著者
小山内 康人 高橋 裕平 田結庄 良昭 土屋 範芳 林 保 蛭田 真一
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.445-481, 1990-11

第31次南極地域観測隊(JARE-31)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物調査は, 山地全域においてヘリコプターを用いて実施された。ヘリコプター偵察飛行及び調査慣熟のための陸路調査が1989年12月25日から29日にかけて実施されたのに引き続き, 本調査が1990年1月5日から30日まで行われた。そのほかにあすか観測拠点付近の小山塊における調査・観測が1月1日と1月31日に実施された。調査・観測は38日間におよんだ。今回の行動形態は, 内陸山地でヘリコプターを導入した日本南極地域観測隊としては初めての例であるので, 計画作成から実施経過までを通信, 装備, 食料などの設営面を含めて詳しく報告する。調査結果については現在, 整理・研究中であり, 今後個別に発表されるので, ここでは概要を述べるにとどめる。
著者
土井 捷三 武田 義明 五味 克久 田結庄 良昭 今谷 順重 小石 寛文
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究は次のことを目的にして行われた。1.「災害と防災」に関する教授用モジュ-ルを作成し、それらを統合し、カリキュラム化する。2.「災害と防災」についての意識調査を実施しながら、地域教材が子どもの学習意欲形成に果たす影響を解明する。3.これらを通し、カリキュラムの研究方法を明らかにしながら、災害と防災のカリキュラムを構想する。第1の目的を具体化するために、教材集を作成することにした。教材集は三年間でほぼ核となるモジュ-ルを完成させるようにし、第一年目は地形と地質に関係した災害と防災の現状を、第二年目は植生と植林に関係した防災対策を、第三年目は災害の原因の契機の一つとなる開発の問題と防災対策を取り上げ、教材化を行った。この場合、六甲山という我々の身近にある山を素材にすることにし、また、研究題目にある「地域性を生かした」としたのもこのことを念頭にしているのである。第2の目的を具体化するために、これらモジュ-ルによる授業前と後に調査を行い、地域学習の、学習意欲の形成への効果について解明した。この結果、これら教材は学習の意欲づけに資するということがわかった。第3の目的については具体化へ向けての方向づけを行った。また、現在のところ地域学習の中で実施することが適当であると提案した。以上が三年間に行ってきた成果である。しかし、カリキュラム化の構想が方向づけに止まっていることは不満であるが、これらの研究に比肩しうるものが不在であることを思うと、十分に成果は達成できたと考える。
著者
加々美 寛雄 飯泉 滋 大和田 正明 濡木 輝一 柚原 雅樹 田結庄 良昭 端山 好和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.309-320, 1995-11-30
被引用文献数
10

瀬戸内・近畿地方の領家帯地域に分布する火成岩類の活動時期は, ジュラ紀初期-中期, 後期白亜紀, 中新世中期の3回である。最初のジュラ紀初期-中期に活動した火成岩類は領家花崗岩中に捕獲岩体として分布するはんれい岩, 変輝緑岩である。前者は下部地殻条件下 (6-8 kb) におけるソレアイト質マグマからの早期晶出相と考えられる。ノーライト, 角閃石はんれい岩, 変輝緑岩によるSm-Nd全岩アイソクロン年代は192±19 Maである。また, ノーライト, 角閃石はんれい岩中に不規則な形の産状を示す斜長岩質はんれい岩のSm-Nd全岩年代は162±29 Maである。後期白亜紀の火成活動は約110 Ma 前, 安山岩質マグマの活動で始まり, その後, 花崗岩の大規模な深成作用に引き継がれた。この深成作用は100-95 Maと80-75 Maの2つの時期に分けることができる。中新世中期の火成活動はユーラシア大陸から西南日本が分離, 移動したことにより引き起こされたものである。日本海形成(15 Ma)に関係した火成活動は, ユーラシア大陸東縁部の狭い範囲で始新世後期-漸新世初期に始まった。ジュラ紀初期*中期火成岩類の ^<87>Sr/^<86>Sr初生値, εNd初生値は後期白亜紀花崗岩類のこれらの値と似ている。このことは両火成岩類が似た起源物質から形成されたことを暗示している。一方, 中新世中期火成岩類のSr同位体比初生値, εNd初生値は以上の火成岩類の値とは著しく異なっている。中新世中期の日本海形成とともに, 西南日本弧の大陸性リンスフェアがフィリピン海プレート上にのし上げた。この出来事によって, 瀬戸内, 近畿領家帯地域下のリンスフェア・マントルはLILあるいはLREE元素に枯渇した化学組成をもつ様になった。中新世中期に活動した玄武岩はこの様にして形成された新しいマントルから形成された。高マグネシア安山岩は玄武岩を形成したマントルより浅い, 沈み込むプレートに由来する流動体相の影響を受けたマントルから形成された。安山岩, 石英安山岩は上部マントル由来のマグマと下部地殻の部分溶融によって出来たマグマとの混合物から形成された。それらのSr同位体比初生値とεNd初生値は, 下部地殻の部分溶融によって出来たマグマの寄与の程度により変わる。この下部地殻は苦鉄質化学組成をもち, 西南日本弧の後期白亜紀に活動した花崗岩類にとっても重要な起源物質である。