著者
細川 英雄
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.58, 2017 (Released:2018-06-05)

本稿では,人間の学としての言語文化教育学の歴史的な展開として,学習者主体からことばの市民への教育理念の変容を論じた。いわゆるコミュニケーション能力育成が目的化されてきた1970年代から80年代以降,90年代後半から打ち出された言語文化教育の思想は,これまでの言語教育の範疇を超え,ことばと文化の教育を人間科学として捉えようとする,言語教育上のポリティクスだったといえよう。1995年の「学習者主体」提案から20年,教育技術方法主義と文化本質主義に陥った日本語教育を捉えなおすための,自己・他者・社会をつなぐ理論的な枠組みとして,言語能力向上の先に存在する,人間形成の課題としての「ことばの市民」という教育概念の意味とその位置づけを提案し,その社会変革理念がどのように具体的な活動実践と結びついていくかという課題を,言語文化教育学のポリティクスとその実践の方向性として示した。
著者
長谷川 恒雄 LEVY Christi MARIOT Helen 細川 英雄 砂川 裕一 佐々木 倫子 RADKE Kurt W. COOK Haruko M. YUE Kwan Cheuk BEKES Andrej CHEUK Yue K LEVY Christ MARIOTT Hel STEINHOF Pa RADKE Kurt BEKES Andre KWAN Yue Che MARIOTT Hele STEINHOFF Pa RADKE Kurt W BEKCS Andrej
出版者
慶応義塾大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究に先行し、本研究組織中の長谷川、佐々木、砂川、細川の4名は平成4・5年度文部省科学研究費補助金(総合研究A)「外国人留学生のための『日本事情』教育のあり方についての基礎的調査研究」(課題番号04301098)を得て、国内の大学等高等機関における「日本事情」教育の教育状況を調査し、「日本事情」教育の向かうべき理論的方向を研究したが、本研究においてはその研究成果をさらに世界的視野に発展させ、世界の諸大学の「日本事情」教育について調査し、その結果をもとに、意見交換を行ないながら、「日本事情」教育の国際比較研究を行なった。その結果、「日本事情」という名称の特殊性、あるいは地域による教育方法の差異が明確になり、従来漠然と指摘されていたこと等が本調査研究によって確認されるとともに、今後の質的研究のための基礎が形成できた。今後はこうした研究をさらに深めるため、「日本事情」教育の内容についての理論・実践を具体的に検討することが必要となる。
著者
オードリー オスラー 小玉 重夫 細川 英雄 福島 青史
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.2-32, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

本稿は,2019年3月10日に早稲田大学で開催された言語文化教育研究学会第5回年次大会シンポジウムの記録である。
著者
竹田 青嗣 細川 英雄 西口 光一
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.279-300, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

本稿は2018年1月30日(火)に当学会の特別企画として開催された竹田青嗣氏の主著『欲望論』をめぐる本人による講演とパネルディスカッションの記録である。特別企画の前半は,竹田氏が「言語の本質とは何か」という問題から出発する言語ゲーム論を中心に,言語を用いて共通了解を生み出していくための原理としての『欲望論』の哲学原理について講演した。後半はそれを承け,細川英雄氏と西口光一氏が,『欲望論』を日本語教育の分野におけるそれぞれの問題意識に引き寄せつつ講演し,その後,竹田,細川,西口各氏によるパネルディスカッションを行った。その後,フロアとの質疑応答という形でオープンに議論が展開した。どのような社会を構想するべきなのか。それにはどのような哲学原理が必要なのか。そして,ことばの教育に携わる者は,そのような社会の構想に向けてどのような問題意識を持ち,どのように行動すべきなのか。方法論に先立つ「意味」と「価値」を問う「ことばの教育」の哲学原理について,会場では活発な議論が交わされた。本稿では,紙数の関係から竹田,細川,西口各氏の講演部分は要旨のまとめ,他の部分は談話体による記述とした。本稿によって当日の講演およびパネルディスカッションの内容が,臨場感を持って読者に伝われば幸いである。
著者
細川 英雄
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.97-110, 1978-06-15