著者
熊 仁美
出版者
特定非営利活動法人ADDS
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2016

日本の発達障害児の早期発見の仕組みは、これまで医療や保健分野において整備が進んできた。しかし、早期支援については、専門家や人員、財源の不足などから、療育の頻度や質が十分でなく、重要な発達時期を逃してしまう子どもがいまだ多く存在する。本プロジェクトでは、国際的に効果が実証されている応用行動分析(Applied behavior analysis ;ABA)の技法を用いた早期療育プログラムおよび人材研修プログラムを、自治体の療育センターや民間児童発達支援事業所、保育やリハビリテーションの現場で活用するため、ITを活用した支援システムとして実装し、その効果を評価する。これにより、既存制度を活用したABA早期療育の持続的な地域モデルを確立し、全国への普及を目指す。
著者
大熊 仁美 鈴木 修 村山 幸照
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.97, 2007

【目的】当会では約1年毎に各部門のセラピストの異動があり、毎年4~6月に各部門で技術的な新人教育が実施されている。しかし、訪問業務内では技術的な部分以外でも様々な問題を経験する事が少なくない。今回、過去2年間に報告された訪問業務におけるトラブル・事故を分析し、今後の教育内容について検討した。<BR>【方法】平成17年1月~平成18年12月に当院の訪問リハビリテーション(以下リハ)センター松本地区で発生したヒヤリハット・事故・苦情を、報告書をもとに後方視的に調査した。平成18年12月現在、当センター松本地区のセラピストは理学療法士11名、作業療法士6名、言語聴覚士2名で、職種経験年数1~3年13名、4~6年3名、7~9年3名、訪問経験年数1年12名、2年4名、3年3名である。<BR>【結果】2年間の総訪問件数34292件のうち報告のあったケースは48件であった。内訳は、車両関連が21件(交通事故16件、交通違反2件、交通被害3件)、情報共有(連携)に関する苦情が22件(訪問予定の確認ミス16件、連携不足5件、その他1件)、リハ実施時の事故が5件(歩行時の転倒2件、移乗時の転倒1件、床上動作時の転倒1件、その他1件)であった。交通事故は、82%が午後の時間帯、69%が利用者駐車場、56%がバック時に発生していた。訪問予定の確認ミスは、50%が介入1ヶ月以内の新規の利用者で発生しており、転倒事故は全て介入開始4ヶ月以内に発生していた。また、セラピストの部署異動が行われる12月~3月頃にトラブル・事故が多発する傾向にあり、セラピストの訪問経験が4ヶ月以内の期間で49%、1年以内の期間で82%のトラブル・事故が発生していた。さらに、一人当たり平均14 時間以上の超過勤務となった月にトラブル・事故が多発している傾向を認めた。<BR>【考察】調査結果より、訪問業務に関するトラブル・事故は、職種経験よりも訪問経験の浅さが強く影響していることが示唆され、利用者側のフィールドで実施するという訪問業務の特殊性を考慮した教育を、訪問経験の少ない時期にセラピスト行う必要性が確認された。内容としては、1)過去のトラブル・事故の傾向の把握、2)緊急時の対応(リハ中の事故・急変、車両トラブル、苦情等)、3)接遇、4)在宅でのリスク管理と指導、5)介護保険制度、などの実践に即した教育研修を実施し、周知徹底することが課題であると考える。また、少人数によるグループ管理体制の確立とともに、グループ内でのon the job trainingの内容を具体化し業務の効率化を図り、適切な業務量を維持していく必要性が示唆された。
著者
熊 仁美
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

1.自閉症児の顔刺激に対する認知特徴の基礎研究自閉症児、または自閉症リスク児と定型発達児について、視線や表情を含む顔刺激に対する反応の分析を行い,特徴を比較することにより、自閉症児のコミュニケーションにおける顔認知特徴を明らかにすることを目的とした。本年度は、10名の自閉症児と10名の定型発達児についてのデータ収集により、自閉症児の顔刺激への認知傾向と、実際のコミュニケーション行動との関連も明らかにすることができた。今後はさらに条件を変化させ、より詳細な分析を行っていくことで、早期スクリーニング開発や早期支援プログラムの開発に応用していくことが可能となる。2.自閉症児の早期スクリーニングの開発研究視線分析装置を用いて、5名の自閉症児の視線刺激に対する反応特徴の分析を行った。また、他者とのコミュニケーションにおける社会的刺激の機能に関連した行動指標の評価研究を行った。現在、社会的刺激が強化として機能する場合に、反応が困難である可能性が示唆されており、今後被験者を増やすことで、早期スクリーニングの開発につなげていくことができると考える。3.自閉症児への共同注意行動への介入プログラム開発研究約30名の自閉症児に対し、週10時間の早期集中療育の効果測定研究を行い、初期のプロファイルと効果の相関分析を行った。その結果、知的障害と診断名が、早期療育の効果に関連が強いことが示唆された。また、現在、介入初期の自閉症児への共同注意行動と、早期療育の効果の関連の分析を開始している。それにより、共同注意行動への介入が、早期の発達支援の基盤として必要であることが明確になると考えられる。今後は、(1)自閉症児の顔刺激に対する認知特徴の基礎研究や(2)自閉症児の早期スクリーニングの開発研究において明らかになった点より、新たな共同注意介入プログラムの開発を行う。共同注意に特化した集中介入を伴わない早期療育群と、共同注意に特化した集中介入を伴う早期療育群の知能指数、共同注意、その他のコミュニケーション指標の変化の分析を行い、そのプログラムの効果を検討する。
著者
熊 仁美 竹内 弓乃 原 由子 直井 望 山本 淳一 高橋 甲介 飯島 啓太 齊藤 宇開 渡邊 倫 服巻 繁 ボンディ アンディ
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.85-105, 2010-01-30

本論文は、2008年7月12日に法政大学で行われた公開講座『自閉症とコミュニケーション』におけるシンポジウムを収録したものである。慶應義塾大学における自閉症児のコミュニケーションをのばす包括的支援プログラム、筑波大学におけるPECSを日常的に使うための家庭支援プログラム、民間療育機関たすくにおける機能的コミュニケーション指導が紹介され、ボンディ博士による指定討論が行われた。