著者
細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.201-207, 2022-04-30 (Released:2022-06-05)
参考文献数
19

労作性熱射病の予後は中枢神経障害を伴う深部体温40°C以上の状態が30分以上続くと悪化するとされている.そのため病院搬送前から積極的な治療をすることが望ましいが,日本においては医療制度の観点から病院外での治療の実践が極めて困難な実態がある.他方で大型スポーツ大会においては本邦においても医療者が現場に配属していることから,その特性を活かせば労作性熱射病のプレホスピタル対応の実践が可能な場合もある.
著者
泉 秀幸 笹木 正悟 細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.95-104, 2020-10-31 (Released:2020-11-28)
参考文献数
23

本研究は,日本でフルタイムのアスレティックトレーナー(AT)として活動する公益財団法人日本スポーツ協会アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の特徴を最新のデータを用いて明らかにすることを目的とした.フルタイムのATとして活動するJSPO-ATの特徴は,①82.4%が男性で,②はり師(46.8%)などの医療系資格を持ち,③活動場所は東京(28.2%)などの大都市を持つ都道府県の④サッカー(23.2%)など主要プロスポーツチームのポジションで雇用されており⑤年収の中央値は301~400万円であった.今後は,これらの結果を用いてAT職の普及およびアスレティックトレーニングの発展が期待される.
著者
小出 敦也 細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-73, 2020-10-31 (Released:2020-11-28)
参考文献数
15

本稿では日本の高等学校におけるアスレティックトレーナーの介入例として熱中症対策の実践報告をまとめた.実践された熱中症対策には(1)活動時間に関する取り組み,(2)環境温度に基づいた運動指針,(3)水分補給に関する取り組み,(4)物品・環境の整備,(5)教育・啓蒙活動が確認され,様々な学校関係者の参画によって実現された.今後は取り組みの効果を測定し,汎用性のある熱中症対策を提案する必要がある.
著者
細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-21, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
13

学術有識者によって示された提言書は,研究者に限らず臨床家などの実践者にとって有益な情報を集約している.その執筆過程では,信頼性や臨床的意義を担保するために幾度となく推敲が重ねられるだけでなく,査読過程を経ることで学術的な透明性も確保する.本稿では,筆者が今までに執筆に携わった事例から,提言書が作成されるまでの過程と推奨文の科学的根拠を評価する際に用いられる代表的な手法を概論する.
著者
泉 秀幸 笹木 正悟 細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.127-134, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
18

本研究は,名称の使用で混同されることのある「アスレティックトレーナー(AT)」と「トレーナー(TR)」の間で属性,活動,資格および業務に違いがあるか検討した.その結果,ATのほうがTRと比較して12の業務のうち7つの業務で実施率が高く,平均実施業務数も多いことが明らとなった.一方でその他の項目においては統計学的な差が確認されなかった.
著者
砂川 憲彦 真鍋 知宏 半谷 美夏 細川 由梨 奥脇 透 広瀬 統一 中山 晴雄 武冨 修治 笠原 政志 眞下 苑子 増島 篤
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.155-171, 2022-04-30 (Released:2022-06-05)
参考文献数
43

一般社団法人日本臨床スポーツ医学会および一般社団法人日本アスレティックトレーニング学会は,スポーツ外傷・障害調査の標準化に向けた有識者によるワーキンググループ(WG)を2020年12月に立ち上げ,本邦のスポーツ現場の実態に即した調査の実施方法について検討した.WGではスポーツ外傷・障害および疾病調査が国内の大学スポーツ現場において前向きに実施されることを想定し,基本項目についてノミナル・グループテクニックおよびデルファイ法を用いて検討した.その結果,記録者の属性,調査対象の定義,記録項目,疫学データの表現方法,収集されたデータの取り扱いに関する留意事項などに関する全8つの推奨文をまとめた.
著者
細川 由梨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-38, 2017-12-15 (Released:2019-01-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

Exercise in the heat poses unique stress to the thermoregulatory system and body fluid regulation. Understanding the complex interaction between the environmental heat stress and the exercising body is imperative in optimizing exercise performance and safety in the heat. The thermal physiology of human during exercise has been well described in laboratory studies, which provided evidence-based recommendations for practitioners and athletes to follow to maximize their performance. However, confounding variables that are unique to the individual, organizational and environmental context further challenges the scientists to establish strategies in reducing thermal stress during exercise. This review provides a brief overview of human body temperature and fluid regulations and explore ways in which one may optimize performance in the heat through the means of heat acclimatization, proper hydration, and body cooling. Second, safety precautions in the heat to minimize the risk of exertional heat illness are discussed with a recent example of regionally specific activity modification guideline that is being investigated in the United States. Lastly, limitations in laboratory based thermal physiology studies are discussed, such as lack of external validity in simulating the true environmental heat stress and lack of validated method in measuring real-time internal body temperature change and hydration status during exercise.
著者
細川 由梨 大伴 茉奈 熊崎 昌 田島 千紘 猪俣 巴 勝俣 凜香 東海林 理紗 巻渕 泰輝 中山 晴雄
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.257-265, 2022-04-30 (Released:2022-06-05)
参考文献数
14

国内の大学競技レベルにおけるスポーツ関連脳振盪(SRC)に関する情報発信の実際を調査した結果,一般公開されているSRCのガイドラインは11団体で確認された.今後の課題としては,Risk reductionに関して明記している団体が少ないことが明らかとなった.SRCのガイドラインは競技規則や競技特性に合わせて策定する必要があり,今後より多くの競技団体から情報発信されることや,実際に活動している者へ最新情報を届けることが重要である.