著者
丹野 貴行
出版者
三田哲學會
雑誌
哲學 = Philosophy (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.9-42, 2019-03

特集 : 坂上貴之教授 退職記念号#寄稿論文
著者
丹野 貴行 坂上 貴之
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.109-126, 2011-02-02

Herrnstein(1961)のマッチング法則の発見からこれまでの半世紀の間、微視と巨視をめぐる論争は行動分析における重要な課題の1つであると認識されてきた。本稿ではこの微視-巨視論争を3つの論点に分類・整理し、そこからこの論争の今後の展望を探ることを目的とした。1つめの論点は"強化の原理"であった。行動を制御しているのは、行動と強化の間の微視的な接近性だろうか、あるいは反応率と強化率の間の巨視的な相関性だろうか。2つめの論点は"分析レベル"であった。反応-強化間の関数関係を適切に記述するには、単一の反応と単一の強化という微視的な関係を用いるべきだろうか、あるいは反応率と強化率という巨視的な関係を用いるべきだろうか。そして3つめ論点は"行動主義"であった。ここ20年の間にpost-Skinner的な行動主義がいくつか提案されてきたが、本稿ではそれらを機械論とプラグマティズム、あるいは動力因的説明と目的因的説明といった対立軸から、微視的行動主義と巨視的行動主義とに分類・整理した。ここでの問題は、どちらの行動主義がより生産性のある行動の科学を導けるかということである。我々はこれら3つの論点をまとめ、そこから微視-巨視論争の今後の方向性を論じた。
著者
折原 友尊 丹野 貴行
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-19, 2022 (Released:2023-09-30)
参考文献数
93

Since the 1940s, response shaping, also called “shaping of a new operant response,” has been a central issue in behavior analysis. However, most studies have been reports on the artistic practice of response shaping, and limited experimental analysis has been conducted on its control variables. The purpose of this study was to summarize the current status of the scientific research on response shaping and to explore its future prospects. After defining it and summarizing its historical background, studies were reviewed on its success or failure and the experimental analysis of its control variables. Three directions were suggested for the future: standardization of the experimental methods, introduction of an automatic measurement technology of response topography, and a steady experimental analysis of its control variables. The conceptual significance of response shaping is discussed with regard to its current position in modern psychology.
著者
丹野 貴行 坂上 貴之
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.109-126, 2011-02-02 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

Herrnstein(1961)のマッチング法則の発見からこれまでの半世紀の間、微視と巨視をめぐる論争は行動分析における重要な課題の1つであると認識されてきた。本稿ではこの微視-巨視論争を3つの論点に分類・整理し、そこからこの論争の今後の展望を探ることを目的とした。1つめの論点は"強化の原理"であった。行動を制御しているのは、行動と強化の間の微視的な接近性だろうか、あるいは反応率と強化率の間の巨視的な相関性だろうか。2つめの論点は"分析レベル"であった。反応-強化間の関数関係を適切に記述するには、単一の反応と単一の強化という微視的な関係を用いるべきだろうか、あるいは反応率と強化率という巨視的な関係を用いるべきだろうか。そして3つめ論点は"行動主義"であった。ここ20年の間にpost-Skinner的な行動主義がいくつか提案されてきたが、本稿ではそれらを機械論とプラグマティズム、あるいは動力因的説明と目的因的説明といった対立軸から、微視的行動主義と巨視的行動主義とに分類・整理した。ここでの問題は、どちらの行動主義がより生産性のある行動の科学を導けるかということである。我々はこれら3つの論点をまとめ、そこから微視-巨視論争の今後の方向性を論じた。
著者
丹野 貴行
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.111-127, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
76

実験的行動分析と徹底的行動主義の関係性について概念分析を行った。構成は、1)Journal of the Experimental Analysis of Behavior誌の歴史的経緯に基づく実験的行動分析の4つの特徴の整理、2)徹底的行動主義の基本となる3つの軸の整理、3)両者の関係性についての論考、4)こうした概念分析の現代的意義の一例としての、行動分析学と心理学における再現性の危機との関わり、であった。徹底的行動主義とは、単に行動の科学的研究を指すのではなく、心理学の主題とその研究方法論をめぐる主張である。本稿では、実験的行動分析の「基盤」として徹底的行動主義が示され、またその不可分に結びついた関係性が、心理学における再現性の危機への健全性を支えていることが論じられた。