著者
細田 暁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.23-00037, 2023 (Released:2023-12-20)
参考文献数
12

山口県の品質確保システムにおける橋台のコンクリート施工記録を活用して,ひび割れ発生確率曲線を作成し,示方書に示される曲線との比較や考察を行った.示方書の曲線と比較し,明らかに左にシフトしたものが得られ,解析に用いた熱膨張係数が,山口県のコンクリート工場群で作製した供試体の計測から得られた熱膨張係数よりも大きいことによると考察した.実験で計測された熱膨張係数を用いて作成した曲線は示方書の曲線とほぼ重なることが確認された.コンクリート施工記録の全てのリフトのデータを用いた場合,正規分布を仮定して曲線を作成する際の引張強度,引張応力の変動係数が19%と既往の研究に比べて大きくなり,2010年以降のデータのみの場合の変動係数は12.5%と小さく,施工の基本事項の遵守が浸透したことで,品質が向上したと考察した.
著者
井川 倫宏 玉岡 優児 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.101-109, 2018 (Released:2018-09-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

現行の表面吸水試験では,測定結果から得られる10分時点での表面吸水速度を評価基準に用いている。本研究では,3種類の水セメント比のコンクリートを用いた促進凍結融解試験による様々な劣化の程度の供試体に対して,10分時点での表面吸水速度と10分間の吸水量が比例関係を示すことが分かった。これまでに提案されている品質評価のしきい値により,W/Cが55~75%のコンクリートの凍結融解作用による劣化の程度を評価可能であると考えられる。さらに,測定時間の短縮について検討し,1分から10分の間の任意の測定時間において,現行の10分時点での評価と同じ評価結果をもたらす評価指標を提案した。
著者
船山真里 細田暁 武南浩二 宮本充也
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

戻りコンクリートに特殊凝集剤を添加して製造したIWA細骨材を用いた流動化処理土の物性について検討した。IWA細骨材とセメントと水のみで,適切なフレッシュ性状と圧縮強度を有する流動化処理土が製造できた。適切なフロー値と圧縮強度となる流動化処理土を得るためのIWA細骨材の粒度分布の範囲を示した。フロー値および圧縮強度が,単位体積質量と直線的な関係を示すことが明らかとなった。IWA細骨材の製造過程におけるクラッシュの有無により,フロー値と単位体積質量の関係が異なり,クラッシュありIWA細骨材の場合小さいフロー値を示し,クラッシュによる微粒分が影響したためと考えられた。
著者
志賀純貴 細田暁 宮本充也
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

造粒ポーラスコンクリートの空隙率を,水中浸漬後の乾燥条件を変化させた2種類の容積圧力法により測定し,打込み時の質量になった時点を表乾状態と仮定する容積圧力法(改)において,突固め回数が35回の場合に,15回および25回の場合と比べて連続空隙率が顕著に小さくなった。円柱供試体を用いた圧縮強度では,1.42~2.30N/mm2と非常に低い値を示したが,拘束効果を持たせた円柱試験体による支圧強度試験では,円柱供試体と比較し最大で2.9倍の強度を示した。
著者
木下 果穂 牛田 貴士 津野 究 細田 暁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F1(トンネル工学) (ISSN:21856575)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.88-101, 2022 (Released:2022-09-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

臨海部や感潮河川付近に位置する鉄道シールドトンネルでは,RCセグメントに塩化物イオンの影響による鋼材腐食が見られることがある.本研究では,まず,腐食促進実験による塩化物イオン浸透状況の観察により,継手付近に特徴的な塩分浸透特性を把握した.次に,塩害劣化を想定したセグメント覆工模型の載荷実験を行い,継手鋼材の腐食により継手部の回転剛性が低下する等,力学的挙動への影響を確認した.さらに,継手鋼材の腐食の影響を考慮できる有限要素解析法を提案するとともに,三次元FEMによる解析結果を実験結果により検証し,手法の妥当性を確認した.
著者
坂田 昇 渡邉 賢三 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.999-1006, 2014
被引用文献数
2

コンクリート構造物の表層部分は,構造物の耐久性に大きな影響を及ぼす重要な部位であり,かつ,表層部自身の品質は施工要因の影響を大きく受ける。そこで,コンクリート構造物の表層部の品質を目視調査に基づいて合理的に評価する方法を用いることによって表層品質に与える要因を分析し,品質向上につなげた事例について紹介する。さらに,分析の結果から,表層品質向上に対して合理的な手法の一つとしてブリーディング抑制型AE 減水剤に着目し,その特徴,適用事例および表層品質の向上効果について紹介する。
著者
細田 暁 岸 利治
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.3-6, 2007-11-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

2007年4月にオランダで自己治癒材料に関する第1回国際会議が開催された。また, JCIには自己修復に関する研究委員会が2007年に発足し, RILEMでもSelf Healing Concreteの技術委員会が活動を始めている。これらの状況を踏まえ, 国内外のひび割れ自己治癒コンクリートの研究動向を紹介する。自己治癒・自己修復という言葉の定義に関して論じ, 国際会議で得た有用な情報, 国内外の委員会活動の状況, いくつかの最新の研究事例を説明する。
著者
小松 怜史 田島 涼 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.33-40, 2018 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
3

本研究では,コンクリート床版上面の品質を表面吸水試験(SWAT)で評価する手法を検討した。水セメント比,空気量,セメント種類,養生条件の異なる供試体を製作し,SWATで品質評価を検討するコンクリート床版上面(仕上げ面から5mm程度)が十分乾燥していることを現場で判断する方法を検討した。その結果,市販の水分計(Kett社,HI-100)でカウント値が120(電気抵抗値:約2.6×104kΩ)を下回った時に,仕上げ面から5mm程度が十分乾燥していることが分かった。この条件で,SWAT計測開始から100秒間のコンクリートの累積吸水量を用いて,コンクリート床版上面の品質を評価することを提案した。この評価指標は仕上げ面の微細なひび割れによるコンクリートのスケーリング抵抗性の低下を検出することが可能であった。
著者
横山 勇気 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.71-78, 2017 (Released:2017-09-15)
参考文献数
13

測定面の角度が表面吸水試験へ及ぼす影響は明らかではなく,コンクリートの表層品質を適切に判定できない可能性がある。そこで本研究では,表面吸水試験の正確な測定を乱す要因の影響を明らかにし,それらの影響を可能な限り排除した条件で角度の影響を検討した。その結果,コンクリートの含水率,水温と試験機材の温度差,吸水カップのゴムスポンジのクリープ変形が正確な測定を乱す要因であることを確認した。これらの要因による影響を可能な限り低減させた条件にて検討した結果,10分時点での表面吸水速度と10分間の総吸水量に着目し,t検定により測定面の角度が表面吸水試験に及ぼす影響はないことを明らかにした。
著者
渡邉賢三 小林聖 吉田裕麻 細田暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

コンクリート構造物の表層部分を合理的に評価する手法として目視調査に基づいた評価手法に着目し,この手法を主軸に施工のPDCAサイクルを回して品質向上を図ることを提案している。本手法を約1.8kmのボックスカルバートの施工に導入し,構造物の壁,柱を対象にコンクリート表層品質の改善を継続的に試みた。その結果,目視評価の結果をふまえて具体的な改善を行うことが表層品質の確保,向上に繋がることを実際の施工で実証した。