著者
川本 文彦 岩田 徹也 市原 醇郎 熊田 信夫 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.117-119, 1990
被引用文献数
3 3

A case-report of oral-stings by spermatophores of a squid, Tadorodes pacificus was described. The male patient was one of the authors of this report, aged 26 years, who was injured in his oral cavity immediately after eating uncooked internal-organs of a squid by mistake. He complained of severe pain and foreign-body sensation in the oral cavity. On examination, more than 15,small spindle-shaped stings stuck in mucous membrane of the tongue, soft palate, and upperlip. Stings were removed surgically in hospital, and they were identified as squid spermatophores by their shapes and containment of sperms. In addition to this case, two other cases with similar symptoms were identified as oral-stings by squid spermatophores. These cases suggest that fresh squids should be carefully prepared before eating them as "sashimi" or in raw.
著者
篠永 哲 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.279-287, 1983-12-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
1

日本産トゲアシメマトイ属のハエについては, 篠永・加納(1971)が8種記録している。その後, 岩佐(1980)は, シラホシトゲアシメマトイ(H. albipuncta)とキリガクレメマトイ(H. meteorica)の3令幼虫の形態について報告した。このうち, 前種は日本末記録の種であった。著者らは, 日本各地の牧場などで動物糞上から採集されるハエ類のうちに, トゲアシメマトイ属の4新種。ダイセツトゲアシメマトイ(H. daisetsuzana), ケブカトゲアシメマトイ(H. multipilosa), チビトゲアシメマトイ(H. exigua)とオンタケトゲアシメマトイ(H. ontakensis)を見いだしたので記載した。このほかに4新記録種を追加し, これら17種についての検索表を付した。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 金子 茂 中嶋 暉躬 安原 義 与那原 孫伝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-71, 1981
被引用文献数
8

サソリモドキ類は世界で約70種が知られ, 日本には1属2種, タイワンサソリモドキTypopeltis crucifer Pocock, 1894とアマミサソリモドキT. stimpsonii (Wood, 1862)を産する。これらは肛門付近から酢酸臭の強い分泌液を噴射する。米国産大形種Mastigoproctus giganteusについてはEisner et al. (1961)の報告がある。われわれは沖繩石垣島産タイワンサソリモドキの噴射液を, ガスクロマトグラフィー, マススペクトラム法, 高速液体クロマトグラフィーを用いて調べ, その組成は, 酢酸81.7%, カプリル酸5.4%, 水12.9%で, 活性アミン, ペプチド様物質は痕跡程度であった。Eisnerの報告では酢酸84%, カプリル酸5%, 水11%で, このように地域, 属が異なるのに噴射液の組成がほぼ同様であることは興味深い。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 中嶋 暉躬 安原 義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.83-86, 1985
被引用文献数
2

日本産有毒鱗翅目の12種(カレハガ科 : マツカレハ, ツガカレハ, イワサキカレハ, タケカレハ;イラガ科 : イラガ, クロシタアオイラガ, アオイラガ, ヒロヘリアオイラガ;ドクガ科 : ドクガ, チャドクガ, モンシロドクガ;マダラガ科 : タケノホソクロバ)の幼虫の毒針毛, 毒棘中に含まれているヒスタミンとセロトニンの定量を, イオン交換高速液体クロマトグラフィーを用いて行った。セロトニンは, すべての種において見出すことができなかった。ヒスタミンは, カレハガ科4種には見出せなかったが, 他の8種にはすべて見出され, その定量を行った。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 金子 茂 中嶋 暉躬 安原 義 与那原 孫伝
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-71, 1981-03-15 (Released:2016-09-03)
被引用文献数
6 8

サソリモドキ類は世界で約70種が知られ, 日本には1属2種, タイワンサソリモドキTypopeltis crucifer Pocock, 1894とアマミサソリモドキT. stimpsonii (Wood, 1862)を産する。これらは肛門付近から酢酸臭の強い分泌液を噴射する。米国産大形種Mastigoproctus giganteusについてはEisner et al. (1961)の報告がある。われわれは沖繩石垣島産タイワンサソリモドキの噴射液を, ガスクロマトグラフィー, マススペクトラム法, 高速液体クロマトグラフィーを用いて調べ, その組成は, 酢酸81.7%, カプリル酸5.4%, 水12.9%で, 活性アミン, ペプチド様物質は痕跡程度であった。Eisnerの報告では酢酸84%, カプリル酸5%, 水11%で, このように地域, 属が異なるのに噴射液の組成がほぼ同様であることは興味深い。
著者
加納 六郎 杉山 悦朗
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.43-48, 1983
被引用文献数
3

ルソン島(フィリピン)およびネパールより, センチニクバエ属に属するニクバエの2新種を見出した。ルソン島より得られたものをカブレラセンチニクバエBoettcherisca cabrerai, ネパールより得られたものをネパールセンチニクバエBoettcherisca nepalensisと命名し, おのおのの形態, 特徴を記載した。センチニクバエ属に属する既知種11種の検索表を付した。
著者
加納 六郎 二田原 正憲 粟谷 壽郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.14-20, 1954
被引用文献数
1

之まで日本に於いて報告されているCulex属, Culiciomyia亜属の蚊は2種あつて, その1つはアカクシヒゲカCulex pallidothorax Theobald, 1905であり, 他はキョウトクシヒゲカCulex kyotoensis Yamaguiti et Lacasse, 1952であり, いずれも暖地性の種で, 九州及び本州西南部に多産し, 東北地方及び北海道からは未だ発見されていない.なお琉球諸島には近似種リュウキュウクシヒゲカCulex ryukyensis Bohart, 1946を産する.著者等及び林滋生氏, 小出春記氏は, 1948年以来, 本州(伊香保, 富士山麓, 三ツ峠, 湯河原, 熱海, 箱根, 日光菖蒲カ浜等)及び九州(鹿児島県, 宮崎県等)に於いて, 成虫, 幼虫共に明かにCuliciomyia亜属の特徴を示し, しかも以上3種のいずれにも該当しない蚊を多数採集している.之を諸外国産の近似種と比較検討したが, 該当するものはなく, 之までに記載のない種と考えられるので, 茲に新種として記載し, 和名をヤマトクシヒゲカとする.なお学名の種小名sasaiは, 第二次大戦中から戦後にかけて, マラリヤ及び蚊の研究面における大なる進歩に著しい貢献をされた東京大学助教授佐々学博士の名を記念したものである.
著者
篠永 哲 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.57-63, 1973
被引用文献数
1

日本産ミドリハナバエ属については, 加納・篠永(1967), 篠永・加納(1971)が成虫5種を記載しているほか, 篠永ら(1972)がキタミドリハナバエO. caesarionを北海道から日本新記録種として報告している。わが国では, 本属の幼虫はすべて牛その他の大形草食獣糞より発生するが, とくに放牧場の牛糞からの発生が多い。しかし, 沖繩の石垣, 西表島などでは, 水牛糞がおもな発生源である。本属の幼虫の形態については, 日本では石島(1967がミドリハナバエO. coeruleaの3令幼虫を記録しているのみである。著者らは, 野外で採集した雌成虫を新鮮な牛糞と砂糖水を与えて飼育し, 産卵させて3令幼虫をえた。図と記載のごとく, ミドリハナバエ属の幼虫は腹部第12節に特徴があり, そのうちでもanal plateとanal, subanal, postanal, extra-anal papillaeなどの有無, 形態とその組合せなどは種の特徴として重要でありこれらによって種の同定も可能である。
著者
金子 清俊 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.169-172, 1966
被引用文献数
2

筆者らは1965年の春と秋に, 台湾においてかなり多数の恙虫を採集した.宿主は鼠類, タイワンカグラコウモリおよびスインホーキノボリトカゲであつた.今回はそのうち鼠以外, すなわちコウモリとトカゲに寄生していた恙虫について報告する.コウモリ寄生の恙虫は, イワサキツツガムシで, トカゲ寄生のものは, トカゲツツガムシであつた.両種共に台湾では新記録である.イワサキツツガムシは原記載以後はじめての記録であり, 原記載と多少異なる点もあつたので, 国立科学博物館の上野俊一博士の御好意により, 石垣島産のカグラコウモリから採れた沢山の恙虫標本を見せていただき, これらを比較検討した.
著者
小久保 醇 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.226-227, 1961

Sarcophaga harpax Pandelle, Carcelia bombylans R.-D., Euterus matsuyadorii Matsumura and Brachymeria minuta Linne were recovered from the pine-moth pupae collected in June of 1960 in Kashima district, Ibaraki Prefecture. In these species Sarcophaga was most abundant and Brachymeria appeared as secondary parasite from pupae of Sarcophaga.
著者
堀栄 太郎 山口 勝幸 和田 芳武 山浦 常 加納 六郎 篠永 哲 藤野 信之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.87-90, 1984
被引用文献数
3

Three cases of human myiasis due to two species of Cordylobia were reported. In case 1,the patient was a 35 year old Japanese woman who had been in West Cameroun in 1979. A mass attended with a severe pain was found in the right upper-eyelid. Two maggots taken out from the lesion were identified as the third-stage lervae of Cordylobia rodhaini Gedoelst, 1909. In cases 2 and 3,the patients were the siblings, a Japanese boy aged 6 and a Japanese girl aged 2,who had been in Abidjan, Cote d'Ivoire in August 1982. The masses attended with a severe pain were found in the fore-head and shoulder of the boy and in the back of the head of the girl. Six maggots were taken out from the lesions and they were identified as the third-stage larvae of Cordylobia anthropophaga (Blanchard, 1893).