著者
成澤 直規 池田 真有花 竹永 章生
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.114, no.9, pp.550-556, 2019 (Released:2023-12-10)
参考文献数
22

魚醤油は,生産量は醤油の僅か0.2%にも満たないが,国際化が進むにつれて,調理における隠し味として人気を博してきている。今回は海外の魚醤油の中でも,中国の魚醤油 魚露(イールー)について焦点を絞って,その成分の特徴について日本の魚醤油と比較して丁寧に解説いただいた。同じ調味料の仲間として醤油や醸造の研究開発に関わっている関係者の皆様には是非ご一読をお勧めする。
著者
成澤 直規 川崎 幸正 中島 圭右 阿部 申 鳥居 恭好 竹永 章生
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.273-278, 2014 (Released:2015-03-30)

う蝕原性Streptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusはスクロースを基質として非水溶性グルカンを産生し,歯面表面上に強固なバイオフィルムを形成する。本研究ではセリンプロテアーゼに属するナットウキナーゼの抗バイオフィルム効果について検討を行った。S. mutansとS. sobrinusのバイオフィルムはナットウキナーゼ1mg/ml濃度において約80%程度阻害された。このとき,非水溶性グルカン量の著しい低下が確認された。以上の結果からナットウキナーゼは非水溶性グルカン合成酵素に影響しているものと推察された。セリンプロテーゼに属するトリプシン,プロテイナーゼK,サブチリシンはナットウキナーゼと同程度のバイオフィルム抑制効果を有した。一方,パパインやブロメラインなどのシステインプロテアーゼのバイオフィルム抑制効果はセリンプロテアーゼと比較して著しく低下した。
著者
成澤 直規 竹永 章生 鳥居 恭好 阿部 申 中村 知世 岩本 理 川崎 幸正
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

これまでに市販納豆の可溶性抽出液にう蝕原性Streptococcus mutansのバイオフィルム形成抑制効果を明らかにしている。36種市販納豆を対象として評価した結果、バイオフィルム抑制効果はプロテアーゼ活性と相関性が認められた。抑制因子を精製した結果、セリン型プロテアーゼであるナットウキナーゼの特徴と良く類似した。これはS. mutansのバイオフィルム形成に必須である非水溶性グルカン合成阻害が原因であることが明らかとなった。ナットウキナーゼは歯の脱灰の臨界pHである5.0付近においても比較的活性を維持しており、応用的にも利用可能であるものと期待された。
著者
内田 あゆみ 陶 慧 荻原 淳 赤尾 真 熊谷 日登美 松藤 寛 竹永 章生 櫻井 英敏
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.639-646, 2009-12-15
参考文献数
16
被引用文献数
3

ジャンボリーキ鱗片から得られた泡粉末と比較のために鱗片末およびクルクミンを用いてGaINにより誘発される急性肝障害およびEtOHによって惹起される慢性肝障害モデルラットに対する影響を調べた.また同時に,推定関与成分として生鱗片からサポニンの単離・同定を試みた.その結果,ジャンボリーキの泡粉末および鱗片末は,GaIN,およびEtOHのラットへの投与実験において急性肝障害時の機能低下を抑制すること,またアルコール吸収を抑制することにより慢性肝障害を予防することを明らかにした.そして,その関与成分として既知のステロイドサポニンである(25R)-spirost-5-ene-2&alpha;,3&beta;-diol-3-<I>O</I>-{<I>O</I>-&beta;-D-glucopyranosyl-(1→2)-<I>O</I>-[&beta;-D-xylopyranosyl-(1→3)]-<I>O</I>-&beta;-D-glucopyranosyl-(1→4)-&beta;-D-galactopyranoside},(C<SUB>50</SUB>H<SUB>80</SUB>O<SUB>23</SUB>,MW : 1048),カラタビオサイドAの存在を提示した.
著者
竹永 章生 伊藤 真吾 露木 英男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.705-713, 1987-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

貯蔵中におけるきな粉の脂質の酸化防止に対する脱酸素剤の効果について検討するため,丸大豆からきな粉を調製し,これを試料として,脱酸素剤とともにガスバリヤー性の高いフィルム(KON/PE)に封入し(脱酸素剤区),25℃, 5℃, -25℃に150日間貯蔵し,きな粉TLの酸化指数および脂質組成の経時的変化について実験を行った.さらに,対照区として,含気包装した場合についても同様の実験を行い,比較・検討した.(1) 含気包装の対照区の場合,きな粉TLの酸化指数の経時的変化は,各貯蔵温度で,AV, POV, COVの増加,逆にIVの減少がみられ,この傾向は,貯蔵温度の高いほど顕著であった.一方,脱酸素剤区の場合では,25℃貯蔵の場合にPOVが経時的増加を示したが,その他の指数には大きな変化は認められず,さらに5℃, -25℃ではほとんど変化は示さなかった.(2) TLの脂質組成の経時的変化についてみると,対照区の25℃, 5℃貯蔵の場合,CL組成比の減少,逆にNL組成比の相対的増加が認められたが,脱酸素剤区の各貯蔵の場合および対照区の-25℃貯蔵の場合では,上記のような変化はほとんど認められなかった.(3) NLおよびCLの脂質組成の貯蔵に伴う変化については,対照区では,NL中のTG組成比の減少,逆にFFA, DG組成比の相対的増加,またCL中のPC, PE組成比の減少,逆に他の複合脂質組成比の相対的増加が認められた.一方,脱酸素剤区でも対照区の場合と同様の傾向が認められたが,その変化は小さいものであった.(4) TL, NLおよびCLの脂肪酸組成の変化についてみると,対照区でポリエン酸組成比の経時的減少,逆に飽和酸組成比の相対的増加の傾向が認められた.一方,脱酸素剤区では,脂肪酸組成には大きな経時的変化は認められなかった.