著者
斎藤 清二
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
季刊ほけかん (ISSN:13464191)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.3-7, 2013-03

『神様のカルテ』は,医療における物語の展開を描き出すだけではなく,物語の主人公に共感し物語的現実を共に体験する読者を,そしておそらくは作者自身をも,変容させていく優れた媒介となる文学作品であるように思われる。
著者
斎藤 清二
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
季刊ほけかん (ISSN:13464191)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.4-8, 2012-09

苦しみに満ちた世界に対するコーピングとして「萌えを探求すること」は,比較的害の少ない,安全な方法であると言えるだろう。
著者
斎藤 清二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1014-1021, 2012-11-01

医療プロフェッショナリズムの教育には,全人的医療を志向する心身医学が貢献できる可能性は大きい.しかしこれまで,共感性,利他性,自省性などの医師に必要とされる美徳をどのように教育するかについての理論的,方法論的な議論は不十分であった.近年主張されている,物語に基づくプロフェッショナリズムの教育は,医療における中核的な矛盾に直接アプローチできる有力な教育法である.物語に基づくプロフェッショナリズムにおける最重要概念は,苦境にある他者の物語を認識し,吸収し,解釈し,それに動かされて行動することのできる能力(物語能力)である.この能力を高めるための教育法を確立するためには,物語技能,物語的訓練などの概念を整理する必要がある.本稿では,米国において実施されている物語的訓練法としてのパラレル・チャート,および本邦で実施されている「複数の視点からの物語作成実習」「Webシステムを利用した反省的記述と物語共有を通じての経験的学習」の実際について紹介した.
著者
山田 洋子 岡本 祐子 斎藤 清二 筒井 真優美 戸田 有一 伊藤 哲司 戈木クレイグヒル 滋子 杉浦 淳吉 河原 紀子 藤野 友紀 松嶋 秀明 川島 大輔 家島 明彦 矢守 克也 北 啓一朗 江本 リナ 山田 千積 安田 裕子 三戸 由恵
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

質的研究とナラティヴ(語り・物語)アプローチによって、ウィーン、ロンドン、ハノイ、シカゴ、海外4都市の大学において、多文化横断ナラティヴ・フィールドワークを行った。心理学、医学、看護学による国際的・学際的コラボレーション・プロジェクトを組織し、多文化横断ナラティヴ理論および多声教育法と臨床支援法を開発した。成果をウェッブサイトHPで公開するとともに、著書『多文化横断ナラティヴ:臨床支援と多声教育』(やまだようこ編、280頁、編集工房レィヴン)を刊行した。
著者
斎藤 清二 北 啓一朗 桜井 孝規
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.587-590, 1991-10-01
被引用文献数
1

A long-term course of physical and psychological treatment on a patient with laxative abuse was described in this report. A 52-year-old woman was referred to our hospital because of chronic diarrhes, hypokaremia, and general weakness with unexplained cause. Laboratory data showed hypokaremia and high value of plasma renin, angiotensin and aldosterone, which indicated pseudo-Bartter syndrome. Multiple diagnostic procedures on digestive organs including endoscopy and barium study revealed no organic abnormalities. A room search showed a package of laxative tablets (containing bisacody1), and the diagnosis of surreptitious laxative abuse was confirmed. Guide lines of management for this patient were introduced as follows; (1) The target of treatment should not be diarrhea but constipation and abdominal distention. (2) Confrontation regarding laxative use should be avoided until good physician-patient relationship would develope. (3) Psychotherapy would be introduced in a regular shedule. The patient could stop laxative use during the first admission. After laxative withdrawal, severe constipation and idiopathic edema developed. Supportive treatment fron both physical and psychological aspect was continued throughout several admissions and at the outpatient clinic. The patient has been free of laxative and diuretics ato the time 5 years after initial admission. Diagnosis and treatment of laxative abuse are usually difficult because patients often deny their laxative use. Another difficulty is to manage water retention and constipation after withdrawal of laxative. Long-term energetic support from both somatic and mental aspect seem to be essential help the patient give up laxative abuse.
著者
斎藤 清二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.1463-1468, 2019-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
9

Narrative based medicine(NBM)は,1998年に英国のGreenhalgh T,Hurwitz Bらによって提唱された医学/医療の概念であり,evidence based medicine(EBM)を補完する概念として一定の関心を集めてきた.本邦では,EBMとNBMは「患者中心の医療を実現するための車の両輪」と理解されている.近年,医療構造の急激な変化に伴い,改めてNBMの重要性が注目されている.また,2000年にCharon Aによって米国で開始された医学教育のムーブメントであるnarrative medicine(NM)は,医療者に必要な物語能力を涵養する教育法として,本邦の医学教育にも取り入れられつつある.本稿では,医療におけるナラティブ・アプローチとしてのNBMとNMの歴史・変遷を概観すると共に,現代の医療,特に地域包括医療,多職種連携ならびに医療人教育等の分野における最新の動向を加えて紹介したい.
著者
村中 泰子 斎藤 清二
出版者
清泉女学院大学人間学部
雑誌
清泉女学院大学人間学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies Seisen Jogakuin College (ISSN:13491202)
巻号頁・発行日
no.11, pp.13-25, 2014-03

Bipolar disorder is one of the mood disorders and is a mental illness that alternates between depression and manic state. It is important that the patients become aware of early symptoms for effective prevention of disease recurrence. In this study, we qualitatively analyzed narratives of patients to investigate how they understand the disease of their own and what they typically experience early in the disease recurrence.Nine patients with bipolar disorders were allowed to talk freely about their disorders. In order to study the disease from the patient's point of view, we used a narrative interview method, and the data were analyzed using SCQRM. Based on our analysis, we developed 33 concepts and ten categories, which were further grouped into three core categories.Through this study, we learned that it is difficult for patients to become aware of their hypomanic state preceding the depression, and to recognize the cause that lead to a change in the disease phase. Further, our study suggests that narrative interviews help patients realize and talk about these aspects that are usually overlooked.
著者
斎藤 清二 田中 三千雄 樋口 清博 窪田 芳樹 青山 圭一 島田 一彦 紺田 健彦 藤倉 信一郎 佐々木 博
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.1238-1247_1, 1982-08-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
15

236例のERCP施行症例につき主に選択的胆管造影率の向上を目的として,超広視野角十二指腸ファイバースコープとストレシチ法の併用の有用性を検討した.Fujinon社製DUO-X(視野角105°)を使用した149例では,膵管造影率はOlympus社製JF-B3(視野角64°)を使用した87例の成績と差はなかったが,胆管造影率は明らかに高値であった(各々93.5%,77.8%).DUO-Xを使用してプッシュ法でERCPを行った群47例の選択的胆管造影率はJF-B3の45例のそれと統計的有意差を認めなかったが(各々89.4%,77.8%),DUO-Xとストレッチ法を併用した群61例では有意に高い胆管造影成績(96.7%)が得られた.DUO-Xとストレッチ法を用いて施行条件を一定としてERCPを行った32例中胆管造影成功30例の所要時間は平均11分24秒であった.ストレッチ法でのERCPは試みた大部分の症例において容易に施行され,症例の胃形態とスコープ走行形態の間には一定の関連は見い出し得なかった.以上よりERCPにおけるストレッチ法は選択的胆管造影に有利な方法であり,超広視野角十二指腸ファイバースコープの併用により比較的容易かつ確実に施行できる勝れた方法であると思われた.
著者
斎藤 清二
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.445-449, 2005-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
12
著者
斎藤 清二 北 啓一朗 高木 由夏 田口 恭仁子 黒田 昌弘 初瀬 リマ 大澤 幸治 渡辺 明治 Paulo R Souza Antonio F.N Magalhaes
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.463-471, 1994-08-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

Some patients complain of continuous or reccurent abdominal pain associated with high serum levels of pancreatic enzymes but without definite signs of chronic pancreatitis on various examinations including ERCP. CT and US. This condition has been called clinically suggested chronic pancreatitis (CSCP) . In this report, we propose a new pathophysiologic hypothesis and a strategy for the treatment of CSCP based on the viewpoint of system theory and phenomenology. A psychosomatic vicious cycle consisting of the following three processes is often observed in CSCP : 1) A depressive mood and anxiety induce hypersecretion of the pancreatic juice. 2) An elevation of the intraductal pressure resulting from the pancreatic hypersecretion causes abdominal pain and increases in the serum levels of pancreatic enzymes. 3) Exacerbation of the symptoms and the information of the abnormal examination results aggravate the depressive mood and anxiety of the patient. This vicious cycle is considered to exacerbate and prolong the disease in the presence of the constitutional factor of hyperreactivity of the pancreatic exocrine function. On the basis of this pathophysiologic hypothesis, we formulated the following therapeutic strategy from a viewpoint of system theory, focusing particularly on the physician-patient relationship. ( I ) Sufficient medical interview and physical examination ; ( 2 ) examinations needed to exclude malignancies ; ( 3 ) proper explanation of the disease ; ( 4 ) setting control of symptom as the goal of the treatment ; and ( 5 ) administration of anti-depressants, if necessary. In this report, the clinical courses of two cases of CSCP, a 39-year-old female and a 32-yearold male, treated according to this strategy are described phenomenologically, and the validity of the hypothesis and the therapeutic strategy is evaluated.
著者
八島 不二彦 今井 優子 斎藤 清二 宮脇 利男 西川 友之 立浪 勝 松井 祥子 瀬尾 友徳 竹澤 みどり 酒井 渉 彦坂 伸一 野原 美幸 二上 千恵子 原澤 さゆみ
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-18, 2013-03

富山大学では平成20年度に4人,平成21年度に3人の自殺が発生し,その対策として平成21年12月に富山大学自殺防止対策室が設置された。\富山大学自殺防止対策室は自殺者ゼロを目標に掲げ,約3年間さまざまな活動を行って来た。その結果,自殺防止対策室が本格的に活動を始めた平成22年度から平成24年12月現在までの自殺者は2人に止まっている。自殺者の減少という結果は出ているが,富山大学の自殺防止対策システムは本当に機能しているのか疑問が残る。\そこで本研究ではこれまでの富山大学自殺防止対策室の活動実績を分析し富山大学における自殺防止対策システムが有効に機能しているかについて検討する。
著者
斎藤 清二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.2053-2058, 2003-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
12

近代医学は生物科学的側面を過剰に重視するあまり,患者の心理社会的側面を含む全人的な配慮をおろそかにしてきた.このような近代医学の偏りを補償するムーブメントの一つとして, Narrative Based Medicine (NBM:物語りに基づく医療)が提唱され,注日を集めている. NBMは,ポストモダンなパラダイムである社会構成主義をその理論的背景とし,人類学,社会学,心理学などの関連領域との学際的な連携をその特徴とする.一般医療におけるNBMの特徴は, 1)個々の患者の病いの体験と人生についての物語りの尊重, 2)語り手としての患者の主体性の尊重, 3)医療における多元性の尊重, 4)非因果論的観点の重視, 5)治療としての対話の重視,などにまとめられる.また, NBMとEvidence Based Medicine (EBM)とは,互いに補償しあう,患者中心の医療実践のための車の両輪的方法論であると言える.
著者
斎藤 清二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.2053-2058, 2003-10-10
参考文献数
12
被引用文献数
2

近代医学は生物科学的側面を過剰に重視するあまり,患者の心理社会的側面を含む全人的な配慮をおろそかにしてきた.このような近代医学の偏りを補償するムーブメントの一つとして, Narrative Based Medicine (NBM:物語りに基づく医療)が提唱され,注日を集めている. NBMは,ポストモダンなパラダイムである社会構成主義をその理論的背景とし,人類学,社会学,心理学などの関連領域との学際的な連携をその特徴とする.一般医療におけるNBMの特徴は, 1)個々の患者の病いの体験と人生についての物語りの尊重, 2)語り手としての患者の主体性の尊重, 3)医療における多元性の尊重, 4)非因果論的観点の重視, 5)治療としての対話の重視,などにまとめられる.また, NBMとEvidence Based Medicine (EBM)とは,互いに補償しあう,患者中心の医療実践のための車の両輪的方法論であると言える.
著者
斎藤 清二
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.75-82, 2014

1991年から2000年の10年間に,84名の摂食障害患者(神経性食思不振症[AN]53名,神経性過食症[BN]31名)が,心理療法セッションにおいて,自身の病いの経験と夢について語ることを勧められた。12名の女性の患者(AN8名,BN4名,14歳から28歳)が研究協力者となった。これらの患者は8ヶ月から6年間経過観察され,全例が寛解に達するか,明らかな病状の改善を認めた。322編の夢の語りが収集され,物語分析法により質的に分析され,カテゴリー化された。研究協力者から報告された夢語りのテーマと構成概念は,以下のようなキーワードによって描写することができた。「孤立/混乱/自我同一性の喪失」「旅」「試練」「異界」「自己解体」「死と再生」。比喩的に言えば,研究協力者のメタ・ナラティブは,通過儀礼,変容,死と再生といったテーマに関連しており,それを通じて真の自己が実現される一種の「探求の物語」として描写可能であった。結論として,個人レベルの人生の物語だけではなく,超個人的あるいは元型レベルの物語を共有することが,摂食障害の患者を理解し,治療的に寄り添うことを続けるために重要である。
著者
斎藤 清二
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.5-12, 2015-03

本邦における大学生自殺予防の取り組みは、各大学によって個別に行われてきたが、2014年に日本学生相談学会がガイドラインを公表するなど、個々の大学の壁を越える努力もなされるようになってきた。しかし本邦での、大学生の自殺への予防的介入に関する実証的な研究報告はほとんどないのが現状である。そのような状況の中で、富山大学は2010年から2012年までの3年間、大学内に自殺防止対策室を設置し、系統的な自殺防止対策に取り組んだ。本稿では、富山大学における3年間の取り組みの概略を報告するとともに、その経験に基いて、大学生の自殺予防についての考察と提言を試みる。