著者
細谷 圭助 森 真弓
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.231-233, 1986-06-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

食パン, 菓子パンおよび洋菓子を中心とし, その他, 牛乳, チーズ, 味噌および醤油中のプロピオン酸塩またはプロピオン酸を定量した。まず定量方法について検討した結果, 水蒸気蒸留量は250mlのとき, ガスクロマトグラフィによる回収率は平均99.26%であった。食パン中のプロピオン酸含有量は, 0.0025~0.0045g/kg, 菓子パンでは0.0042~0.0485g/kg, 洋菓子では0.0021~0.6525g/kgであった。製造会社によっても含有量が異なり, 菓子パンではA社製のものは他社製に比べ約10倍多かった。季節によっても含有量は異なりパン類および洋菓子において, 冬期に少なく, 夏期に多かった。パン以外の日常食品として, 牛乳ではプロピオン酸含有量は0.0005~0.0009g/kgであり, チーズでは0.0154~0.0261g/kgと多く, 味噌では0.0020~0.0050g/kg, 醤油では0.0027~0.0060g/kgであった。
著者
細谷 圭助
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.70-75, 1990-03-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

市販魚類中のビタミンA含量の冷蔵・冷凍貯蔵中の変化を調べるために, ハマチとサバを試料とし, その変化の原因についても検討した。1. ハマチを4℃及び8℃で冷蔵貯蔵したとき, 血合肉及び普通肉中のレチノール含量は, 貯蔵期間が長くなるほど残存率は低下し, 10日後では冷蔵4℃のとき残存率が, それぞれ42.7及び49.0%であった。サバの場合も同様に減少し, 12日後では冷蔵温度4℃のとき血合肉及び普通肉の残存率は, それぞれ70.4及び52.0%であり, ハマチよりも高く, しかも冷蔵温度の影響が明らかであった。2. 冷凍貯蔵中のハマチのレチノール含量は, 貯蔵期間とともに減少し, 貯蔵温度が-18℃で30日後の血合肉及び普通肉中の残存率は, それぞれ15.6及び19.0%であった。サバの同条件下での血合肉及び普通肉中の残存率は, それぞれ38.5及び21.0%となり, ハマチとは異なり冷凍温度差が残存率にも影響した。3. サバを塩蔵し, 4℃で貯蔵したとき, 11日後のレチノールの残存率は, 62.1%であり, 冷蔵のみの残存率に比べわずかに高くなり, 18日後でも腐敗の兆候はみられなかった。4. ハマチの冷蔵 (4℃) 及び冷凍 (-18℃) 貯蔵中のTBA値は, いずれの場合も期間が長くなるに従い上昇した。冷蔵の場合は, 早期に急速に上昇し, 血合肉の方が普通肉より高い値であった。TBA値の上昇時期と魚肉中のレチノールの減少時期がほぼ一致していることから, 過酸化脂質の増加がレチノールの減少の原因の1つになっている可能性が示された。
著者
細谷 圭助 北岡 正三郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.483-488, 1977 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
4 12

4種の従属栄養培養および独立栄養培養によって得たE. gracilis細胞の凍結乾燥品をペプシンとトリプシンによる人工消化実験に用いた.E. gracilis細胞はすべて高い人工消化率を示し,特に光照射下に従属栄養で培養したGreen株(GL細胞)は両酵素による高い消化率を示した.GL細胞を主とし,ネズミ飼育試験でユーグレナ・タンパク質の栄養価を求めたところ,真の消化率で僅かに劣ったが,PER,生物価,NPUにおいてGL細胞はカゼインに比肩しうる値を示し,すぐれた栄養価を持つタンパク質であることがわかった.熱エタノール処理したGL細胞は栄養価低く,貯蔵多糖をあらかじめ除去したGL細胞は無処理のGL細胞と変らない栄養価を示した.光照射下培養したBleached株細胞はGL細胞よりやや低い生物価を示した. ネズミ飼育試験は大阪市立環境科学研究所神戸保氏の,またューグレナ大量培養は当研究室中野長久博士の協力と助言を得た.厚く感謝する.本研究の費用の一部は文部省科学研究費に依った.記して謝意を表する.