著者
竹澤 みどり 小玉 正博
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.310-319, 2004-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

本研究では, 不適応的・病的な現象として問題視されやすい依存を, 一般的な対人関係においてより積極的で適応的なものとして捉え, そのような依存を測定するための, 情緒的依存・道具的依存からなる対人依存欲求尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを第1の目的とした。さらに, 対人依存欲求尺度と, 肯定的特徴として他者への信頼感がどのように関連するか, これまで依存的であることの特徴として考えられてきた自分への自信のなさや意思決定に対する自己評価の低さとの関連も含めて検討することによって, 依存のより肯定的, 適応的特徴を示すことを第2の目的とした。447名の大学生を対象とし, 調査を実施した。因子分析の結果, 情緒的依存・道具的依存の2つの下位尺度からなる20項目の尺度が開発された。この尺度の信頼性と妥当性の検討を行ったところ, 両下位尺度において十分な信頼性と妥当性が確認された。さらに, 概ね対人依存欲求尺度と自己信頼感との間に有意な関連がみられなかったが, 女性においてはむしろ情緒的依存欲求が高いほど自己信頼感が高く, 依存欲求が高い人は他者信頼感が高いという依存の肯定的・適応的特徴が見出された。意思決定に関する自己評価においては, 情緒的・道具的依存欲求どちらにおいても高い人は, 自己評価が低かった。
著者
竹澤 みどり
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-25, 2014-03

本研究では、高齢者が将来利用する可能性のある在宅介護サービスに対してどのような不安や抵抗感を抱いているのか、またそれらが現在の高齢者の世帯構成によってどのように異なるのかを検討するために、自由記述調査を実施した。カテゴリー化の結果、「介護者の資質」「経済面」「介護制度・内容がわからない」など複数のカテゴリーが抽出された。さらに、非常に強い不安・抵抗感を感じている人の多くが、「経済面」「家族への負担」について記述していた。また、配偶者以外の家族と同居している人は、「家族への負担」「他人だから信用できない」といった回答が多い一方で、配偶者との二人暮らしの人は、「家族の負担」を記述する人は少なく、「経済面」についての記述が多かった。さらに、独居の人は「一人になる」「他人に迷惑をかけたくない」等の回答が多いなど違いがみられた。
著者
竹澤 みどり
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
季刊ほけかん (ISSN:13464191)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.5-7, 2012-12

ストーカー行為について,自分が被害者にならないために,また被害に苦しんでいる人をさらに傷つけてしまわないために,少しでも多くの人に知ってもらいたいと思う。
著者
八島 不二彦 今井 優子 斎藤 清二 宮脇 利男 西川 友之 立浪 勝 松井 祥子 瀬尾 友徳 竹澤 みどり 酒井 渉 彦坂 伸一 野原 美幸 二上 千恵子 原澤 さゆみ
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-18, 2013-03

富山大学では平成20年度に4人,平成21年度に3人の自殺が発生し,その対策として平成21年12月に富山大学自殺防止対策室が設置された。\富山大学自殺防止対策室は自殺者ゼロを目標に掲げ,約3年間さまざまな活動を行って来た。その結果,自殺防止対策室が本格的に活動を始めた平成22年度から平成24年12月現在までの自殺者は2人に止まっている。自殺者の減少という結果は出ているが,富山大学の自殺防止対策システムは本当に機能しているのか疑問が残る。\そこで本研究ではこれまでの富山大学自殺防止対策室の活動実績を分析し富山大学における自殺防止対策システムが有効に機能しているかについて検討する。
著者
竹澤 みどり 小玉 正博
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-11, 2007-06-25 (Released:2014-03-28)
参考文献数
30
被引用文献数
2

The dilemma between the dependence drive and expression of dependent behaviors was focused. Differences in self-worth and interpersonal relationships of people with a high dependence drive, who are either able, or unable to behaviorally express this drive was investigated. Undergraduate students (N=449) completed five scales measuring the following: dependence drive, dependent behaviors, self-worth, the number of dependent figures and interpersonal relationships. The results indicated that participants with a high dependence drive, but are unable to express it, have a negative self-worth and negative interpersonal relationships, whereas those with a high dependence drive who are able to express dependent behaviors have a positive self-worth and positive interpersonal relationships. The results suggest that it is adaptive to be able to express dependent behaviors in late adolescence.
著者
宮田 留美 中川 圭子 大浦 暢子 柴野 泰子 小倉 悠里子 竹澤 みどり 立浪 勝 中村 滝雄 松井 祥子
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.5-8, 2017-03 (Released:2017-03-30)

高照度光療法は、1980年代にスウェーデンの医師が世界で初めて有効性を報告した治療法である。目の網膜から一定量の強い光を取り込み、脳の中枢部にある睡眠ホルモンのメラトニンを抑制することによって生体リズムを整える治療法で、概日リズム睡眠障害やうつ病に効果があるとされている。今回、気分の落ち込み、睡眠や生活リズムの乱れが原因で就学への支障を自覚した学生に対し、高照度光療法を行い著効したと考えられる2事例について報告する。
著者
八島 不二彦 今井 優子 斎藤 清二 宮脇 利男 西川 友之 立浪 勝 松井 祥子 瀬尾 友徳 竹澤 みどり 酒井 渉 彦坂 伸一 野原 美幸 二上 千恵子 原澤 さゆみ
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-18, 2013-03

富山大学では平成20年度に4人,平成21年度に3人の自殺が発生し,その対策として平成21年12月に富山大学自殺防止対策室が設置された。\富山大学自殺防止対策室は自殺者ゼロを目標に掲げ,約3年間さまざまな活動を行って来た。その結果,自殺防止対策室が本格的に活動を始めた平成22年度から平成24年12月現在までの自殺者は2人に止まっている。自殺者の減少という結果は出ているが,富山大学の自殺防止対策システムは本当に機能しているのか疑問が残る。\そこで本研究ではこれまでの富山大学自殺防止対策室の活動実績を分析し富山大学における自殺防止対策システムが有効に機能しているかについて検討する。
著者
竹澤 みどり
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究はインターネット調査を用いて,情報通信技術(ICT)を用いた交際相手への暴力(IPV)の日本における実態および対面でのIPVとの関連を検討することが目的であった。結果,ICTを用いたIPV行為のうち言動監視が最も行われやすいこと,その影響や対処の仕方は人によって大きく異なることが明らかとなった。また,ICTを用いたIPV,対面でのIPVともに被害経験のある人が交際相手との関係においてより被統制感を感じていること,自己愛が関係不安や被害的な思い込みが高まることによってICTを用いたIPV加害行為の一部を高めることが明らかとなった。