著者
千種 雄一 篠永 哲 国吉 徹 桐木 雅史 松田 肇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.243-246, 2005
被引用文献数
3 4

総合病院の看護師が6月6日の午後6時に配達された鮭弁当を, 翌朝の5時に摂食した.摂食時に鮭の裏側にハエ幼虫が多数付着している事に気付き, 摂食を中止した.何匹かの幼虫は摂取されたと思われるが, その後数日間に消化器症状等は出現しなかった.寄生していたハエ幼虫はヒロズキンバエの2齢幼虫と同定された.一般に広く利用されている弁当の食材にハエ幼虫の寄生をみる事があり, 消化器ハエ症を惹起する可能性も否定出来ない事を指摘した.
著者
篠永 哲
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.263-269, 1965-12-30 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
8 8

富士山において, 夏季のハエの垂直分布を調査した.調査は, 天候の最も安定している7月下旬を選び, 高度計を用いて海岸より標高500mごと, 3500mまでの間に8地点を選び, 各地点で馬肉を餌としたハエトリカゴを設置し, ハエを採集した.得られたハエは研究室で種類を同定し, 個体数を数えた結果, 4科, 19属, 35種, 2371個体であつた.その大多数はクロバエ科に属し, 約75%を占め, 調査地点では1500mが最も多く, それは, ホホグロオビキンバエの出現によるものである.2000m以上の高山地帯では, クロバエ科の3種, オオクロバエ, ミヤマクロバエ, ケブカクロバエが優位種で, 海岸(0m)では, 人家附近で発生するキンバエ族とニクバエ科のハエが多くみられた.これらのハエは, それぞれの種ごとに特有の分布域を有し, それは, 気温, 湿度などの気候条件と植物相, 発生源の有無など有機的, 無機的な環境条件に左右されると考えられる.しかし, 最大の条件は気温であるように思われる.採集されたハエの種および個体数などから見ると, 夏季のハエの垂直分布は, 次のごとく大体4つの分布帯が考えられる.1)0〜500m.2)500〜1500m.3)1500〜2500m.4)2500m以上.
著者
篠永 哲 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.279-287, 1983-12-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
1

日本産トゲアシメマトイ属のハエについては, 篠永・加納(1971)が8種記録している。その後, 岩佐(1980)は, シラホシトゲアシメマトイ(H. albipuncta)とキリガクレメマトイ(H. meteorica)の3令幼虫の形態について報告した。このうち, 前種は日本末記録の種であった。著者らは, 日本各地の牧場などで動物糞上から採集されるハエ類のうちに, トゲアシメマトイ属の4新種。ダイセツトゲアシメマトイ(H. daisetsuzana), ケブカトゲアシメマトイ(H. multipilosa), チビトゲアシメマトイ(H. exigua)とオンタケトゲアシメマトイ(H. ontakensis)を見いだしたので記載した。このほかに4新記録種を追加し, これら17種についての検索表を付した。
著者
篠永 哲
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.i-ii, 2000-12-15 (Released:2016-08-09)
著者
篠永 哲 岩佐 光啓
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.295-298, 1983-12-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
1 2

アエバエ科, マキバイエバエ属のハエは, 加納・篠永(1977)によって日本から6種と1亜種が記録されている。著者らは, これら日本産の標本と南西諸島からニューギニアに至る各地の標本について再検討した結果, M. tarsalis tarsalis (Malloch)と同定されていた種は新種と認められた。M. tarsalis tarsalisは, Vockeroth (1972)によってM. laevis (Stein)のsynonymとされている。本新種は, laevisに類似しているが, 背側板剛毛のまわりに1本ないし2本の小剛毛を有すること, 雄の生殖器の内狭子の先端に切れ込みがあること, 雄の小楯板の側面の短剛毛列を欠くことなどによりlaevisと区別さりる。laevisは, 広く東南アジア, ニューギニアなどに分布し, 日本では南西諸島, 九州南部に生息している。新種に分布している。成虫は, 主に放牧地の新鮮な牛糞上にみられる。日本産マキバイエバエ属の検索表をつけ加えた。
著者
貞政 裕子 池上 望 康井 真帆 矢口 均 比留間 政太郎 鶴野 寿一 篠永 哲
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.249-252, 2008

69歳,女性。平成19年2月に中米のコスタリカ共和国へ旅行し,帰国後より左側腹部に小結節が出現し徐々に大きくなった。4月3日近医で粉瘤の診断のもと切開術を施行され,翌日同部からハエ幼虫が圧出された。幼虫はヒトヒフバエ(<I>Dermatobia hominis</I>)と同定された。中南米からの帰国者に粉瘤様の紅色結節をみた場合は本症も考慮する必要があると思われる。
著者
篠永 哲 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.57-63, 1973
被引用文献数
1

日本産ミドリハナバエ属については, 加納・篠永(1967), 篠永・加納(1971)が成虫5種を記載しているほか, 篠永ら(1972)がキタミドリハナバエO. caesarionを北海道から日本新記録種として報告している。わが国では, 本属の幼虫はすべて牛その他の大形草食獣糞より発生するが, とくに放牧場の牛糞からの発生が多い。しかし, 沖繩の石垣, 西表島などでは, 水牛糞がおもな発生源である。本属の幼虫の形態については, 日本では石島(1967がミドリハナバエO. coeruleaの3令幼虫を記録しているのみである。著者らは, 野外で採集した雌成虫を新鮮な牛糞と砂糖水を与えて飼育し, 産卵させて3令幼虫をえた。図と記載のごとく, ミドリハナバエ属の幼虫は腹部第12節に特徴があり, そのうちでもanal plateとanal, subanal, postanal, extra-anal papillaeなどの有無, 形態とその組合せなどは種の特徴として重要でありこれらによって種の同定も可能である。
著者
篠永 哲
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.255-267, 2006

Thirteen families, Culicidae (6 species), Bibionidae (3), Bombiliidae (3), Stratiomyidae (5), Asilidae (5), Phoridae (1), Schiomyzidae (1), Nerriidae (1), Cryptochaetidae (1), Scathophagidae (2), Fanniidae (6), Muscidae (37), Calliphoridae (16), Sarcophagidae (17), totailling 104 species of dipterous insects are recorded. Among them, Culex pipiens pattens, Biboi adjunctus, Plecia adiastola, Microchrysa flaviventris, Sargus niphonensis, Allognosta flavimaculata, Phaonia subnigra, Helina annosa, Helina latiscissa, Pygophora maculipennis, Onesia nartshukae, Phormia regina, Metopia argylocephala are newly recorded from Imperial palace, however, most of them have recorded from Akasaka Imperial ground (Shinonaga, 2005a-c).
著者
篠永 哲
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.469-479, 2000
被引用文献数
1
著者
大滝 倫子 篠永 哲
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.81-82, 1995
被引用文献数
1

A case of dermatitis due to slug caterpillar of Lotoia lepida, in Saitama Prefecture, was reported. Many small erythematous maculopapules with itching were observed on the forearm and cubital fossa.
著者
堀栄 太郎 山口 勝幸 和田 芳武 山浦 常 加納 六郎 篠永 哲 藤野 信之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.87-90, 1984
被引用文献数
3

Three cases of human myiasis due to two species of Cordylobia were reported. In case 1,the patient was a 35 year old Japanese woman who had been in West Cameroun in 1979. A mass attended with a severe pain was found in the right upper-eyelid. Two maggots taken out from the lesion were identified as the third-stage lervae of Cordylobia rodhaini Gedoelst, 1909. In cases 2 and 3,the patients were the siblings, a Japanese boy aged 6 and a Japanese girl aged 2,who had been in Abidjan, Cote d'Ivoire in August 1982. The masses attended with a severe pain were found in the fore-head and shoulder of the boy and in the back of the head of the girl. Six maggots were taken out from the lesions and they were identified as the third-stage larvae of Cordylobia anthropophaga (Blanchard, 1893).