著者
宮坂 篤 中島 隆 丸山 篤志 脇山 恭行
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-6, 2011
被引用文献数
4

水稲の高温登熟障害対策の一つとして着目されている登熟期の用水かけ流し処理が,水田圃場内の水温および株間温湿度の変化と紋枯病発病および白未熟粒発生に及ぼす影響について,3 年間の圃場試験によって検討した。イネ紋枯病自然発生圃場(10m×50m) において,登熟期に水温約21℃の地下水を常時かけ流し,水口から3m,6m,12m,24m,36m および48m 地点における上記項目を経時的に調査した。用水かけ流し処理によって,水口側から水尻側に向かって水温が上昇する温度勾配が得られた。株間の気温および相対湿度については,かけ流しの処理の効果が年次により異なり,一定の傾向は認められなかった。紋枯病発病程度および白未熟粒発生程度は,いずれも水口から3mおよび6m地点で低かった。これらのことから,登熟期の用水かけ流し処理に伴う低水温によって,紋枯病発病程度および白未熟粒発生程度が低減されることが示唆された。