重要であった。
著者
立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.61-104, 2017-04-25 (Released:2017-04-25)
参考文献数
57

プラットフォーム企業の台頭は顕著であるにも関わらず、既存研究のプラットフォーム戦略の理論モデルには国際的・地理的条件が含まれていない。本研究は1994−2007 年の日韓台の半導体製造装置産業の取引データを用いて、半導体装置企業の新興国市場展開がプラットフォーム戦略にどのように影響するのかを実証分析した。実証分析の結果から「高い新興国市場向け販売率」は、プラットフォーム戦略の効果を高めることがわかった。また、「ハブへのポジショニング」「オープン標準対応製品の高販売率」「新興国向けの高販売率」には強い正の交互作用が存在することもわかった。すなわち、プラットフォーム企業が競争優位を獲得するためには新興国展開が不可欠な条件であることがわかった。
著者
立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.60-73, 2011-12-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
47

1980年代の欧米のイノベーション政策によってオープン・ イノベーションを促す産業環境が生まれた.そこではコンソーシアム等の新しい企業共同が多用され,頻繁に産業標準が形成されている.産業標準はネットワーク外部性を発生させ,複雑なビジネス・エコシステムを生み出す.本論文では,オープン・イノベーションの制度的起源を紹介し,企業共同の増加と頻繁な産業標準形成が,産業構造や競争力構築に与える影響を説明する.
著者
芳賀 裕子 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.4-17, 2018-09-20 (Released:2019-01-17)
参考文献数
32

多角化戦略において,内部投資に対する外部投資(M&A投資)の比率がどのように企業業績に影響するかを検証するために,傾向スコア・マッチング法によって環境因子を調整したデータセットを構築し,重回帰分析を行った.推定結果から,多角化度が高い場合,M&A投資比率はROICに統計的有意にプラス効果を示すが,多角化度が低い場合には,M&A投資比率は統計的有意にマイナス効果を示すことが明らかになった.
著者
柴田 健一 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0160726a, (Released:2017-05-17)
参考文献数
65

本稿では競争ダイナミクスの主な先行研究のレビューを実施した。競争ダイナミクスは、企業の競争行動が競合企業のどのような反応を引き出し、それがどうパフォーマンスにつながるのかを実証的に研究する領域である。競争ダイナミクスの歴史はまだ浅いが、近年は多くの研究成果が発表されている。本稿では、競争ダイナミクスの研究の中から主要な論文を抽出し、そこで用いられている具体的な説明変数、被説明変数を整理し、競争ダイナミクスの研究領域を明確にすると同時に、現時点での当該分野における研究の成果について詳しく議論していく。
著者
原 寛和 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0170327a, (Released:2018-04-19)
参考文献数
85
被引用文献数
3

製品デザインが市場成果に与える影響について、(i)企業レベル(ii)製品レベル(iii)デザイン組織レベルに分類して実証研究のレビューを行なった。いずれの研究も、製品デザインが市場成果にプラスの影響を与えることを支持している。ただし、そのメカニズムは単純ではなく、変数間の媒介効果や交互作用効果を多く含んでいる。これら既存研究のレビューを踏まえ、今後の研究として、(1)戦略的文脈の影響を考慮した研究 (2)消費者の反応を取り込んだデザインプロセスの研究 (3)デザインマネジメントの組織メカニズムの研究が必要であることを報告する。
著者
芳賀 裕子 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-34, 2023-02-25 (Released:2023-02-25)
参考文献数
33

M&Aの企業への効果は、先行研究から必ずしも明らかではない。M&Aで移転する経営資源に着目した多くの先行研究から明らかにされていない、M&Aの成功要因がある。それはM&Aのダイナミックケイパビリティであり、資源を評価し、再配分を実施する組織統合能力である。本研究は、企業成長の手段であるM&Aを事業成果に結びつけるために必要な本社能力とは、具体的にどの様なことかを解明した。M&Aを業績に結び付けられない要因、結び付けられる要因の両方をインタビュー調査により明らかにした上で、M&A成功に必要な七つの本社能力を抽出した。そしてこれら七つの項目は、三つのM&Aの実施各フェーズ (戦略立案、ディール実行、PMI) において横断的に実施することが重要であった。
著者
立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.7, no.8, pp.627-632, 2008-08-25 (Released:2018-03-04)

近年の台湾・韓国に代表される東アジア新興国の成長には著しいものがある。半導体・液晶パネル産業のような設備投資競争が国際競争力の鍵となる産業において、各国の税制が果たす新しい役割について紹介を行う。1990年代以降、先進国から新興国への技術普及スピードに税制が大きく関与していると考えられている。しかし、その詳細は明らかになっていない。本稿研究では、設備投資に関わる各国の制度を整理した上で、同一事業を日本・台湾・韓国で行った場合、制度要因のみで、どの程度、企業業績に影響があるのかを推定した。
著者
立本 博文 平井 祐理 生稲 史彦
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.5-16, 2021-06-30 (Released:2021-07-02)
参考文献数
9

This paper investigates the impact of big data on the business performances of Japanese companies by using the dataset of the questionnaire surveys conducted by RIETI in 2017 and 2020. There are three key findings.First, the companies that benefit from big data have not been significantly increasing. But the majority of the companies expect to expand their data use in the future. The fact indicates that the base of data utilization in Japan is growing with expectation.Second, measuring companies' data capability by data analytics competency (DAC) scores, we found the difference between manufacturing and service sectors. The DAC's effect in the service sector is statistically positive, whereas that in the manufacturing sector is not. This suggests that the benefit of data utilization is much evident in the service sector than that in the manufacturing sector.Third, by plotting the DAC scores of each sector on the data capability map, we found out the similarity and superiority among sectors. From the map, financial and information sectors have similar data competencies and relatively superior to other sectors in the light of data utilization.This study gives a good starting point for future research on sector comparison of the impact of big data and firms' capacity of data utilization.
著者
中西 和子 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.18-31, 2018-09-20 (Released:2019-01-17)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本研究は,製薬産業における産学共同研究成果の評価を目的として,特許の技術品質(被引用特許数)および開発プロセス品質(出願国数,特許登録)に対する発明形態・出願形態別の効果を回帰分析により検討した.その結果,技術品質は開発プロセス品質に対して強い正の効果を有している事,産学共同発明は技術品質に対して負の効果を有する事が明らかになった.一方で,対象とする疾患領域・技術タイプを選ぶことによって技術品質の高い成果を生み出す可能性がある事も明らかとなった.
著者
立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0161116b, (Released:2017-04-03)
参考文献数
57

プラットフォーム企業の台頭は顕著であるにも関わらず、既存研究のプラットフォーム戦略の理論モデルには国際的・地理的条件が含まれていない。本研究は1994−2007 年の日韓台の半導体製造装置産業の取引データを用いて、半導体装置企業の新興国市場展開がプラットフォーム戦略にどのように影響するのかを実証分析した。実証分析の結果から「高い新興国市場向け販売率」は、プラットフォーム戦略の効果を高めることがわかった。また、「ハブへのポジショニング」「オープン標準対応製品の高販売率」「新興国向けの高販売率」には強い正の交互作用が存在することもわかった。すなわち、プラットフォーム企業が競争優位を獲得するためには新興国展開が不可欠な条件であることがわかった。
著者
山口 威一郎 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0210829a, (Released:2021-10-13)
参考文献数
25

国内ビデオゲーム市場の実売データを用いて、操作変数法で3 種のネットワーク効果の作用を検証した。間接ネットワーク効果については、補完財の多様性によるものと、その競争力によるものとで、表れ方がわかれ得ると示された。直接ネットワーク効果は、全機種で安定的に作用していると確認された。機種によってネットワーク効果が異なる表れ方をするとの認識は、プラットフォーム企業の戦略にとっても判断材料を与えると考える。
著者
原 寛和 平坂 透 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.4-19, 2019-03-20 (Released:2019-06-16)
参考文献数
34

米国意匠特許データを用いたネットワーク分析により,デザイン重視のコンシューマーエレクトロニクス企業2社の意匠創作ネットワークを比較した.その結果,デザイン戦略の違いで組織設計が異なる可能性が示唆された.製品群で一貫したデザインを目指す場合,組織の規模を管理してネットワーク密度を高めることで,デザイン言語など暗黙知の共有と実践が容易になる.他方,開発生産性あるいは製品の個性を重視する場合,ネットワーク密度を低く抑え,プロジェクトの独立性を維持する組織設計が有効となる.
著者
柴田 健一 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.117-160, 2017-06-25 (Released:2017-06-25)
参考文献数
65

本稿では競争ダイナミクスの主な先行研究のレビューを実施した。競争ダイナミクスは、企業の競争行動が競合企業のどのような反応を引き出し、それがどうパフォーマンスにつながるのかを実証的に研究する領域である。競争ダイナミクスの歴史はまだ浅いが、近年は多くの研究成果が発表されている。本稿では、競争ダイナミクスの研究の中から主要な論文を抽出し、そこで用いられている具体的な説明変数、被説明変数を整理し、競争ダイナミクスの研究領域を明確にすると同時に、現時点での当該分野における研究の成果について詳しく議論していく。
著者
原 寛和 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.47-106, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
85

製品デザインが市場成果に与える影響について、(i)企業レベル(ii)製品レベル(iii)デザイン組織レベルに分類して実証研究のレビューを行なった。いずれの研究も、製品デザインが市場成果にプラスの影響を与えることを支持している。ただし、そのメカニズムは単純ではなく、変数間の媒介効果や交互作用効果を多く含んでいる。これら既存研究のレビューを踏まえ、今後の研究として、(1)戦略的文脈の影響を考慮した研究 (2)消費者の反応を取り込んだデザインプロセスの研究 (3)デザインマネジメントの組織メカニズムの研究が必要であることを報告する。